祭りの屋台メニューあれやこれや

 夏本番、いよいよ日本のお祭りの季節が始まります。参道に屋台が立ち並ぶ光景は、いくつになっても、ちょっとワクワクします。
 屋台の食べ物を外国人に説明するのは、なかなか難解です。例えば、“たい焼き”。なぜスイーツなのに魚?の疑問には、「この形は鯛を表わしていて、鯛は日本ではめでたい魚だから」と説明します。では“たこ焼き”は?「たこの形じゃない」との疑問には、「たこが入っているから」と答えます。“イカ焼き”は、説明不要です。“焼き”は、前に付くことも。“焼きとうもろこし”“焼きそば”“焼鳥”。「素材+調理法」「調理法+素材」のメニュー名は、万国共通。例外として、“唐揚げ”が、両立系として“牛串”と“串カツ”があります。
 “たこ焼き”が分かれば、薄いえび煎餅にたこ焼きをはさんだ“たこせん”が想像できます。たこ焼きの代わりに目玉焼きをはさめば“たません”です。“たこせん”は大阪で、“たません”は愛知でわりとメジャーのよう。
 一時、“横須賀ハンバーガー”の屋台が目立ったように、トレンドを取り入れたメニューが登場するのも屋台のおもしろいところです。近年は、何といっても“フルーツ飴”。元は女の子向け屋台スイーツだった“りんご飴”は、東京のおしゃれな街に専門店が登場。大人になった女子たちが列を作りました。りんごは、食べやすい小さな姫りんごになり、イチゴやシャインマスカットの飴がけは屋台でも人気です。
 定番のお好み焼き”は、“モダン焼き”“広島焼き”とのれん替えをする屋台が増えたような。作り方は、広島焼きを簡略化したレシピのようで、水で溶いた小麦粉を鉄板の上で薄く伸ばし、焼きそばの麺をのせてキャベツのせん切りを山のように重ねる。この作り方のほうが火の通りが早く、前を歩く客に、ヘルシー感とボリューム感が伝わりやすいのでしょう。因みに“お好み焼き”を割り箸に巻いた“はしまき”は、九州・四国では定番屋台グルメなのだそう。祭りに最適な、ワンハンドフードに変身です。

“グルメバーガー”。都市部と地方の格差

 節約志向が強まる中、ハンバーガーチェーンの高価格帯商品の売上が好調。各チェーン、リッチな商品の品揃えを増やしています。
 「マクドナルド」は、4月に期間限定で発売した“サムライマック・炙り醤油風トリプルビーフ”(税込780円~) を顧客のアンコールに応えて6/14から12日間限定で復活、「モスバーガー」は、国産牛100%使用パティの“新とびきりチーズ~北海道チーズ~”(同690円)を4年ぶりの定番商品として発売しました。「ウェンディーズ・ファーストキッチン」は高級バーガーの第2弾として、10枚近いローストビーフをビーフパティと一緒にはさんだ“ローストビーフバーガー”(同2090円)を期間・店舗限定で4/18から販売しています。
 「シェイク・シャック」や「ウマミバーガー」、古くは「クア・アイナ」など、米国発の“グルメバーガー”と称される高級ハンバーガーの広がりによって、今や日本人経営のグルメバーガーショップも珍しくはありません。それは都市部においても地方においても。が、しかしここに来て、食材費の高騰と人手不足による人件費の上昇は、またも都市部と地方での格差を生んでいます。地方で人気のグルメバーガーショップの場合、財布のひもを固くする顧客に向けて食材費の高騰をそのまま価格に反映することができません。加えて、バイト代を上げなければ人を雇えない状態。自ずと、ワンオペ経営が続き、閉店という選択肢しか残らなくなります。
 ハンバーガーショップひとつを見ても、都市部と地方の格差は歴然です。が、ここで注意すべきことは、分母です。都市部は、分母が多いから高価格帯のグルメバーガーを購入する分子が多いということ。逆もまた真なりです。都市部なら、高くても売れるというわけではなく、地方だから安ければいいというものでもない。分母と分子の鉄則は、いつの時代もどこにでも当てはまるものだと思います。

