天候不良と野菜調味加工食品

 夏に予想外に気温が上がらなかったり、今年のように酷暑になったり、降雨が少なかったりすると、決まって農作物の価格は上がります。そこに、食品価格の値上げや先行き不安などの消費者心理が働くと、必ず救世主のような調味加工食品が登場します。
 「茅乃舎」ブランドを展開する久原醤油が9/1に発売したのは、「小松菜のだし卵あんかけ炒めキット」。小松菜と豚バラ肉を炒めて卵でとじたあんかけ料理が作れる商品で、価格が安定している小松菜に着目して開発されました。
 久原醤油は昨年も9/1に秋冬商品としてもやしを主役にする「塩とんこつ もやしのうま鍋」を発売しています。“もやし2袋で美味しい”と謳う鍋つゆで、濃厚でまろやかなトンコツスープと塩をベースにペッパーの爽やかな辛味を利かせてあり、もやしを際立たせる味はもちろん、ざるに高々と盛り付けたもやしのイラストを配したパッケージのインパクト、コストパフォーマンスの良さなどが評価され、2月を待たずして売り切れてしまいました。
 小松菜ももやしも、一年を通して価格が安定している野菜。スーパーの店頭では、小松菜はほうれん草の倍近い量で価格は半分。小松菜が比較的暑さに強い野菜だからです。でも小松菜は意外と応用できる料理が少なく、小松菜をメイン素材として利用する商品はなかったような。一方、味の素は8/19、「Cook Do(クックドゥ) きょうの大皿 <豚バラほうれん草用>」を発売しました。栄養価が高いほうれん草を子どもに食べさせたいと考える生活者に向けて開発。ほうれん草を使った主菜用調味料が市場にないと考えた点も開発のきっかけになっているようです。
 天候不良による野菜の不作や高騰が加工食品の売り上げに直結する昨今。一時は、運を天(候)に任せることになってしまうのも、無理からぬことかもしれません。