TKG推しを魅了する三田製麺所のTKM

 最後の食事は釜炊き熱々ご飯に生卵にしょうゆのTKGと決めている私のアンテナを、久しぶりにピピッとさせたのは、「つけ麺専門店 三田製麺所」が創業15周年を記念して11/1から販売している“たまごかけ麺”の情報。メニュー写真でそそられ、食べ方動画で魅了され、実食して確信しました。やっぱり生卵は凄い!
 “たまごかけ麺”は、麺に濃黄色の黄身がふたつのったシンプルな見た目。両手で箸とれんげを持ち、お好み焼きを返すがごとく下から上へと30回かき混ぜ、卵がふわふわになったら食べ頃。たれが全体にからんでそのままでもいいお味なのですが、味変として、トリュフオイルとカキだしじょうゆ、刻み海苔が添えられています。小ライスが付いていて、麺が終わったら残った卵液で“卵浸しご飯”が楽しめます。白身はどこにと思いますが、卵の泡立ちを見るとたれと一緒に丼の底に忍ばせているものと推測します。
 この“たまごかけ麺”。発売1週間で早くも卵1万個を消費するほどの人気だとか。事実、私が店にいる間も“たまごかけ麺”は、やはり創業15周年を記念して発売された“特濃つけ麺”とオーダーを二分するほどの人気でした。濃厚な風味の卵とだしが利いたたれと三田製麺所のコシのある麺。この三者のバランスが絶妙で、TKG推しにはたまらないTKMでした。
 因みに、人生の最後に食べたいもの「ラスメシランキング2022年版(パズルリング調べ)」で、1位は“寿司”、卵かけご飯は16位。同じパズルリングが「人生の最後に食べたいもの」をテーマにしたアンケート(2021年)では“卵かけご飯”が1位。どちらも分かる気がします。

青山の超格安居酒屋「中西」

 こんなところにこんなお店が?ということは案外あるものです。先日、青山にずっと前からひっそりと営業するホットなうどんすきの店「中西」に行きました。
 うどんすきは、〆の存在としてメニューにはあるものの、利用目的としては圧倒的に超格安居酒屋。青山にあっては、まったくもって稀有な存在です。気にはなってはいましたが、年齢がかさむほどに行きにくくなり、敷居はどんどん高くなっておりました。が、若者入りの4人組でこの店に行く機会を得ました。
 ほんのりと灯る「うどんすき 中西」の灯篭式看板と板塀の外観からは、ちょっと高めな和食店の風情もあるのですが、そこには、「駐輪禁止」「携帯電話は店内で」「大声を出さないように」「近所で赤ちゃんが寝ています」などの貼り紙が。皆さん、かなりでき上がった状態でお帰りになることが分かります。それもそのはず、アルコールがかなり安いのです。例えば、ハイボールは1杯130円。これを倍量で頼むと20円引きの240円に。生ビールはジョッキで290円です。料理は、焼鳥やたこ焼きなどの定番のほか、ナン生地のピザや紅しょうがを散らした卵焼きなど、オリジナルも楽しめます。とてもラフな店内で働くのは、若い男子たち。客が少ない時間は暇を持て余しているようでしたが、いざ満席状態になるとサービスの動きの速いこと。彼らがサーバーからグラスに注ぐアルコールは、タッチパネルでオーダーすると間髪を入れずに提供されます。3時間半、4人でさんざん飲んで食べてお会計は1人3500円ほど。
 帰りがけ、歩いて30秒ほどの場所にある老舗のバー「Radio(ラジオ)」へ。カクテルを1杯ずつ、チャージを入れて4人で1万3000円。青山は懐が深い。

信州のどうづきそば

 11月初めの連休を利用して、友人を訪ねて蓼科に行きました。例年にない暖かさでしたが、それでも紅葉は真っ盛り。秋空をバックに落葉樹が織りなす自然の彩りは、ため息が出そうなほどです。
 信州の秋と言えば、新そば。東京・青山のそば屋は、年中「新そばあります」の紙を貼っています。「新そばは秋」と固く信じていたので、「広告に偽りあり」と断定していたのですが、近年は栽培形態が変わり、春や夏に収穫した新そばもあるとか。一抹の不信感は残っているものの、己の無知を反省しています。
 街道筋にはそば屋が並び、名店と言われる店には、紅葉狩りの観光客で列ができています。その中の一軒に入りました。そこで初めて出合ったのが「十割どうづきそば」。どうづきそばとは、そばの実を挽くなどして粉にせず、甘皮付きのまま低温水に2日間漬けて発芽しそうなところを杵搗機でついて直捏ねしたそば。皮付きのままなので香りやうま味が強く、栄養価も高いとのことです。まずは水そばでそばの風味を楽しみます。が、なぜか私たちにはその風味が感じられず、普通に挽いたそばと食べ比べても、その違いが分からず。こんなとき日本人は自分を責めるのが常で、何事もなかったかのように口を噤むものです。
 そばと一緒にお薦めされたのは、どんこしいたけの天ぷら。1人前4枚が角皿に盛られて提供されたそれは、おそらく彫刻刀で仕上げたであろう幾何学模様。しかも、1枚1枚デザインが異なるのです。一皿980円は、おそらくこの細工代でしょう。

具だくさんでは不十分? ニーズは具のみに

 今年、ちらし寿司や冷やし中華、焼きそばを作るとき、いろいろな具材を楽しみたい、リッチにしたい、ヘルシーにしたいといった欲求から、主役のご飯や麺よりも具材が多くなってしまうというコラムを書きました(vol.928)。が、ヘルシー感だけを求める生活者には具だくさんでは不十分なようで、主役外しを求める傾向にあるようです。
 エースコックは2月、カップ麺「わかめラー 麺なし ごま・しょうゆ」をリニューアル発売しました。わかめラーメンブランドが発売40周年を迎えた節目として、過去に期間限定商品として販売、大きな反響を呼んだ「わかめラー 麺なし」を定番商品として発売したのです。“麺がなければわかめスープ?”という声が聞こえそうですが、湯を注いで3分待ったそれは、わかめたっぷりでスープの浮き実の域を超えています。麺入りが343kcalなのに対し、こちらは46kcalです。
 野菜の製造販売をしているサラダコスモは、まるか食品の「ペヤング」とコラボ。緑豆もやしに、キャベツや人参、にらをミックスしたカット野菜に、ペヤング特製ソースをセットした「ペヤングやきそば風もやし炒め」を発売しました。簡単に言うと、“ペヤング風味の野菜炒めセット”。「ペヤング ソースやきそば」が544kcalなのに対し、こちらは84.1kcalです。 
 外食市場で、いち早く麺なしメニューを提案したのは、リンガーハット。2015年、人気商品「野菜たっぷりちゃんぽん」の麺がない、国産野菜を480g使用した「野菜たっぷり食べるスープ」を発売しました。「野菜たっぷりちゃんぽん」を注文するお客様から、「麺半分」「麺抜き」という特別な注文をいただくことか多く、発売を決断したと言います。22年11月にはリニューアル。豚肉と揚げかまぼこ、エビに代え、ゆずこしょう風味の鶏ムネ肉のスライスを加え、低カロリー高タンパク質な商品に仕上げました。「野菜たっぷりちゃんぽん」レギュラーサイズが790kcalに対し、「野菜たっぷり食べるスープ」は420kcalです。
 私はというと、やっぱり主役なしはちょっと。主役ありだからのおいしさは外せません