ソースやつゆの濃さと麺の太さ

 今年は濃い系の味がトレンドです。インスタントラーメンも売れている商品は「日清食品 日清これ絶対うまいやつ!」や「明星食品 麺神」など、濃い味、そして濃い味にしっかり馴染む極太もちもち麺がウリです。

 麺の太さや歯応え、のど越しと、ソースやつゆの味や濃度のバランスは、とても大切です。例えばパスタは、ソースによって太さを変えるのは常識。ボロネーゼやカニ風味のトマトクリームなどうま味の強い、濃い味のソースには、しっかりとした歯応えの太めのパスタを合わせますし、生ハムやトマト、レモンを使ったすっきりとした味付けには細いパスタを合わせるのが一般的です。うどんも同様。ずんぐりもっちりとした伊勢うどんには、たまりじょうゆの濃厚なたれがよく合いますし、細くてなめらかな口当たり、のど越しのよい稲庭うどんは、だしが利いた麺つゆでいただくのがおいしいと思います。

 なのに、です。飲食店には、オペレーション優先で、短時間でゆで上がる細めの麺を使っている店が多いのです。ランチメニューでカルボナーラやアマトリチャーナをオーダーしたとき、細いパスタが使われていると本当にがっかりします。中華料理店でも、広東麺の麺が細いと、とっても損した気持ちになります。具材にボリュームがあればあるほど、残念な気持ちは大きくなります。もちろん、ソースや具材、あんにかかわらず、細いパスタや麺が好きな人もいるでしょう。でも私は、うま味の強い濃い味には、それに適した麺を合わせたいのです。

 ご飯や麺の「大盛り」、ラーメンの「油多め」や「麺硬め」と同じように、「麺太め」をオーダーできたらいいのにといつも思います。