サラダブームを追い風に豆が人気です

 健康志向を追い風に、豆に注目が集まっています。
 追い風は、やはりボウルサラダのブーム。豆は、トッピング具材として人気のアイテムです。豆を加えることで食べ応えが出て、キドニービーンズや枝豆は彩りにも一役買います。大豆や黒豆など和の煮物の印象が強い豆も、サラダのトッピングに使われるようになってイメージが変わりました。特に、野菜や鶏肉などの具材を細かくカットしたチョップドサラダには豆がなじみやすく、大きさもちょうどよかったことが、豆がトッピング具材として急浮上した理由だと思います。
 もうひとつ、最近身近になったのが、ひよこ豆です。ゆでてすりつぶしたものに、練りごま、オリーブオイル、にんにくやスパイスを混ぜ合わせた“フムス”や、同様にゆでてすりつぶしたものに小麦粉とスパイスを混ぜ合わせて団子状にして揚げた“ファラフェル”は、今まで遠い存在だった中近東の料理をいきなり身近にしました。今年2月には、東京・六本木に、ファラフェルを使ったボリュームたっぷりのサンドイッチを販売する「ファラフェル・ブラザーズ」が、4月には、同・新宿に、フムス専門店「ベジ スタンド」が開店しました。
 肉よりも低カロリーで満腹感が味わえるうえ、食物繊維がたっぷりでタンパク質も期待できる豆。今ドキの女性たちが求める要素がいっぱいです。アサイーやチアシードなどのスーパーフードも、ヘンプシードオイルやアボカドオイルなどのコスメオイルも、日本人にはほとんど縁がないものでした。それが、ヘルシー&ビューティの旗印の下、一気に食市場を席捲しました。女性たちの探求心は、今後も、食の未知なる世界を次々に切り拓いていくことでしょう。

食卓においても市民権を得た“左利き”

 私が子供の頃、右利きが当たり前でした。左利きは1クラスに1人いるかいないか。特に女子は、幼少期に右利きに矯正されるのが当たり前だったように思います。
 ハサミも包丁も右利き仕様。洋包丁は両刃なので問題ありませんが、和包丁は片刃なので左利きでは使えません。また食卓では、右利きの人と左利きの人が並んで食事をすると肘がぶつかることもあります。皆一緒、横並びを良しとしてきた日本において、それは異様な光景に映りました。
 かつて料理雑誌の編集をしていた頃、料理に添える箸は右利き仕様が鉄則でした。万が一、箸先を右にして撮影しようものなら、大目玉をくらって再撮を命じられました。左利きは正しくないという不文律が、日本人の中に明らかに存在していたのです。
 ところが最近は、そうでもないようです。象徴的なのは、左利きのタレントをテレビで見る機会が増えたこと。例えば、テレビ東京で土曜日に放送されている「男子ごはん」のメインキャスター、TOKIOの国分太一氏、コマーシャルでは、味の素「ほんだし」の小栗旬氏、同「Cook Do 今日の大皿」の小池栄子氏、かつて西武鉄道のコマーシャルで、吉高由里子氏は旅館の夕食シーンで左手に箸を持っていました。因みに、元AKBの前田敦子氏は、丸美屋「のっけるふりかけ」のコマーシャルで、左利きを封印したそうです。グルメ番組のレポーターにも左利きのタレントが採用されていますし、料理雑誌もデザイン的に処理された構図では、箸が左から出ているものもよく見ます。
 私は、左利きをまったく否定していません。それはマナー違反ではないから。が正直、左手で箸を持つ姿に未だ違和感が拭えません。そのうち、慣れるのでしょうか。

心地良いサービスができる人材の育成を

先日出席したパーティでのこと。メインディッシュの皿に残ったソースをパンで拭おうとした矢先、皿を持って行かれそうになりました。しかも2回も。もちろんナイフとフォークのサインは「まだ終わっていません」を意味しています。シェフが料理説明で、「自慢のソースです。残ったらパンに付けてお召し上がりください」とおっしゃっていたのに。その前から気になっていたのですが、サービス担当者は、食べ終わったお客様の皿をどんどん下げていきます。同じテーブルの中に、食べ終わった人とそうでない人がいたら、全員食べ終わったのを確認してから皿を下げ始めるのがマナーです。
食べ終わった皿は、さっさと片づけること。それが、機敏でスマートなサービスであると教えられているのでしょうか。テーブル数が少ないビュッフェスタイルのパーティならまだしも、着席でのコース料理。その必要がありますか? “もてなしを受けている”という心地良さは一切なく、“早く片付けたいこなし仕事の対象”になった気分でした。
私はある大学で、フードビジネスについての講義をしています。学生たちは後々、ホテル・ウエディング業界への就職を希望しています。彼らの行動を見ていて確信できます。私が不快だと思うことを、おそらく彼らの大半は、そう感じないでしょう。体験し、心で感じ、考えないことが、自然に身に付くことはないと思います。ホテルやウエディング、レストランなどサービス業を生業としていらっしゃる方々には、今まで以上の本気度でサービスパーソンの教育に取り組んでいただきたいと願います。

強まる節約志向。小売り各社はメリハリ消費に期待

 安倍政権が目指すデフレ脱却。遅遅として進まないばかりか、小売各社は一部商品で値下げを断行。他方、高価格帯商品の開発にも注力。生活者のメリハリ消費への対応を急いでいます。
 イオンは2016年11月から順次、PB「トップバリュ」で、売り上げ規模が大きい主力30品目を5〜30%程度値下げしました。一方、素材・環境配慮型のPB「トップバリュグリーンアイ」を刷新。国際的なオーガニック認証を取得した商品「オーガニック」、抗生物質や成長ホルモンを使用せずに育てた家畜の肉や平飼い鶏の卵などの生鮮食品「ナチュラル」、合成着色料や合成保存料、合成甘味料などを使用しない加工食品「フリーフロム」の3つを新設しました。
 またセブン-イレブン・ジャパンは、4月、洗剤や歯磨き粉などNBの日用品61品目の値下げに踏み切りました。値下げは、8年ぶり。値下げ幅は平均5%、最大で20%です。生活者の節約志向が一段と強まる中、販売価格をスーパーやドラッグストアなどの実勢価格に近づけて対応したい考えです。一方、PB「セブンプレミアム」は、生鮮食品を加えるなど全面的に刷新。PBは品質にこだわることで利益を確保、NBは値下げに踏み切って値頃感をアピールします。
 モノの値段が下がることは、経済全体を考えたとき、決して喜ばしいことではありません。両社の高価格帯PBが生活者の心を動かす商品であり、市場を活性化させてくれることを期待します。