家事は男女協働が当たり前。食市場も男性をターゲットに

 「働き方改革」のお蔭で“家事は夫婦で協力して行うもの”という当たり前の概念が定着しつあります。実際、「食品の買い物」に関する調査では、女性では95%、男性では90%が「週に1回以上スーパーで食品を購入する」と回答。男性の65%は「週に2回以上スーパーで食品を購入する」と答えています。しかも「夫婦または家族で買い物に行く」場合、98%の人が「男性が購入を決める食品がある」と回答。男性も、自らが好む食品や気になる食品は積極的に購入を決めていることが分かります。
 さらに最近、インテリアやグッズにこだわる家事男子に、黒いキッチンツールが売れています。象印マホービンが2月に発売した、黒を全面に押し出したキッチン家電の新シリーズ「STAN.(スタン)」。炊飯ジャーの発売1ヵ月の売り上げが計画比の2倍を超えました。また道具メーカーのTAKAGIが3月に発売したキッチンツールの新ブランド「DYK(ダイク)」は、黒い商品群が好評。真っ黒なおたまやトング、刃まで真っ黒な包丁などが揃い、夏には、黒いまな板も発売予定だとか。
 冷蔵庫や洗濯洗剤のコマーシャルに男性俳優が起用され、テレビ東京の人気ドラマ「きのう何食べた?」では主人公の男性が毎回料理を紹介。レシピ本が出版されるほど注目されています。男性が家事や育児、介護に積極的に参加する時代。も、スーパーも食品メーカーも、そろそろ重い腰を上げてもいいのではないでしょうか。

給食で人気だつたソフト麺。今は、家庭でモテモテ?!

 小学校の給食でたまに出されていたソフト麺。覚えている人も多いと思います。私が小学生だった頃は、米飯給食はまだ始まっていなかったため、主食は食パンとコッペパンのみ。月に1回程度提供されるソフト麺とカレー味のソースのセットが、とてもうれしかったことを覚えています。
 そのソフト麺、学校給食から姿を消しつつあります。
 きっかけは、平成21年に文部科学省が出した“週3、4回は米飯給食にしましょう”という内容の「学校における米飯給食の推進について」のお達し。週5回しかない学校給食の内、3、4回を米飯にするこということは、残りの2、3回を、パンもしくはソフト麺以外のラーメンやうどんなどの麺類と分け合うことになります。
 ソフト麺は、提供される日の当日、40分かけて90度の蒸気殺菌を行い、ホカホカの状態で午前中に学校に納入しなくてはならず、手間がかかるのだとか。納入回数が減れば、自ずと、ソフト麺から手を引く製麺会社、廃業するソフト麺製造会社は増加します。
 が、“捨てる神あれば・・・”なのか、ソフト麺は今、家庭用として注目され始めています。乾麺と違って水分が含まれているため、電子レンジで温めるだけで簡単に調理ができる点が時短簡便を求める生活者のニーズにはまっていることが理由のようですが、コシの強さがウリの冷凍うどんより軟らかな食感は高齢者向きとも言えるし、懐かしさも追い風になるでしょう。
 因みに、給食の食材にソフト麺を採用しているのは、主に中部地方から東のエリアの18道県のみ。うどんやラーメンの文化が浸透している西日本や四国、九州ではあまり拡がらなかったようです。

サプリメントとしても注目。スパイスで健康と美容を

 花椒の‟シビレ”や‟大阪スパイスカレー”がブームになるなど、スパイスが脚光を浴び、家庭用、業務用ともに市場が拡大傾向にある中、スパイスが持つ健康・美容効果に着目した「スパイスサプリ」とも言える商品が登場しています。
 美肌や代謝促進などの作用があると、最近米国で注目されている‟ターメリック(ウコン)”。日本でもターメリックを使ったラテが、健康系ドリンクとして人気になっています。ターメリックラテは、液色がインスタ映えする黄金色であることから、‟ゴールデンミルク”とも呼ばれています。イーグル製菓は、ホワイトチョコレートに、ターメリックやカルダモン、シナモンなどを混ぜ込んだ、鮮やかな黄色の「GOLDEN MILK CHOCOLATE」を発売。温めた牛乳に溶かすと、ターメリックラテとしても楽しめます。
 一方、スパイスを手軽に摂取することを目的にした商品も登場しています。ハチ食品は、体にうれしい成分をプラスしたパウダータイプのスパイス「カラダにSPICE」を発売しました。ラインアップは、「シナモン」「ジンジャー」「ターメリック」の3種類。「いつもの料理や飲み物に加えるだけで、アレンジを楽しみながら栄養成分が簡単に摂れることをアピールしています。またエスビー食品は早くからスパイスの持つ機能性に着目し、いつでもどこでも手軽にスパイスを摂ることができる、チュアブルタイプのタブレット「NEOスパイス」を、昨年2月に発売しています。「ヒハツ&シナモン」と「ブラックジンジャー」の2品で、それぞれ、“血流をよくして冷えを改善し、新陳代謝をアップさせる”“滋養強壮、脂肪燃焼効果がある”とされるスパイスが配合されています。
 さらに、最近はスパイスの抗菌作用も注目されています。数種類のスパイスを組み合わせて使用することで、味に深みが出るだけでなく、化学的な食品添加物に頼ることなく食品の品質を維持できるといいます。ヘルシー志向、安全安心志向が強まる中、スパイスの活躍の場はますます広がりそうです。