スケトウダラが高騰。おでんの値上げも必然!?

 お盆が過ぎて、酷暑から一転、秋の長雨。夜の風も涼しくなりました。35℃超えの猛暑日が続いたこの夏、気温が30℃近辺に下がるだけで「体感温度」は早くも秋。今まで見向きもしなかったコンビニのおでんが、急に恋しくなります。
 が今年、おでんが値上がりしそうな情報が入ってきました。はんぺんやちくわなど練り製品の原料になる「スケトウダラ」のすり身の輸入価格が2年前から上昇していて、2017年2月に1kgあたり約240円だったのが、2019年6月には同約401円と、6割ほど上がっているのです。
 理由はやはり、世界的健康志向の高まりで、手軽に魚が食べられるすり身の消費量が増加しているから。確かに、スケトウダラのすり身で作られるカニカマは、「スリミ(surimi)」という名前でサラダのトッピング食材として欧米を中心に定着。フランスでは、スリミと野菜をバゲットよりも柔らかいスエードワ(スウェーデン風パン)ではさんだものが、「スウェーデン風サンドイッチ」という名前で街のパン屋などで広く売られていますし、タイの寿司店では人気のネタになっています。
 マクドナルドのフィレオフィッシュも、全英女子オープンゴルフで優勝した渋野選手がプレー中に食べていたよっちゃん食品工業の「タラタラしてんじゃね~よ」も、私が大好きななとりの「チーズ鱈」も、材料はスケトウダラです。
 名前は知っていても、サンマやマグロと同じ魚として認識することがほとんどなかったスケトウダラ。ここに来て初めて、親しみと愛情を感じています。

愛媛県のさつま汁と鹿児島のさつま汁

 お盆に帰省し、懐かしいお母さんの味、郷土料理を堪能した方も多いのでは。郷土料理には、初めて聞く人にはどんな料理なのか想像できない名前が付いていることが多いものです。
 有名なところでは、「いちご煮」。分かりやすい料理名を付けるとしたら、「ウニとアワビの潮汁」です。青森県階上町の猟師料理で、今は、ハレの日や祝いの席で供されるといいます。赤みが強いウニの卵巣の塊が、野イチゴの果実のように見えることからこの名が付いたそうです。
 愛媛県宇和島市には、食欲が出ない夏の暑い日によくいただく「さつま汁」という郷土料理があります。真鯛を焼いて身をすり鉢に。麦みそを加えてよくすり、すり鉢をコンロの火にかぶせて炙ります。マダイの頭と骨でとっただしでのばし、薬味のみかんの皮、ごま、ねぎ、刻み海苔などを入れ、ご飯や麦飯にかけていただきます。宮崎県の「冷汁」にとてもよく似ています。では、なぜこの料理が「さつま汁」と呼ばれているのでしょう。それは、ご飯に汁がよく馴染むよう、お茶碗に盛ったご飯に十文字の切り込みを入れるのですが、この形が、薩摩藩島津家の家紋に似ているからだそうです。
 一方、ご当地鹿児島県の郷土料理「さつま汁」は、鶏肉を大根、里芋、ごぼう、ねぎなどの野菜と煮たみそ汁。江戸時代、薩摩藩では薩摩鶏による闘鶏が盛んで、闘鶏の際に負けた鶏を殺して食べたのが「さつま汁」の始まりといいます。さつま芋を入れるから「さつま汁」と思っている人もいるようですが、さつま芋の有無は関係ないようです。

菓子作りで科学を学ぶ。自由研究に悩む親の救世主?

 子どもの夏休みは早くも中盤戦。小学生を持つ親の頭を悩ませるのが、自由研究です。私も毎年、自主性のない息子を見かねて参入。何をテーマにしようかと悩んだり、できるだけ息子主体に進めようとしたり、怒ったり、なだめたり、自分がやったらどんなに早いかとイライラしたり。自由研究の思い出においては、当の本人より、私の方が感慨深いのではないかと思います。
 息子が1年のときは、ベランダでトマトやなす、ピーマン、タイムやバジルなどのハーブを育てて観察日記を作成。収穫した野菜で「ラタトゥイユ」を作って食べるというストーリーで展開しました。前年に上映された「レミーのおいしいレストラン」というアニメーション映画を息子が気に入り、その中で、「ラタトゥイユ」がストーリーのキーになっていたのです。
 4年生の時は、サーフィンに夢中になっていたので、海水から塩を作る工程を写真で追いました。海から海水を持ち帰り、煮詰めて濾してを繰り返します。私も初めての体験で、でき上がった塩がとてもおいしかったことを覚えています。食関連はそのくらい。後は、富士登山と高山植物、旅行と地理、歴史をからませて仕上げるなど。いずれも、親が関わっているのが見え見えの自由研究でした。
 6月、学研プラスから刊行された、アイスクリームやパンケーキ、シャーベットなどの菓子作りを通じて科学を学べる書籍が、夏休みの自由研究に悩む小学生や親たちの間で話題を呼んでいるそうです。加えて、学研プラス運営のウェブサイトには、自由研究のテーマや進め方、まとめ方などが掲載されているとか。子どもより真剣に検索している親の姿が見えるようです。

料理がツラくなるほどの酷暑で宗旨替え?

 涼しかった7月から一転、8月に入り酷暑が続いています。8月最初の週末、私は家から一歩も出ることなく、動物園の白熊よろしく、グタッ~としたまま2日間を過ごしました。
 辛いのは3度の食事の支度。冷たい素麺は食べたいのですが、ゆでることを考えると却下。飲み物に氷を使うので、ゆでた素麺を〆る氷も惜しい。因みに酷暑時、近所のコンビニではロックアイスの品切れが常態化しています。流水にさらすだけで食べられる麺もありますが、ゆでた麺のほうがおいしいのではと手を出さずにいました。同様に、暑い時におすすめの料理法として電子レンジ活用術がいろいろ紹介されていますが、それとて火を使った従来の料理に敵うはずはないと、試したこともありませんでした。
 大学で調理学を学んだからでしょう。‟簡便”を‟省略”と意訳する習性で、ちょっと頑固な抵抗感があり、頭で科学的に理解するか、或いは、試作して味を確かめなくては受け入れられないのです。が、さすがにこの酷暑は、そんな私の習性を覆すに十分なようです。
 ゆでなくてもいい麺も、電子レンジ料理も、試しながら取り入れていこうと思うようになりました。そうそう、出前館やウーバーイーツでデリバリーを利用することも考えましたが、「この暑さの中、配達員の方に悪い」と思ってしまうという、経済活動に水を差すだけの習性も併せ持っていて。つまり私は、今風に言えば「こじらせ女子」だと気付いたのです。