常態化する気象異常。野菜の価格高騰も常態化 ?

 気象予報では、9月は残暑が厳くなるとのことでしたが、さにあらず、一雨ごとにと言うよりゲリラ豪雨ごとに、ガクンガクンと寒くなっているような。
 9月は曇りや雨の日が多く、早速、野菜が高くなるのではと心配しています。昨年は、秋の長雨に加え、台風21、22号と立て続けに台風に見舞われ、ビニールハウスが壊れるなどの被害によって水菜や小松菜、ブロッコリーの価格が高騰。白菜やねぎなど鍋野菜も倍近い価格になり、鍋シーズンの本格的なスタートに水を差しました。野菜の価格は、通常1、2週間で落ち着くと言われますが、昨年は2か月以上も続き、1月に入っても高いままでした。スーパーでは、キャベツや白菜は1/4にカットしたものが中心に売られ、丸ごとを求めるのが難しかったことを覚えています。
 さらにこの高値は、今年に入っても続き、野菜がたっぷり食べられると人気のリンガーハットは8月、ちゃんぽんを値上げしました。カット野菜を製造販売するサラダクラブも、品薄状態が続き、値上げせざるを得ない状況になりました。因みに、一昨年も、昨年同様、日照不足や台風の影響で葉野菜が高騰しています。
 「今年の野菜の価格高騰は異常」と言う言葉が、毎年のように聞かれるようになりました。それは気象も同じ。「異常な酷暑」も「異常な雨量」も、もはや異常とは言えない状況になっています。風雨に強く、日照時間に左右されない野菜の開発、工場生産される野菜の量産化などと同時に、比較的価格が安定している野菜を利用する料理や加工食品の提案も必要です。

北海道地震。停電が食に影響

 9月6日に発生した北海道地震は、食業界にも大きな影響を及ぼしています。
 震度7を記録した厚真町を中心とした地域では、農地や農道の地割れ、畑の地盤沈下、山崩れによる土砂の堆積など、農業自体ができない状態に。大豆やカボチャ、特産品のハスカップが被害を受けました。
 今回の地震の影響、範囲を大きくした最大の原因は、停電です。農業と言えど、大規模な農業経営になればなるほど、電気施設に頼るところも大きく、その影響は計り知れません。中でも北海道を代表する産業の酪農の場合、自動で搾乳する装置を使う生産者も多く、搾乳できなかったことで、乳量、乳質低下の原因になる乳房炎が多発。死亡する乳牛も出ています。牛乳の出荷量は低下。学校給食を優先に配布しているため、都内では、一時牛乳が店頭から消えたスーパーもありました。
 加えて、北海道には食品工場がたくさんあります。明治、森永乳業、雪印などの大手乳業メーカーを始め、北海道のじゃが芋を原料にしているカルビー、やはりじゃが芋でポテトサラダなどを作っているキユーピー、畜産に直結している伊藤ハム米久ホールディングスや丸大ハムなどの食肉加工メーカー、その他、マルハニチロの缶詰、冷凍食品工場や日清食品の即席めん工場などなど。いずれも、停電で製造停止に追い込まれました。
 農業、畜産、水産と、すべての食の生産地であり、しかもそれを加工する食品工場も多い北海道。地震で電気が止まり、鉄道や道路などのインフラが滞ると、即首都圏に影響が及びます。改めて、自然災害多発国における食の安定供給について考えさせられました。

サラダイコール野菜とは限りません

 この夏行った米国アリゾナ州。ハイウェイ沿いの小さな町のイタリアンレストランでのこと。戸建てのそれは、レストランフロアが広く、街中の人が集えるのではないかと思えるほど。なのに客は、私たちと老夫婦の2組だけ。野菜が食べたくてオーダーしたのは、イタリアンサラダ。サラダの項目のトップにあったメニューです。
 ところが来てビックリ。サラダというより“アーリオ・オリオ・ペペロンチーノ風冷製パスタ”。期待の野菜はオリーブのみ。「これがサラダ???」と驚きました。
 その後も“あのイタリアンサラダ”のことをよく思い出していました。そして思い付きました。日本のマカロニサラダも同じような物だと。パスタをマヨネーズで和えただけで、野菜はほとんど入っていません。デパ地下惣菜では、ペンネをアラビアータソースで和え、冷やした料理を“ペンネサラダ”という商品名で販売していたようにも思います。「パスタ料理は、冷やせばサラダになる」の法則です。
 そういえば、サーモンや白身魚、生肉のカルパッチョも、トマトとチーズで作るカプレーゼも、イタリア料理の中ではサラダです。日本にいると、“サラダイコール生野菜”のイメージが強くなります。特に近年、パワーサラダブームの影響で、そのイメージが自分の中で固定化されているように思い、反省しました。
 パスタサラダ同様、“きんぴらサラダ”や“ひじきサラダ”など、「和惣菜に水菜を加えればサラダになる」という法則も日本にはありますね。

米国で人気。フムスとギリシャヨーグルト

 ひよこ豆をペースト状にすりつぶしてゴマペースト、オリーブオイル、にんにくやレモン汁と合わせたフムス。起源は、トルコやギリシア、イスラエルなど中東です。日本にも、中東料理のブームが来ていますが、米国ではすでに、フムスはすっかりポピュラーな食べ物になっています。
 米国のスーパー、トレーダージョーズには、冷蔵ショーケースいっぱいにフムスが並びます。ほうれん草入り、トマト入り、なす入り、オリーブ入りなど種類も豊富です。人気の理由は、ヘルシーだから。ひよこ豆は、タンパク質、ビタミン、カルシウム、葉酸、マグネシウム、亜鉛、食物繊維が豊富ですし、ごまには、リノール酸やオレイン酸などの不飽和脂肪酸や必須アミノ酸が豊富に含まれています。そこにオリーブオイルとくれば、健康と美容にいい食品として人気になるのも頷けます。
 もうひとつ近年米国で話題なのが、ギリシャヨーグルトです。特に人気を集めているのは、「CHOBANI(チョバーニ)」という新しいブランドの商品。2007年発売以来、4年でダノンのシェアを抜いたほどの加熱ぶりです。マンハッタンのソーホーにはショップがあり、「CHOBANI」に、フルーツやナッツ、チョコレートを組み合わせたメニューのほか、セイボリーメニューとして、スープやサンドイッチ、オリーブオイルをかけてディップとして楽しむものなども揃っています。健康によくておしゃれでおいしい。そんな点が米国人を魅了しているのでしょうね。