桑茶と富岡製糸場とおっきりこみとねぎ

 今、“桑茶”が注目されています。山梨で桑の栽培と加工を手掛ける桑郷(くわのさと)は、色も味も抹茶にそっくりなパウダー状の“水に溶かして飲む桑茶”を開発。桑の葉は、生活習慣病の予防や進行を抑えるのに効果があるとされ、健康志向を背景に販売が好調です。加えて、欧米での人気を受けて品薄の抹茶の代替品として桑茶が注目され、輸出しないかとの提案も来ているといいます。
 桑の葉は言わずと知れた“お蚕様の食事”。桑の栽培が盛んで広い土地があり、水源が豊富だったという理由で、1872年、群馬県富岡市に富岡製糸場は造られました。明治時代、国力を高めるために外貨が必要だった日本にとって、最大の輸出品“生糸”の生産は最重要課題。フランスから多くの知恵と技術を、人とともに輸入しています。そうして建設された、木で枠を造り、レンガをフランス式で積み上げた製糸工場は、国宝に指定されています。旗を振ったのは、かの渋沢栄一氏。出身地の深谷で職人を集め、富岡でレンガを焼かせ。地元に戻った職人たちによって、深谷はレンガの一大産地になりました。
 富岡市のグルメは、“おっきりこみ”。選んだ店は「三代目 小澤家」です。上州地粉を手打ち、手切りしている、今では県内唯一の店なのだそう。煮干しだしにみそ味。具材は、鴨肉、ねぎ、芋がら、里芋、かぶ、ごぼうなどなど。戦後、カツオ節が手に入らず、煮干しでだしを取るようになったとのこと。もったいないのでだしを取ったそれを別皿で提供するのが流儀だとか。ただ店主は、疑う地元客に対して煮干しをたっぷり使っている証として出していたのだとおっしゃっていましたが。ねぎは、地元の高級ブランド“下仁田ねぎ”です。もうひとつ、この店の名物が“鶏の炊き飯し“。これまた配給の貴重なザラメでひね鶏を皮ごと炊いた、地元では寄り合いに欠かせないお祝い料理だったとか。
 レンガ焼きが、富岡から深谷なら、ねぎも下仁田から深谷?と確信的ストーリーを構築したのですが、あにはからんや。下仁田ねぎは、下仁田町周辺の特有の気候、土壌でのみ育つ固有の“品種”。深谷ねぎは品種名ではなく、埼玉県深谷市周辺で栽培された高品質なねぎの“地域ブランド名(総称)”なのだそう。