健康訴求型食品。重要なのはエビデンス

 紅茶キノコ、尿療法、にがり、酢大豆など、これまでさまざまな食品や食事法が、確たる証拠もなく健康にいいとしてブームになってきました。が、最近は、健康にいいと言われるものに対して、それが“科学的に証明されているか”“信頼に足る研究が行われたか”など、「エビデンス(証拠)」を重視する傾向が強くなっているように思われます。
 食の世界において、健康成分を訴求することは販売促進に繋がりますが、一時のブームで終わるものも少なくありません。一方、高カカオチョコレート、スーパー大麦や金芽米、DHA・EPAが多く含まれるサバ缶など、生活者の関心が持続し、定着するものもあります。その違いは、注目されている成分が持つ健康効果のエビデンスが、確立しているか否かです。
 高カカオチョコレートと言えば、今年1月、明治が、高カカオチョコレートが低GI食品であるとの研究結果を発表しました。「チョコレート効果カカオ72%」のGI値は29、 「チョコレート効果カカオ86%」のGI値は18で、葉野菜や果菜と同じ、GI値55以下の‟低GI食品”でした。インターネット上ではチョコレート全般に対しGI値を91とする情報が多く、ある論文では40と記載されるなど、情報が混在していることから今回の試験を実施したそうです。ネット上には、誤った健康情報が氾濫しているという事例でもあると思います。
 明治同様、さまざまな食品メーカーが、独自に健康系の成分と効用について研究開発をしています。カゴメはトマトのリコピン、タカノフーズは納豆菌、森永乳業は乳酸菌、ハナマルキは麹菌、三井農林は紅茶ポリフェノールについて、エビデンスを確保するための研究を続けています。
 その健康成分の効力がほかに比べるモノがないほど圧倒的で、しかも信じるに足る明確なエビデンスがあることを、メーカーだけでなく、生活者も期待しています。

日本でも増える「ゴーストレストラン」

 実店舗も自前の配送網も持たない“ゴーストレストラン”がじわり増えています。発祥の地、米国・NYではマンハッタンの不動産価格が高騰。「ウーバー・イーツ」など配達代行業の普及に伴い、デリバリー専業レストラン「ゴーストレストラン」が注目されるようになりました。日本においても、配達インフラが整い始めているため、ゴーストレストランが増えているのです。
 宅配サイト「出前館」を運営する「夢の街創造委員会」は6月、新規プロジェクトとして、自前のキッチンや配送網が不要の「インキュベーションキッチン」を開設しました。調理内容などの審査に合格すると、月額10万円で自由にキッチンを使え、料理は「出前館」が配達します。
 また、今春、複数のゴーストレストランが入居するシェアキッチン「Kitchen BASE」が、東京・中目黒にオープンしました。それぞれ独立した4つの厨房設備、調理機材、コミュニティスペースを提供。日夜で2回転させ、日中は複数のデリバリープラットフォームを活用した即席デリバリー向け店舗を、夜中から早朝にかけては宅配弁当・仕出し弁当サイトからの予約デリバリーの仕込み場所として運営します。入居店舗は、初期投資がかからず、スタッフも必要なく、人件費もかからないため、開業コストを約95%抑えることができるほか、データ分析によるマーケティング支援なども受けられます。
 当初は宅配専門でスタートし、販売が好調だったら実店舗を開くという料理人も多く、ゴーストレストランは、今後ますます増えると思われます。

プラスチックごみを減らすため継続的な問題意識を

 リサイクルに向かない汚れたプラスチックごみの輸出入を規制する新たな国際ルールが5/10、スイスのジュネーブで締結されました。今後、ごみの輸出入が厳しく制限されること、これに先立ち、中国は昨年からプラスチックごみの輸入を禁止していること、それによりタイやマレーシアなどの東南アジアの国が代わりの引受先になっていること。さらには、日本はプラスチックごみの輸出量が米国に次いで世界2位であること。今朝(5/13)のニュースで、これらの情報がまとめて流れました。
 さまざまな事情があるのでしょうが、正直、自国のごみを輸出しているなど、本当に恥ずかしい話だと思います。私が居住している自治体は、サーマルリサイクル(廃棄物を単に焼却処理するのではなく、焼却の際に発生する熱エネルギーを回収・利用すること)が実施されているため、ペットボトル以外のプラスチックは可燃ごみとして廃棄します。ですから、プラスチックごみがそんなに輸出されているとは思いもしませんでした。
 海には既に1億5000万トンものプラスチックごみがあり、2050年にはその量が海にいる魚と同じ程度にまで増えると予測されています。折しも8日、セブン&アイ・ホールディングスは、30年までを目標にプラスチック製レジ袋を全廃する方針を発表しました。もちろん、プラスチックごみはレジ袋だけではありません。日用雑貨のパッケージから弁当の包材まで多岐に渡ります。でも、カメの鼻の穴にプラスティックストローが刺さった映像が世界のストロー市場を変えたように、プラスチックごみの問題に対して常に意識を持ち続け、当事者であることを忘れずにいることが、環境破壊の進行を少しでも遅らせるために必要なことだと思うのです。

10連休、観光地の人混みとテイクアウトフード

 初の10連休が終わりました。思い切り楽しんだ人も、長過ぎると感じた人もいらっしゃるでしょうね。
 この連休、東京は静かでした。スーパーマーケットのレジは待つことなく、渋谷もスムーズに歩けましたし、都心の道路も空いていました。皆、何処へ行ったのかしらと思っていたら。
 テレビでは、観光地の凄まじい混み具合を紹介していました。身動きがとれないほどの人で溢れる江の島の参道。脇に連なる土産物店や名物のたこ煎餅を売る店、しらす丼をウリにする飲食店など、入りたくても入れない状態。途中で引き返す人も出るほどの混み様でした。
 同様に、鎌倉の鶴岡八幡宮に続く若宮大路と小町通りも人人人。こちらは、手焼き煎餅やコロッケ、きんつばや団子、ワッフルにジェラートと、さまざまなテイクアウトフード店が軒を連ね、若い女性たちに大人気。人混みも何の其の、歩きながら食べる観光客に、街を汚される住人はもちろん、売り物にシミを付けられると商店街の人も困惑気味。一方、観光客は、「食べる場所がないのだから仕方がない」と言います。
 観光地とテイクアウトフードは切れない仲。食べ残しや包材などゴミも出ます。食を提供する店舗が中心となって、街ぐるみで喫食スペースを確保するなどの対応が求められています。