中国で進む食品の情報開示の徹底化

 テクノロジーが進展し、ネットでどんな情報も取れる時代。食品の情報開示は提供する側の責務になっています。ただその範疇は、消費する側の求めに応じてというのが日本の現状でしょう。
 一方中国では今、開示する情報の範疇が驚くほど広がっています。農作物の場合を例にすると、産地、育てた人、育て方、肥料や農薬、収穫日時、収穫した人、運搬日、運搬した人(トラックの運転手名)、店に着いた日時、店頭に並べられた日時、並べた人・・・。商品のQRコードにスマホをかざせば、これらの情報がすべて分かります。なぜここまで知りたがるのか。その理由はやはり、中国において誤魔化しや偽りがまだまだ横行しているからです。例えば、名産地の“陽澄湖”産としてネットで販売されている上海ガニの99%がニセモノだったという調査結果があります。一事が万事。中国の生活者は人を介する食に対して、かなり神経質になっているものと思われます。
 日本でも2000年に入ってから、数々の食品偽装が明るみになりました。産地偽装、原材料偽装、消費期限・賞味期限偽装などなど。その度に、報道番組が先導するカタチで大騒ぎになりましたが、すぐに終息して不信感も風化しました。やった人は悪いが、それは稀有なこと。日本の食市場はほぼ安全、信じるに足るという結論にいつも落ち着きます。あれやこれやと突いて不安になるより、漠然とした安全に包まれていたい―。日本人の本心です。

マクドナルド。再びご飯メニューに挑戦!

 マクドナルドが2月5日、バンズの代わりに成型したご飯で具材をはさんだ「ごはんバーガー」の販売を、“夜マック”で始めました。メニューは、“てりやき”“ベーコンレタス”“チキンフィレオ”の3品。バーガーで人気の定番具材です。
 マクドナルドが「ごはんバーガー」の販売を始めたのは、「夕食にはパンではなくご飯が食べたい」という意見が届くようになったからとか。メインターゲットは30~40代。「このくらいの年代になると、夕食の主食は『ごはん派』という人が多くなる。そういった層にも訴求できるようにする狙いがある」と広報担当者は話します。
 マクドナルドは、以前にもご飯メニューに挑戦しています。1991年に、炒飯と焼売などのおかずがセットになった中華弁当「マックチャオ」を発売。92年には、都内の4店舗でカツカレーのテスト販売をしています。理由はやはり夕食需要を獲得したい、幅広い客層を狙いたいというものです。が、いずれも長続きはしませんでした。
 3度目の正直(?)。今回はどうでしょう。ご飯のバンズといえば、想起されるのはやはりモスバーガーの「ライスバーガー」。発売当初、きんぴらやつくねなどご飯との相性を意識した具材が新鮮でした。SNS上には、「ごはんバーガー」を「モスライスバーガー」と比較する声も多く、総体的に評価は高いとは言えません。
 夜、ご飯を食べたいという人は、「ごはんバーガー」があればマクドナルドに行くのでしょうか。多くのお客様に来店してもらいたいという理由で「お好み食堂」になり、結果、お客様に選ばれる価値を失った飲食チェーンは数知れずです。
 マクドナルドが敢えて具材を和に寄せなかったのは、プライドとモラルからでしょうか。ご飯路線を続けるのなら、マクドナルドらしい画期的で魅力的な商品を期待します。

拡がる外食店のおひとりさま戦略

 外食各社が、‟おひとりさま”の取り込みに本腰を入れています。
 「ガスト」は2018年から、席の両側についたてを配置し、電源を備えた1人席を拡大。作業や休憩といった食事以外にも使いやすい空間にすることで、来店機会を増やしてもらう狙いです。「大戸屋ごはん処」は昨年6月、1人用席を約2倍に増やした新型店を開業。ロングテーブルは座る位置や高さをずらし、正面に座っても視線が合わないよう工夫しています。結果、女性などの1人客が増え、客数は1割超伸びたといいます。ひとり焼肉が楽しめる「焼肉ライク」も人気で、1号店オープンからわずか1年余りで25店舗に拡大。「松屋フーズホールディングス」も昨年3月、店内の23席がすべてカウンター席のステーキ店「ステーキ屋」をオープンさせました。また「エー・ピーカンパニー」が渋谷スクランブルスクエアに昨年11月オープンさせた新業態、一人一鍋スタイルの「しゃぶしゃぶ つかだ」が、早くも人気店になっています。滞在時間はランチが30分、ディナーでも60分と回転率がよく、客単価は4500円と高めにもかかわらず、1日の客数が300人に及ぶこともあるといいます。今年2月からは、すき焼きをしゃぶしゃぶ風にアレンジしたメニューの提供も始めています。
 単身世帯の増加が続く中、従来はファミリー層の利用が多かった外食店でも、‟おひとりさま”の取り込みが急務になっています。単身世帯は、中食や外食を利用する機会が多く、その1人当たりの支出は2人以上の世帯の1.5倍になるといいます。ファミリー客やグループ客と比べて注文数は少なく、その分を回転率で補うためには、おひとりさま席の拡充は当然の戦略です。因みに、私の行きつけ「やよい軒青山オーバルビル店」も、例に漏れずおひとりさま仕様にリニューアルされました。私もおひとりさまなのに、なぜか居心地が悪くなって足は遠のいています。

進化系料理キット「ちゃんとOisix」

 生活者が、日々の料理作りで最も困るのは、献立を考えること、次に、いつも同じ料理になってしまうこと、食材を余らせてしまうこと。そんな生活者の悩みを解決すべくOisixが始めたのが、カットされていない食材とレシピをセットにした“献立セット”が届く新サービス「ちゃんとOisix」です。3日もしくは5日分の食材とレシピがセットになっていて、レシピ通りに調理すれば、1食3品のメニューを30分以内で作ることができ、食材はきっちり使い切れます。
 献立を考える必要がなく、レシピを検索する必要がなく、買い物をする必要がなく、食材の使い回しに頭を使う必要がないこの料理キットに私はとても興味を持ち、通常の半額で購入できるお試しセットを注文しました。
 いよいよ食材が届きました。どれもオイシックスが自信を持って集めた元気のいい食材たちです。レシピは3品同時進行で作れるよう工夫されていますから、手順を考える必要もありません。
 調理開始。本当に30分で作れるのか、計りたくなるのが人情です。主菜とサラダとスープが22分で完成しました。レシピはとても簡単で、例えばガパオはシンプルな味付けですが、それなりにおいしくいただけます。
 自慢するわけではありませんが、料理ができる私が作れば30分以内は可能でしょう。ならば、料理の技術も経験も十分ではない人が作ったらと思い、2日めは夫が担当しました。かかった時間は44分。この結果に納得できない夫は、次の日も挑戦。34分でした。このタイムにますます奮起した夫は、次の日も。結局4日間、夫が作りました。「ちゃんとOisix」、私にとっては間違いなく最高の料理キットでした。