サプリメント。錠剤ではなく食品から摂りたい日本人

 2015年4月に発売されたUHA味覚糖の「UHAグミサプリ」が10年越しのヒットを遂げているそうです。“美容と健康のサポート”“機能性表示食品”など 3カテゴリーから成り、26年5月時点で上市されている商品は29種類。美容や健康に関心があるものの、サプリメントを手に取るまでには至らない“ズボラ”な若年層に刺さったようです。私が講演でいつもお話しするのは、「日本人は栄養を食品や飲み物から摂りたいという意識が強い」ということ。サプリメント大国、米国のように錠剤で済ましたほうがラクなようにも思えますが、そうはいかないのが日本人です。
 例えば、コーヒーに機能性を付加した商品が多いこともその一例。ダイドードリンコが発売した機能性表示食品のスティック型インスタントコーヒー「スマートブラック」は、腹部の脂肪、食後血糖値、コレステロール対策という3つの効果が特徴。MEJ(東京・港)の機能性表示食品「C COFFEE PREMIUM」は、脂肪の分解を高めて肥満気味な人の体重や腹部脂肪を減らすのを助ける機能と、便通改善効果が報告されています。一方、サプリメントは「続けるのが難しい」「飲み忘れる」といった声があるのも事実。加齢によりぼやけた視界をくっきり改善し、低下する記憶力の精度向上をサポートすると謳う、ユメミル(福岡・福岡)の機能性表示食品「ひろがるコーヒー」は、コーヒーなら毎日欠かさず飲んでいる人が多いことから開発されました。
 今年トレンドキーワードに挙げた、[サプリウオーター]も同様の理由で注目すべきカテゴリーです。中でも、サントリービバレッジ&フードがトクホ茶ブランド「特茶」から発売した機能性表示食品「特水」は、トクホ・機能性表示食品がほとんど存在していない水カテゴリーにおいて、内臓脂肪の低減といった新たな価値を提案。特茶ブランドは40~50代の男性層がメインターゲットですが、特水は若い世代や女性にもよく飲まれているとか。
 ターゲットとニーズを分析するマーケティング力と、機能性成分を付加してもおいしく作り上げる技術力。両輪があってこその成功を象徴する話です。

常温で物流、保存、冷凍していただく食品

 7/13に発生したロシア系のハッカー集団によるサイバー攻撃を原因とするニチレイの大規模なシステム障害。ニチレイの冷凍食品が買えなくなるだけでなく、傘下の低温物流企業の影響が、日本KFCやくら寿司、多くのスーパーやコンビニ、生活協同組合の宅配サービスや学校給食にまで及んだことで、徹底した温度管理が求められる低温物流に頼っている食市場の現状と、その管理をコンピューターシステムが一括している危うさを初めて知った生活者も多いことでしょう。そんな中、これから注目されるかもしれないのが、常温で運び、常温で保存し、喫食時に冷凍する食品です。
 例えば、2020年、コロッケ(北海道・札幌)が発売した袋入りフルーツアイス「Pocco(ぽっこ)」は、完全無添加でフルーツを常温保存する技術を導入したことで、商品のポスト投函が可能に。冷凍庫で凍らせればアイスが楽しめます。友桝飲料(佐賀・小城)が24年に販売したのは、“凍らせて食べる”をコンセプトにしたゼリー状の清涼飲料水「凍らせる果実アイス」。冷凍車のチャーター代が高騰する中、常温で流通、保管できるアイスを作れないかとの思いから、購入した顧客自身が家庭の冷凍庫で凍らせて食べる商品を考案しました。今年3月には、一般社団法人瀬戸内麦推進協議会(香川・坂出)が瀬戸内産の“はだか麦”を使用したデザート「畑のジェラート」を発売。常温で保存でき、冷蔵庫で冷やせばムースのようななめらかな食感に、冷凍庫で凍らせればジェラートのようなシャリッとした食感になるとか。また7/20に上市されたのは、ドールがロッテと共同開発したパウチ入りフルーツアイス「Dole ムギュっとフルーツ」。常温で保存、冷凍庫で8時間凍らせればジェラートのようななめらかな口当たりのアイスとして味わえます。
 「食のトレンド情報Web」を覗くと、このほかにもさまざまな商品が挙がってきます。常温で物流、保存、食べたいときに冷凍。こんなに使い勝手がいいのに、なぜか注目されてこなかった商品の数々。日和見的と言われそうですが、試してみたいと思いませんか。