10月1日は「しょうゆの日」

 10月1日は「しょうゆの日」です。和食に欠かせない調味料であり、みそや納豆と並ぶ日本を代表する大豆発酵食品です。
 中国をルーツに、弥生時代からその歴史が始まっていると言われるだけあって、地域に根差した文化があるのも、おもしろいところです。とは言え、現在では出荷量の8割以上が一般に「しょうゆ」と呼ばれる「濃口しょうゆ」。色よく仕上げたい料理に欠かせない薄口しょうゆが1割強です。「薄口」とは色が薄いという意味で、味が薄い、塩気が少ないわけではありません。反対に、色を薄くするために塩を多く添加しています。
 夫の実家がある愛知県では、「たまりじょうゆ」も一般的です。「さしみじょうゆ」とも呼ばれ、とろりとしていて濃厚なうま味と強めの香りがあります。岐阜県、三重県を含めた東海3県が「たまりじょうゆ」の産地です。その起源は諸説あるのでしょうが、私が聞いたのは、徳川家康の家来がみそを作る過程でみその上に溜まった液をなめたところおいしく、それを「たまりじょうゆ」として広げたというもの。戦に忙しい時代、製造過程で攪拌しなくてはならないしょうゆよりも手間がかからず、重宝したのでしょう。愛知県碧南市は、薄口しょうゆよりもさらに色が薄い「白しょうゆ」の産地でもあります。
 九州のしょうゆが甘いことは皆さんご存知だと思います。私も、初めて口にしたときはびっくりしました。マグロやカツオに代表される赤身文化とフグやカレイに代表される白身文化。それぞれに合うしょうゆが広がったと聞いています。

秋の味覚、不漁と天候不順で。一方、松茸は・・・

 9月に入り、大分過ごしやすくなりましたね。夜には虫の音が聞こえ、秋を感じます。
 今年、「サンマ」は驚異的不漁。8月の漁獲量は、過去最低だった昨年の2割程度でした。サンマの水揚げ量が日本一の北海道・根室の花咲港では、初競りで付いた値段は、かつてない最高値のキロ5,508円。産地の北海道東部でも1尾300円前後で売られているといいます。一方、秋を待たずして豊作だったのが、「松茸」。6~7月の記録的な降水量と涼しい気候のおかげで、7月末から採れ始めました。今秋は量が多く、価格も安めのようです。ハロウインが近くなると、惣菜やスイーツで大量に使われる「かぼちゃ」。産地の北海道では長雨と日照不足の影響で生育が悪く、収穫量も少なめ。8割高で推移しています。秋スイーツの材料として女性に大人気の「栗」は、開花時期の7月が低温、夏は猛暑で虫が大量発生。イガは大きいのですが、虫喰い状態で売り物にならないものが例年より多くなっています。同じく女性が好きな「さつま芋」。今年は安定しているようです。
 さつま芋は、土地がやせていても、素人でも作りやすいと言われる優良野菜。私も学生のときに必須科目の生物学で畑を一区画与えられ、さつま芋を植えました。今思えばもったいない話ですが、当時はまったく関心がなく、雑草だらけ。それでもちゃんと収穫できました。そんなたくましいさつま芋、安値安定のイメージがありますが、近年は焼き芋人気で価格は上がっています。

コロナのおかげ?! 動画で見られるプロの技

 新型コロナウイルスの感染対策が続く中、料理人たちが料理動画の配信を積極的に展開しています。
 緊急事態宣言が発令されたとき、NHKが「仕事の流儀」の緊急企画として「プロのおうちごはん」と題する番組を放映していました。日本各地のプロの料理人たちが「自宅でできる簡単・絶品レシピ」を自撮りで紹介する番組で、プロならではの“知恵”と“技術”が詰まっていました。
 そんな動画を、今、You Tubeでたくさん見ることができます。家庭でできるよう、材料も作り方もシンプル。でもプロのコツはしっかり教えてくれているので、挑戦欲をかき立てられるという意味では、料理に余り自信のない男性にもぴったりです。
 家庭料理だけでなく、店で提供しているメニューのレシピを公開する料理人もいます。自慢料理のレシピは、店の財産。門外不出とも言えるのではないかと思いますが、レシピを公開した方が店にとってのメリットは大きいと考える人が増えているそうです。理由は、レシピを試した人から感想が届き、それを参考に作り方を改良することができたり、紹介した料理がおいしいとネット上で評判になれば料理人や店が有名になり、「店で食べてみたい」と思う人が出てきたりもするから。
 もともと個性豊かな人が多い料理人。料理だけでなく、シェフのキャラクターも楽しめるのは、動画ならではです。馴染みのシェフたちの動画には、それぞれに人柄が滲み出ていて。お店に行かれない分、余計に懐かしさがこみ上げてきました。

コロナ禍の今冬、鍋トレンドは個鍋?!

 飲食店のメニュー写真投稿サイトを運営するSARAHが、約70万の投稿データを元に生活者の外食嗜好を分析するサービス「Food Data Bank」で6月の投稿数を分析した結果があります。
 それによると、鉄板や大皿で提供され、客同士が席で分け合うことが多いメニューが敬遠される一方、ラーメンやカレー、うどん、パスタ、ハンバーグなど、1人前ずつ提供される料理の投稿は多くなっているとか。そう言えば、高島屋の来年のおせち商戦。1人用や少人数向けのタイプを例年の1.5 倍に増やす計画なのだそうです。帰省しないでひとりでお正月を過ごす人が多くなるとの予想もありますが、コロナ禍で取り分けて食べるスタイルを敬遠する向きもあるとか。
 ならば、今冬の鍋市場はどうなってしまうのでしょうか。もちろん、忘・新年会などできる状況ではないと考える生活者も多いでしょうし、密になりやすいので宴会料理として選びづらい状況でもあり、外食市場における鍋料理の出現率はかなり低くなると容易に予想できます。
 一方、ここ1年、「しゃぶしゃぶつかだ・渋谷スクランブルスクエア店」(東京・渋谷)や「ひとりしゃぶしゃぶ 七代目 松五郎」(同・赤坂)など、ひとりしゃぶしゃぶの店が大人気です。数年前、デパ地下では「ひとり鍋」がよく売れました。家族の好みに合わせてひとり鍋を複数個購入する客が増えたのです。今冬の鍋トレンドは、やはり“個鍋”でしょうか。