プロテインクライシスの解決になるのか“納豆菌粉”

 代替タンパク質源として、慶應義塾大学発スタートアップ、フェルメクテス(山形・鶴岡)が開発した新素材“納豆菌粉”。納豆菌を大量培養して乾燥粉末にしたもので、主成分は100gあたり70g以上がタンパク質です。カロリーがほぼ同じ小麦粉に比べてタンパク質を効率的に摂取できるうえ、もちもち感を高めるなど食品の物性を改善する効果もあるといいます。
 大きな特徴は、生産効率が極めて高いこと。約60分で2倍量になるとか。スプーン1杯(1g)の納豆菌が24時間後には1600万倍の16トンになる計算です。必要なのは、大きなタンクとバイオマス由来の培養液のみ。バイオマスとは、再生可能な生物由来の有機性資源で、石油や石炭などの化石資源を除いたもの。麦わらやもみ殻、サトウキビやとうもろこし、菜種などで、食品廃棄物や台風で倒れた樹木も含まれます。
 人口に対してタンパク質の需要と供給のバランスが崩れる“プロテインクライシス”が起こると予想される2050年。インドやアフリカの一部の国々では、人口が急増すると言われています。そのような地域において、未利用だったり、廃棄されたりしていた資源を使ってタンパク質源として納豆菌粉を生産することが可能です。フェルメクテスは今後、その土地その土地の納豆菌粉が作れるよう、培地に応じて納豆菌をカスタマイズしていくことを目指します。
 日本では、植物性のタンパク質源として、大豆を原料に納豆やプラントベースフードが作られています。が、知っての通り、大豆は9割を輸入に頼っているのが現状。台湾有事とシーレーン封鎖の危険性が否定できない今、改めて食糧自給率の低さが大きな問題になっている我が国においても、納豆菌粉は救世主になり得るのかもしれません。

渋谷区の“路上飲酒禁止”条例で思うこと

 東京都渋谷区議会は6/17、渋谷駅周辺での夜間の路上飲酒を通年禁止にする改正条例を全会一致で可決しました。施行は2024年10/1からです。渋谷区によると、禁止時間帯は午後6時から翌朝午前5時まで、区域は現行よりもさらに広げる方針。ただし、違反者への罰則はありません。渋谷区は19年、ハロウィンや年末年始に渋谷駅周辺での路上飲酒を禁じ、コンビニなどに酒類の販売自粛を求める条例を制定。昨年は「ハロウィン目的で街に来ないで」と強いメッセージを打ち出し、そのためか、新宿歌舞伎町に仮装した人々が詰め掛けました。渋谷区の方針を受け、新宿区でもハロウィンの期間などに限って新宿駅周辺での路上飲酒を禁止する条例を制定する方針を明らかにしています。
 確かに渋谷では、平日の夜でも、訪日観光客とおぼしき方々が路上飲みをしている光景をよく見掛けます。週末ともなれば、日本人の若者たちも。訪日観光客にとって、屋外で自由に飲酒ができる環境は、自国ではできない特別な開放的な体験なのでしょう。
 1980年代のNY。歩きながらの飲酒ができないと聞いたときは、違和感がありました。「何でもアリと思っていたこの国で?」と思ったのです。余談ですが、罪の軽重は国によって大分違うようです。車でないと行かれない田舎町のバーでは、パスポートの提示を必ず要求されました。未成年者の飲酒に対しては、飲酒運転よりも厳しいようです。70年代のシンガポールで、ゴミやたばこをポイ捨てすると罰金が科せられると聞いて驚いたことも。昭和の日本では、吸い殻は路上に捨てるのが当たり前でしたから。
 かつては、表参道や公園通りを会場に、商店街や企業が協賛したハロウィンイベントが積極的に展開されていました。が、今となっては「来ないで」とアピールすることに。規制によって行動制限をされることに慣れていない日本人は、近年、節度を保つことで自由を維持することの難しさを学ぶ機会が増えていると強く感じます。

