パッケージと中身の乖離を楽しむ冷凍食品

 外食を控えている今。いいチャンスと思い、いつもは余り利用しない冷凍食品を食べ続けています。冷凍食品を食べるときの私のルールは、実物とパッケージ写真との乖離を納得していただくこと。食品のパッケージ撮影をフードスタイリストとしてお手伝いしたこともありますから、中身をそのまま撮影しているわけではないことは、もちろん熟知しています。一流スーパーの高い素材を使って丁寧に見栄え良く手作りした料理に、カメラマンの高い撮影技術が加わるのですから、中身との乖離はあって当然です。
 例えば、カルボナーラやボロネーゼなどソースをからめるパスタ料理は余り気になりません。一方、五目あんかけ焼きそばなど具材が満足感を左右する料理の場合は、覚悟しているとはいえ、具材の量、大きさ、彩り、ツヤ感などがやはり気になり、パッケージと中身を見比べて、その差を視覚で確認しながらいただくという悪癖がついつい出てしまいます。
 そんな私のために、パッケージには“盛り付け例”“写真はイメージです”といった但し書きがあります。「中身を表すための写真が“イメージ”とはどういうことだろう」とか、「“イメージ”という表現なら、実物との乖離がどこまで許されるのだろう」とか、「こんなに少ない具材をどうやって盛り付けたらこの写真のような具だくさんの見た目になるのだろう」とか、「エビと麺の太さの比がどう見てもおかしいだろう」とか、いろいろ考えてしまいます。そんなとき、“拡大盛り付け例”という但し書きの商品を発見しました。パッケージは、少ない具材をすべてひと所に集めたであろう焼きそばのアップ写真です。「なるほど、これなら嘘はない」と感心しつつ、フレームアウトしている広大な焼きそば平原を想像していました。

「オンライン飲み会」で生まれる?  新たな親近感

 4/16、政府は新型コロナウイルスの感染防止に向けた「緊急事態宣言」を全国に拡大しました。日本全国で家ナカ消費が加速します。
 既に外出自粛を続けている人は、そろそろストレスが溜まり始めている頃。私の周りでは、酒量が増えたという声もちらほら聞こえます。我慢は続かないもの。しかも疫病は、いつ終息するのか誰も分かりません。いつまで続くのか分からぬ不自由な生活と同時進行している経済不安が、生活者の心を穏やかならざるものにしていることは否定できません。
 疫病の恐ろしさは、人間らしいコミュニケーションを奪うことにあります。欧米人が握手やハグ、キスで親しみを表現するように、日本人も直接会って目を見て会話をすることを重んじてきました。それができなくなってしまうところに、疫病の恐ろしさを感じます。
 そんな中、最近流行っているのが「オンライン飲み会」です。テレビ通話ができるアプリを使って複数人でお互いの顔を見ながら酒を飲む会です。オンライン飲み会を手軽に開催できる「たくのむ」といったサイトも登場していて、その輪は広がっています。お互い好きな酒とつまみを用意してスタート。店で飲むより割安なため、ちょっと高めの酒やいつもは飲まないような珍しい酒を用意したり、手作りのつまみを披露したり。それぞれにちょっとよそ行きな感覚になるのも面白いところ。家ナカ消費は、「外食より安いから」「我慢しているのだからご褒美」といった言い訳がしやすいためか、いつもよりリッチになる傾向があります。
 背景には家の様子が見えたり、在宅だからラフな服装だったり、ノーメイクだったり。そんなことが、直接会える平常時とは異なる親近感を生むのかもしれませんね。

緊急事態宣言で溜る生活者のストレス

 先週7日、緊急事態宣言が発せられました。テレワークを拡大実施する企業が増え、在宅勤務で家から一歩も出ていない生活者も多いと思います。会社に行かなくてもいいこの期間を利用して整形手術をする女性が増えているのだとか。術後の腫れや赤みが落ち着いてから出社できるため、整形したことがバレないからという理由なのだそうです。さすが、女性は前向きです。
 いつも家にいない人が家に籠ると、さまざまなことが起こるようです。欧米では、ドメスティックバイオレンスの被害者が常態時の40-60%増なのだそう。自由が制限されてストレスが溜まっているからでしょう。日本では「コロナ離婚」の予備軍が増えているようです。家で仕事をしながら、1日3度の食事を作り、掃除・洗濯、場合によっては子どもの世話。それらをすべて妻がこなし、夫は仕事しかしていないとしたら、妻のストレスは最高潮に達し、不満が大爆発してもおかしくありません。定年後の夫婦の姿が垣間見えて、稼ぎがあるうちに離婚しようと思い立つのも理解できます。家にいても仕事はしなくてはいけませんが、通勤に消費される分の時間を利用できるチャンスです。料理の腕を磨く、家事のコツを習得するなど、家庭内自立力を付けるための活動をすることをお勧めします。
 自粛自粛でストレスが溜まる日々。イライラした気持ちを穏やかにしてくれる癒し成分のGABAを配合した加工食品や飲料、GABAの含有量を高めたトマトやケールなどの機能性野菜を求める生活者が増えるかもしれません。

終息が見えない新型コロナウイルス感染拡大

 新型コロナウイルスの話題しか耳目に触れない毎日。弊社も、テレワークを始めて1ヵ月以上が過ぎました。
 東京都の感染者数は日ごとに増え、小池都知事が接待のある飲食店に行かないようにと業態を特定して自粛要請を出しました。クラブやキャバクラ、バーなど店側が接客をする店という意味のようですが、同じ風俗店なら、パチンコ店も究極の“3つの密”だと思うのですが。
 自粛から1ヵ月半。全国で関連倒産が出始めました。業種は、旅行業、宿泊施設やクルーズ船運航などの観光関連、外食業、アミューズメント施設、食品製造など。3/23時点で全国で12件が判明しています。ただこれらの企業は、もともと経営が悪化していて、新型コロナウイルスで決定的な打撃を受けての倒産という共通点があります。でも今後は、新型コロナウイルスが原因の倒産、その倒産が引き起こす連鎖倒産が次々に起こることは確実です。
 4/2、弊社が定期購読している「食品商業」の出版元「商業界」が東京地裁へ自己破産を申請しました。部数の伸び悩みが主要因のようですが、何とも複雑な思いがします。
 新型コロナウイルスの感染拡大は、いつになったら終息の兆しが見えるのでしょうか。東京都は、都立高校や中高一貫校の休校措置をゴールデンウイーク最終日の5/6まで延長することを決定しました。果たしてそれまでに終息するのでしょうか。ゴールデンウイーク中に自粛要請が出れば、都民は家の中に1週間近く巣ごもることになります。東京に来る人もいなくなります。それこそ、未曽有の影響がでます。