販路に合わせた商品開発を

 コンビニで売れている「サラダチキン」。セブンイレブンは、冷蔵の売り場で、「サラダチキン」と味の素のレトルトスープ「サラダチキンで作る参鶏湯」や「サラダチキンで作る濃厚ミネストローネ」を並べて販売。ちぎったサラダチキンとスープを器に入れてレンジで温めるだけで本格的な味わいが楽しめることを提案しています。2016年秋に試験販売したところ、並べて陳列した店は別々の売り場で販売していた店に比べてサラダチキン、レトルトスープともに売り上げが伸びたといいます。特にレトルトスープは常温売り場だけに置いた店に比べ、販売数量は12倍に。このほか、サラダチキンの棚の近くにカットサラダを陳列することも勧めています。
 商品名に“サラダチキンで作る”というフレーズがあるがゆえの展開です。コンビニで売られているレトルトカレーやカップラーメンも、サラダチキンを加えてアップグレードさせる提案はできますが、店頭販促だけでは伝えづらいでしょう。商品名に“サラダチキンで作る”とあれば、お客様には分かりやすく、何より、店舗の協力も得やすいと思います。
 スーパーマーケットは長らく、メニュー提案による組み合わせ販売を提案してきました。が、それがなかなか奏功しないのは、青果、鮮魚、精肉、日配など、部門の壁があるからです。温度帯の違うものは同じ場所に並べられないなど、制約もあります。コンビニの場合、店舗の裁量でいかようにも販促はできます。販路に合わせた商品開発がますます重要になっています。

小売、外食市場の人手不足。今が改革期

 日本経済新聞社がまとめた2018年度採用状況調査の結果で、百貨店・スーパー、外食・その他サービスの分野で内定者の確保が進まなかったことが分かりました。
 百貨店・スーパーでは計画を下回る企業が目立ち、ライフコーポレーションは17年実績比4割増となる230人の採用を予定していましたが、内定は214人でした。外食・その他サービスは、17年度実績に対して内定者数は3.6%増えましたが、計画値を14.3ポイント下回り、外食大手のコロワイドは内定者が75人と、計画の約半数にとどまりました。
 一方、大学生を対象とした2018年就職希望企業ランキング(キャリスタ就活)で200位以内に入っている小売り・フードサービスの会社は、ニトリ(47位)、三越伊勢丹グループ(129位)、アマゾンジャパン(140位)のみ。小売り・フードサービスのみの企業に絞れば、スーパーではイオンリテールが、コンビニではローソンが上位に入りますが、外食企業はひとつもありません。
 地方のスーパーでは、出店攻勢をかけたくても人手不足がブレーキをかけます。あるスーパーの社長は、レジ係を時給1500円で募集しても応募がないと嘆いていらっしゃいました。外食企業は長い間、パートの学生でも調理ができるように業務用食材を多用し、レシピの簡素化を図ってきました。そして今は、ベトナム人を積極的に採用しています。
 スーパーではレジの無人化が、外食店では厨房内でのロボット化が進められています。必要は発明の母というように、困難は改革のチャンスです。

立ち食いの店で思ったこといろいろ

 「いきなりステーキ」「次郎丸」「俺のだし」。最近行った、立ち食いの店です。
 まずは「いきなりステーキ」。客の9割は男性です。ステーキ300gに山盛りのライスは当たり前という感じ。女性客がライスなしステーキのみのオーダーをしていて、イマドキ感満載です。特製ステーキソースは、濃い目の味付け。熱々の鉄皿で水分が蒸発するため終盤にはかなり濃くなり、ライスが進むこと。ここのステーキは日本食です。
 「次郎丸」は、1切れ30円からオーダーできる立ち食い焼き肉店。内臓やカシラ(頭)など安い部位のみをオーダーし続けていれば安く上がりますが、A5等級などランクが付いたロースやカルビを挟み込むと、当然のことながら支払額はドンドン上がります。肉1枚1枚を懐具合と相談しながらオーダーするからか、焼き肉を食べているのに、なぜか寿司屋にいる気分になりました。
 「俺のだし」は俺の株式会社の店。そば屋とおでん屋がありますが、行ったのはそば屋の方です。メニューは、“肉そば”“鶏そば”“鴨つけそば”など数種のみ。あれ? 「俺のだし」なのに、“かけそば”や“もりそば”といっただしがストレートに味わえるメニューがない・・・と思い伺ったところ、この店、旧店名は「俺のそば」。しかし同名の店がすでにあったため、「俺のだし」に変更したとか。それって、名が体を表していないよね・・・と思いながら、最もだしが利いていそうな“海苔胡麻もり”をオーダー。食べてびっくり。つけ汁にラー油が入っていました(笑)。