 

カーボンニュートラルとScope

 2020年10月、政府は50年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すことを宣言しました。「カーボンニュートラル」とは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味します。CO2をはじめとする温室効果ガスの“排出量” から、植林、森林管理などによる“吸収量” を差し引いて、合計を実質的にゼロにするということです。
 旗を振るのは、農林水産省。今年1~3月、加工食品の「カーボンフットプリント(以下CFP)」の算定実証を実施しました。CFPとは、商品・サービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでの間に排出される温室効果ガスをCO2に換算したものと定義されていて、CFPの可視化においては、サプライチェーン全体におけるCO2排出量が重視されています。つまり商品・サービスを提供する企業単体のCO2排出量だけでなく、関連する取引先や消費者など広い範囲のCO2排出量をカバーする必要があるということです。
 そこで登場する言葉が「Scope(スコープ)」です。Scope1は“事業者自らによる温室効果ガスの直接排出”、Scope2は“他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出”、Scope3は、Scope1とScope2以外の間接排出。自社を挟んだ上流(原材料の製造や配送など)と下流(製品の輸送や廃棄など)を合わせたサプライチェーン全体におけるCO2排出量がScope3に当たり、これらを含めた施策が必要になります。
 農林水産省は、実証実験で問題点を洗い出したのち、本年度中には共通算定ルールを策定し、広範囲な加工食品への適用を確認。CFP削減に繋げた場合は、その旨をパッケージ上に併記する方針で、それが生活者の購買行動に影響を及ぼすことを期待しています。実は、食品のCFP表示は以前、試行段階で頓挫した経験があり、今回は、カーボンニュートラルの達成が急務となる中での定着へ向けた再挑戦。果たして思惑通りに市場を動かせるのか。企業の協力と消費者教育の両輪で進ませることが肝要です。

ミニストップの新店は“FFもある小型スーパー”?

 ミニストップが5/20にオープンした “ニューコンボストア”のフラッグシップ店「ミニストップ神田錦町1丁目店」(東京)に立ち寄りました。ファストフード(FF)と食品スーパー型品揃えで“ショートタイム・ワンストップショッピングを実現”したとのこと。
 この店舗については「食のトレンド情報」でも取り上げています。要約すると、①FFは、専門店品質の商品を一番おいしいでき立ての状態で届ける②生鮮食品や冷凍食品の品揃えを拡大③キャッシュレス化を推進。セルフレジ、モバイルオーダーと共に、買い回りしやすいレイアウトでショートタイムショッピングの提供を目指す④オンラインサービスとの融合も計画。
 売り場で目立つのは、②。イオンのPB「トップバリュ」をからめた冷凍食品やチルド惣菜の品揃えは、かなり充実しています。ほかに目に留まったのは、コスメ系グッズの雑貨屋風落とし込みと、たばこの壁一面売り場です。
  ミニストップは、創業当初よりコンビニエンスストア(CVS)と店内加工FFを組み合わせた“コンボストア”という独自のスタイルで差別化を図っています。CVSの機能性、ソフトクリームやハロハロなどのFF、店内厨房で調理されるおにぎり・弁当・惣菜、ほぼ全店で配置されているイートインコーナー。これらが1店舗に凝縮されていることが“コンボストア”たる所以です。かつて、他CVSチェーンとの差別化を強化するために、厨房の面積を削ってイートインコーナーを拡げた実験店を開設しました。このときも、“ニューコンボストア”と称していました。今回の“ニューコンボストア”は、“FFもある小型スーパー”でしょうか。“ショートタイム・ワンストップショッピングの実現”は、小型スーパーそのもの。そこにFFの魅力をどう付けられるのか。コールドスイーツ以外に目玉となるFFがないことが、ここにきてまたも課題として浮かび上がります

むくみ軽減機能性表示食品。“顔vs.脚”

