パッケージと中身の乖離を楽しむ冷凍食品

 外食を控えている今。いいチャンスと思い、いつもは余り利用しない冷凍食品を食べ続けています。冷凍食品を食べるときの私のルールは、実物とパッケージ写真との乖離を納得していただくこと。食品のパッケージ撮影をフードスタイリストとしてお手伝いしたこともありますから、中身をそのまま撮影しているわけではないことは、もちろん熟知しています。一流スーパーの高い素材を使って丁寧に見栄え良く手作りした料理に、カメラマンの高い撮影技術が加わるのですから、中身との乖離はあって当然です。
 例えば、カルボナーラやボロネーゼなどソースをからめるパスタ料理は余り気になりません。一方、五目あんかけ焼きそばなど具材が満足感を左右する料理の場合は、覚悟しているとはいえ、具材の量、大きさ、彩り、ツヤ感などがやはり気になり、パッケージと中身を見比べて、その差を視覚で確認しながらいただくという悪癖がついつい出てしまいます。
 そんな私のために、パッケージには“盛り付け例”“写真はイメージです”といった但し書きがあります。「中身を表すための写真が“イメージ”とはどういうことだろう」とか、「“イメージ”という表現なら、実物との乖離がどこまで許されるのだろう」とか、「こんなに少ない具材をどうやって盛り付けたらこの写真のような具だくさんの見た目になるのだろう」とか、「エビと麺の太さの比がどう見てもおかしいだろう」とか、いろいろ考えてしまいます。そんなとき、“拡大盛り付け例”という但し書きの商品を発見しました。パッケージは、少ない具材をすべてひと所に集めたであろう焼きそばのアップ写真です。「なるほど、これなら嘘はない」と感心しつつ、フレームアウトしている広大な焼きそば平原を想像していました。