人気の商店街。活気があって店の種類が多いこと

 地元住民に愛され続けている商店街。それが今、土日を中心に、他地域からの客やインバウンドなども訪れ、ちょっとした観光名所になっています。活気のある商店街として有名な、品川区にある戸越銀座商店街、北区の十条銀座商店街、江東区の砂町銀座商店街。人気のある商店街の共通項を、ネットの「商店街調査」を基に利用者の声から探ってみました。この調査は、週に1度以上商店街を利用する生活者100人に対して、商店街の「好きなところ」「改善して欲しいところ」などをアンケートしたものです。
 「好きなところ」をまとめると、人気の商店街の条件は、活気があってお店の種類、数が多く、コストパフォーマンスのよいお店や美味しいお店があるということになります。好きな店、常連の店があると答える人も多く、個人経営の店があるということも重要なポイントのようです。一方、「改善して欲しいところ」は、30%の人が“アーケードがない”と答えてトップに。次は選択肢に“あてはまるものはない”が25%程度。“人が多くて混雑している”が続きます。雨除け、日差し除けの目的で、アーケードを求める声は多いようです。因みに、アーケードのある吉祥寺サンロード商店街の利用者に対するアンケートでは、60%の人が好きな理由に“アーケードがある”を挙げています。
 おもしろいのは、「好きなところ」に“個人経営の店がある”という一方で、「改善して欲しいところ」に“チェーンのコーヒー店がない”という意見があったり、“活気がある”のは良しとしながらも“混雑している”のが嫌という意見もあったりするところ。多様な価値観で語られることは、商店街が誰にとっても魅力的である証拠です。

生徒と保護者が不信感を抱く学校給食とは

 神奈川県大磯町の中学校の給食。食べ残しが多いという話題がテレビのワイドショーで取り上げられていました。大磯町で給食が始まったのは、2016年1月。校内に調理室がないため、弁当を配送してもらう形で始まりました。当初から、「冷たい」「味が薄い」「おいしくない」と生徒たちのクレームが多発。残す生徒も多く、残食率は全国平均の6.9%を大きく上回る26%。最も多かったのは“照り焼きハンバーグ”のメニューで残食率は55%でした。
 冷めているのは、細菌の繁殖を防ぐ意味において仕方のないこと。味が薄いのは、大磯町教育委員会から「食育のため薄味に」との要請があるからとのこと。味が薄い冷めた“照り焼きハンバーグ”が生徒たちに不評なことは、容易に想像できます。
 そんな状況の中、多発した異物混入。生徒たちの給食への不信感は一気に増幅しました。その件数、町長の発表では開始時から84件。このうち15件は業者の工場での混入が確認されたものの、残りの件数については、いつ混入したものか分からないといいます。あってはいけないことですが、毛髪や虫、ビニール片などは工場での混入が推測されます。一方、混入物の中には、シャープの芯などもあり、一部報道では生徒を疑うかのような表現がされていました。
 食育は、食べてもらわなくては意味がありません。味が濃い加工食品に慣れた子どもたちに、何の工夫もなく薄味を押し付けても拒絶されるだけです。食事は楽しいことが最も大切です。ここまで深刻化した状態から、給食に対する不信感を払しょくすることはかなり困難でしょう。この問題、弁当製造業者の変更で片付くものではありません。大磯町教育委員会は、給食に対する取り組みを根本から考え直し、そのことを一日も早く、生徒と保護者に伝えるべきだと思います。