 ポッカサッポロフード&ビバレッジの「キレートレモン MUKUMI」の売り上げが急上昇しているそう。この商品、昨年の食市場のトレンド講演で、【ヘルシー志向】に繋がるキーワード【Re活】の中で取り上げました。
 “withコロナ”の生活が浸透し、外出気分が一気に高まった2023年。海外旅行も視野に我慢していた旅行を計画したり、今まで見合わせていたイベントに参加したり。再び活動を活発化させる【Re活】が増えていました。そうなると気になるのが、巣ごもり中、手を抜いてしまったダイエットや美容、生活リズムのリセットによる体調の変化です。新型コロナ禍初期に注目されたのは、免疫力を高める食品でしたが、外出機会が増えるにつれ、脂肪対策商品や美容に関わる商品へとニーズが変化。そんなトレンドにぴたりとはまると思われた商品です。
 本品は、レモン由来モノグルコシルヘスペリジンの働きで、“一時的に自覚する顔のむくみ感を軽減する機能”を謳う、機能性表示食品の炭酸飲料。同社は、20~30代女性の約3人に1人がむくみに悩んでいるといわれ、“withコロナ”でマスクを外す機会が増える可能性もあり、“顔のむくみ”に関する悩みは増えていくのではと予測、発売したそうです。“顔のむくみ”という女性に響くトラブルそのものを商品名にしている点は、高評価。ネーミングのインパクトで思わず手に取り、一度は試したくなる商品だと思いました。
 発売当初は、顔のマッサージやストレッチよりも手軽に“小顔”になれるとの期待から。そこに女性K-POPアイドルが飲用していることがSNSなどで広がり、人気が加速。さらに“推し活”をする人の間で、「“推し”に会う前に」という飲用シーンが広がったとか。
 「キレートレモン MUKUMI」発売から1ヵ月遅れで、森永製菓は、コロナ禍の在宅ワークで足のむくみを感じる女性に向けて“脚のむくみを軽減”と謳う初の機能性表示食品「inゼリークリア ゆずレモン味」を発売しました。成分は同じ、レモン由来モノグルコシルヘスペリジン。顔と脚。“やっぱり顔!”かな?

減塩食もおいしくいただける?!「エレキソルト スプーン」

 キリンホールディングスは、明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科の宮下芳明研究室との共同研究によって開発した、電気の力で減塩食品の塩味やうま味を増強する食器型デバイス「エレキソルト スプーン」の予約・抽選販売を、5/20より公式オンラインストアで開始しました。初回は200台限定。6月からは、ハンズの一部店舗でも数量限定で販売します。
 この情報のタネは、「2022年 食市場のトレンド」講演でお話ししました。【X-Tech(クロステック)】に繋がる【五感テック】のキーワードの中において。【X-Tech】は、既存の業界のビジネスと、AIやビッグデータ、IoTといった先進的なテクノロジーを結びつけて生まれた新たな製品やサービス、またはその取り組みを指します。そして【五感テック】は、視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚といった五感に代表される、人間の感覚全体を情報通信の対象にするものとして提案。この実現により、従来の音声や画像に加え、触感や味、においなどの感覚を相手との間で交換、共有することが可能になり、遠く離れた人とも、食を媒介にして対面と同じような、より自然で現実感のあるコミュニケーションが可能になると考察しました。
 同社が22年4月に公表した画像では、スプーンではなく、手首に電源装置を装着する箸型のデバイスでしたが、9月にはスプーン型に変更されています。当時、同社が減塩中の30~69歳男女に行った調査で、濃い味で食べたいメニューの1位はラーメン、2位はみそ汁だったことから、ラーメンや汁物に使うことが多いスプーンに変更したようです。因みに椀型のデバイスも開発しています。
 この情報と併せて紹介したのが、宮下教授が開発を急いでいた、ディスプレーに繋いだ機器に舌を当てると、画面に表示された食べ物の味を瞬時に感じることができる試作機。テレビに機器を内蔵すれば、グルメ番組を見ながら味見をすることも可能になるデバイスで、企業との連携を模索して30年頃の実用化を目指しています。

