お花見の季節。デリバリーで“桜食べ” ?

 3月21日春分の日、東京では桜の開花が宣言されました。22日のワイドショー番組では、まだ咲いていない桜の木の下で早くも宴会が行われていて「花見」ならぬ「枝見」と紹介されていました。四季のある国に生まれた性なのでしょうか。日本人は、景色を愛でながら飲み食いすることが好きな民族だと思います。
 子どもが小さかった頃、我が家も毎年、「お花見弁当」を作って千鳥ヶ淵や代々木公園に行きました。まだ肌寒さが残る中、お弁当を広げると、風に舞う桜がおむすびや厚焼き卵に彩りを添えてくれました。若者たちのグループは、もっぱらコンビニやスーパーの惣菜の持ち寄り。ピザをデリバリーし、カクヤスからビールを運んでもらうちゃっかり組もいて、今風だと思ったものです。
 デリバリーと言えば、都内ではここ1年、ウーバーイーツの四角いバッグを背負って自転車を走らせる男性の姿を、とにかくよく見掛けるようになりました。以前は、ピザや寿司など、デリバリーできる料理が限られていました。でも今は、デリバリーシステムが整っていますから、飲食店は選び放題。どこに居ても、どんな料理でも、オーダーできます。代々木公園の桜の花の下、テーブルを用意してフレンチのフルコースを楽しむことも可能です。
 簡易椅子を持って好きな場所に行き、景色をアテに酒を飲む「街飲み」がひそかに流行っているとか。今は、桜食べ、海食べ、紅葉食べと、「四季の借景食べ」が楽しめる時代なのです。

食卓に上る日も近い?! 安全でおいしいジビエ

 先週、“オクシブ”でジビエをいただきました。あくまでも私の実体験ですが、30年前、ジビエといえば、フレンチレストランで出される山鳩や雉、野うさぎが中心でした。またイタリアンレストランではエゾジカなどもローストなどシンプルな料理で提供されていたと思います。それが最近、東京においては、トレンド要素が強いレストランでジビエをウリにする飲食店が増えていると思います。
 国産のジビエは、ほとんどがイノシシやシカです。それを注文するときに「これは害獣ですか?」と伺うと、ほとんどの飲食店において、害獣であり、その肉を食することは命を大切にする意味で良いことだという返事が返ります。私はいつも、「害獣って、悪いことしたのを見て打つの 中には、山でドングリだけを食べて里には下りて来なかったイノシシもいるよね」などと、意地悪を言ってみたりもします。
 害獣としてのイノシシやシカを有効利用することは、環境問題だけでなく、食糧問題を解決するひとつの手段としても有効です。農林水産省の2017年度の調査によると、全国の害獣処理施設の販売量は食肉向けが1146トン、ペットフード向けを加えると1519トンで、前年度に比べ30%増えています。とは言え、捕獲された鳥獣の多くがそのまま埋めるなど処分されていて、イノシシとシカのジビエとしての活用率は全国で約7%に留まっているとか。農林水産省は、適切な衛生管理に取り組む食肉処理施設を認証する「国産ジビエ認証」制度を導入するなど、安全安心のニーズに応えられる市場の育成を図っています。
 業界の動きに先立って、マックスバリュ九州とイオン九州は1月、佐賀県内の5店で、イノシシ肉の販売を始めました。佐賀県内で捕獲された天然イノシシを食用として活用。地域の特産品、観光資源とすることで、地域活性化や農林業被害の軽減に繋げる狙いです。家庭で安全でおいしいジビエが味わえるのも、そう遠い話ではなさそうです。

雛祭りにちらし寿司。“木の芽”の高さに翻弄されます

 今年も雛祭りにちらし寿司を作りました。以前に、このコラムで書きましたが、ちゃんと料理に向き合う気持ちを、年に1度自分で確認するかのように、ちらし寿司を作ります。母校の女子栄養大学に伝わる、故上田フサ先生によるレシピです。具材は、かんぴょう、れんこん、しいたけ、人参、エビ、穴子、でんぶなど、そのすべてを別々に調理し、最後に合わせます。その丁寧な作業が、気持ちを正してくれると共に、煮物や焼き物、炒り物の基本を思い出させてくれます。
 今年は都合で、1週間遅れの雛祭りでした。遅れた分、食材集めには苦労しないだろうと思っていたのですが、さにあらず。やはり今年も“木の芽”がなかなか手に入りません。近くのスーパーに問い合わせると、まだ入荷していない店も。春の節句が過ぎても入荷していないとは、はなから入荷する気はあるかしらと思います。仕方なく、渋谷の東急フードショーへ。か弱き木の芽が数枚張ったパックが238円。1枚40円と思うと、なかなか手が出ず。しかも数枚では意味がなく、いっそ今年は木の芽は諦めようと売り場を離れ、でもやはり、春の節句のちらし寿司に木の芽は欠かせないだろうと思い、売り場を行きつ戻りつ。結局、「この贅沢には意味がある」と自分に言い聞かせ、2つだけカゴに入れました。
 南天の葉、菊花、花穂じそ、防風など、日本料理につきものの“あしらい”は、家庭での需要が少ない分、価格は高めです。私は、よく使う南天は、鉢植えで育てています。でも山椒は2度失敗しました。木の芽を買う度に、今年こそ栽培を成功させようと思うのです。夢は、木の芽を贅沢に使う“木の芽和え”を作ることです。

主婦であることを楽しみたい人の雑誌「Mart」

 女性誌「Mart」。弊社が発行している「食のトレンド情報」の媒体資料にも入っています。出版元の光文社の資料には、[私の半径5m に幸せがある] 家まわりのことが大好き!「暮らしを楽しむ」エキスパートそんな主婦とつくる生活情報誌、それがMartです。と紹介されています。その通り、主婦であることをエンジョイしたい女性のための雑誌です。特徴は、インタラクティブな参加型の雑誌であること。同じく光文社発行の「VERY」がファッションページに読者モデルとして登場したい雑誌No.1だとしたら、「Mart」はアイデア主婦、賢い主婦、家事が上手い主婦として登場したい雑誌No.1でしょう。
 4月号のマートは、300円均一(税抜き)のショップ“3coins”がテーマ。おすすめの品、売れている商品を取り上げています。ベスト1は、ネイビー色の“中が見えにくいランドリーネット”。布団サイズの大きなものもあり、週末コインランドリーでまとめ洗いをする生活者が増えている現状とそこから生まれる新しいニーズをしっかり掴んでいると思います。3位は“ドリンクパックカバー”。牛乳の1ℓパックなどにかぶせて使います。パッケージを隠す商品は他に、“薬味チューブカバー”やラップを入れ替えるケ―ス、ジェルボール(衣類洗剤)の入れ替えケースなども。薬味チューブにカバーをすれば、来客時、テーブルに出しても恥ずかしくないと読者は言います。「Mart」の読者は、ママ友と持ち寄りパーティをするのが好きなので、見せ合う機会はたくさんあるのでしょう。パッケージデザインにもお金をかけているメーカーさんにはツライ話です。