選べるおせちと盛り替えしやすいおせち

 今年も、おせち商戦が始まりました。百貨店やスーパー、コンビニ、テレビにネット。おせちの紹介をよく見るようになりました。
 近年の傾向を挙げるなら、“選べるおせち”が増えたこと。和風洋風中華風イタリアンとおせちの料理もバラエティ豊かになり、今では、1段目は和風、2段目は中華風でなどという選び方も可能に。今年高島屋が提案しているのは、30品目の中から好みの料理を12品選んでオリジナルが作れる「よりどり彩りおせち」です。
 元来おせちは、お重に詰めるもの。ひとつひとつ丁寧に仕上げた料理を、慣習に則って各段に納めます。仕切りのないお重に、彩りよく、味移りなく、見栄えよく料理を盛り合わせるのは、なかなか技術のいる仕事です。が、工場製造、輸送が前提のおせちは、仕切りがあるのが当たり前。前出の「よりどり彩りおせち」は、料理1品1ケース。注文に合わせて、ケースごと詰め合わせるタイプのおせちです。
 また手作りする料理と購入する料理を合わせるのも近年の傾向。そんな生活者に、選べるおせちは最適です。加えてお重の用意がない家庭も多く、お皿に盛り替える作業が前提ならば、1仕切り1料理は好都合です。
 Oisixの冷凍おせち「宝華」は、1段目には黒豆、伊達巻といった定番の料理が、2段目にはオードブルになる料理が、自分の好みの食べ方、盛り付けが演出できるよう、取り出しやすい小皿に入っています。
 お正月の縁起物としてのおせちは、同時に、お正月のご馳走でもあります。それを今風にアレンジすると、このようなカタチになるのでしょう。

元気な高齢者に“前向きになれる食”の提供を

 9月第3月曜日は敬老の日。国連の世界保健機関(WHO)の定義では、65歳以上の人を高齢者としていて、日本の全人口に占める高齢者の割合は、およそ3割です。
 先日「徹子の部屋」に、「80歳の壁」の著者で高齢者専門の精神科医、和田秀樹氏が出演。人生100年時代を元気で幸せに過ごすための提案をされていました。番組の最後で和田氏は、「こんなことを言うと愚痴になるのですが」と前置きをなさった後、「本は売れている、みんな高齢者向けの本。いろいろな出版社がまた書いてくださいと言ってくれるが、残念なのは、高齢者向けの新しいエンターテインメントをやりたいから、新しい製品を作りたいから、和田さんちょっとアイデア貸してくださいとか、一緒にプロジェクトに参加してくださいとか言ってきた会社がひとつもないんですよ(※)」とおっしゃっていました。「今、人口の30%もいる高齢者の人に買ってほしいものを探すだとか、楽しんでもらうものを探すだとか、そういうことを、もっといろんな業界がしてほしいとは思いますよ(※)」。
 確かにその通りだと思います。高齢者向けの食と言えば、咀嚼嚥下がしやすいよう軟らかく仕上げたもの、タンパク質やカルシウムなどの栄養素を強化したもの、記憶力をサポートする成分が添加されたものなど、加齢に伴う身体的能力の低下を補う目的の加工食品がほとんどです。一方、和田氏は提案の中で、「生活に変化をつける」「残存能力を生かす」ことが大切だとおっしゃっています。食べたことがないものにトライしてみたくなる、咀嚼力や嚥下力を維持するためのトレーニングにもなるなど、元気な高齢者でいるために最も重要だとされる“前向きに生きる姿勢”を応援する食の提供はできないものか。Z世代がそうであるように、高齢者にも「マインド消費」の流れが来ていると思います。

※一部、簡略化しています。

91歳、キュートな料理ユーチューバー

 “鉄人”道場六三郎氏の料理動画が好きで、よく見ます。齢91歳のユーチューバーは、おだやかで凛としていて、可愛くて。思わずほっこりしてしまいます。
 紹介する料理は、家庭でよく作られるもの。それを“道場流”の思いつきと勘で仕上げていきます。ハンバーグのタネに残りご飯を入れたり、ガスパチョにエビ白玉を忍ばせたり、発想はユニーク。ただし、なすの皮にミョウバンをすり込んだり、きゅうりに板ずりをしたり、エビを酒煎りしたりなど、下ごしらえは和食の基本を外しません。そのギャップがおもしろいのかもしれません。
 撮影は厨房で行われています。「柑橘あったか」「ちょっと片栗入れてみよう」「蒸し器に入れて1時間置いておく」などなど、食材が何でも揃っていて、弟子たちがさっと手を出してくれて、スチーマーには常に湯気が立っている環境で進んでいく調理は、家庭で手間なく簡単にできますとは言い難く、突っ込みどころだらけなのですが、でも試してみたくなるのは、道場氏の魅力ゆえなのでしょう。
 最後は、自ら実食をして自画自賛で終わります。撮影スタッフから、「(このようなアイデアを)いつ思いついたのですか」と訊ねられると「90歳のとき」とお答えになるのが常で、ユーチューバーデビューを決めたときから、店で提供する料理とは異なる発想でアイデアをストックされていらっしゃったのかもしれません。
 小さな容器にラップをかける過程で、弟子が差し出したのは大きなサイズ。すかさず、「小さいのはないのか、もったいないだろ、ムダだろう、小さい仕事をするんだからそれが大事なことなんだよ」と強めの口調で弟子を諭す場面は私のお気に入り。「おっしゃる通り!」で胸キュンです。

加工食品を試食して

 休日を利用して加工食品を試食することがよくあります。シリーズものはすべてを一度に作り、比較することが常です。決まり事は、パッケージにあるレシピ記載の材料を揃え、レシピ通りに作ること。アレンジは一切加えません。
 例えば、エスニック料理。タイカレーやガパオソースなど簡便性を高めた商品、本国で売られている輸入品などを買い揃え、次々に作って行きます。おもしろいのは、スパイスと調味ソースがキットになっている日本向け商品のほうが、輸入品のペーストなどより、タイ人シェフが腕を振るう東京のタイ料理店の味に近いこと。輸入品のペーストは、本国では超お手軽商品の位置付けなのだろうか。いや、本国ではこちらの味のほうが一般的なのでは。いやいや、本国にはいろいろな味があるのかも。などと想像。タイを旅するときの宿題ができました。
 ある会社の調味加工品。先発の中華料理用に続き、洋風料理用を発売しました。コロナ禍で気軽に行けなくなった外食の味を家庭で楽しんでほしいと開発された商品です。シリーズの中から入手できたものをすべて作りました。中華料理用がかなり安定した味なので、こちらも楽しみにしていたのですが、やや期待外れでした。ソースにコクや深みがなく、そのせいでおいしさの落とし所が定まっていないのです。レシピにある副材料が、マイナスに働いているようにも感じました。タイ料理や中華料理は、メイン素材の肉や魚介に調味料やスパイスを合わせればそれなりに仕上がる味が多いのですが、洋風料理、中でもフレンチの煮込み系は、低価格でソースを作り込み、レトルト加工で理想の味わいに仕上げるのに、かなり苦心するのだと思います。
 試食後、余った料理は冷凍されて私のランチに。同じような料理のローテーションが始まります。