KFCの思い出

 5/20、米投資ファンドのカーライル・グループは、非上場を目的に日本KFCホールディングスの株式をTOBで取得。その後、三菱商事が約35%を保有するすべての株式を取得する旨を公表しました。
 私がケンタッキー・フライド・チキン(以下KFC)の味を初めて知ったのは、小学生のとき。隣の街に飲食店だけが入るタワーが完成し、1階にKFCがオープンしました。母が作る唐揚げとは別物のオリジナルチキンのおいしさに、完璧に魅了されました。
 フリーランスで仕事を始めたとき、KFCの広報誌の仕事をいただきました。社長は、大河原毅氏。ステージ上で熱く語る氏の姿が印象的でした。当時は恵比寿の駅前に本社があり、試食会などはそこで行われていました。三菱商事から出向した年嵩のお偉い様も何人か参加されていて、オリジナルチキンを前に「こんな油っこいものいつもは食べないんだよね」と言われたことは、今でも鮮明に記憶しています。
 KFCの生命線は、ご存知の通りハーブとスパイスが配合された粉と圧力釜で揚げる製法。ブレはないはずなのですが、私には「KFCは店舗によって味が違う」という持論があります。他のファストフードチェーンでは、余り感じないことです。また海外においては、鶏肉が違うから味は変わります。80年代、本場米国で食べたオリジナルチキンは、スパイス感が弱く、大味に感じられて。日本のほうがおいしいと思いました。
 三菱商事が米国KFCと折半出資で運営会社を設立し、名古屋市内に1号店をオープンさせた1970年当時、一流商社が“トリ屋”をやると嘲笑気味に取り上げられていたことを覚えています。それから半世紀。山あり谷ありだった日本KFCは、三菱商事の手を離れるのでしょう。広報誌から新商品開発、クリスマスバーレルの販促など、いろいろお手伝いをさせていただきました。これからも唯一無二のオリジナルチキン、堪能します。

もはや“安上がり”ではないファストフード

 「いつの間にか値上げしていた!」。今年のGWは、そんな驚きの連続でした。久しぶりに訪れた浅草の天丼屋、六本木の日本料理店、恵比寿の定食屋、渋谷の町中華、近所のハンバーガーショップ。食材代が上がっているのだから仕方ないと同情したり、インバウンド価格にシフトしたのではと悲しくなったり、今が値上げのチャンスとばかり横並びに加わっているのではないかと疑ったり。
 マクドナルドが今年1月の値上げで、モスバーガーやバーガーキングとほぼ同じ価格帯になったことが話題になりました。“ビッグマックセット”は都心店価格で830円です。勝手に安いカレー屋と思っていたココイチ。期間限定メニューの“THEチキンカレー”1030円(税込)に“うずら卵串フライ”131円(同)をトッピングして「いとこ仕立て?」などとニンマリしていたら、1161円(同)。コンビニの弁当価格は、安売りスーパーのそれとは比べものになりません。
 ファストフードチェーンやコンビニチェーンの誕生期、発展期と時代を共にし、それらが食体験の一部になっている世代にとって、ファストフードやコンビニ弁当は、一般飲食店より「安上がり」という固定観念があります。特に、マクドナルドの59円(税別)バーガーやサンキューセット(ハンバーガー+マックフライポテトS+ドリンクで390円)、吉野家の牛丼並盛280円(税込) など、集客を目的とした価格戦略の恩恵を享受してきただけに、度重なる値上げを断行する現在のマクドナルドに対しては、勝手ですが、もはや庶民の味方、ファストフードではないという一抹の寂しさがあります。
 一方、ここ数年で顧客になった世代にとっては、今の価格も違和感なく現実として受け入れられるのでしょう。ファストフードと一般飲食店の区別も、食の調達方法という目的においては、飲食店とコンビニの区別もないのかもしれませんね。