癒しニーズの市場で流行る“手作り発酵食品”

 家ナカ活動が盛んな今、“ぬか漬け”に挑戦する生活者が増えています。腸活、免疫力アップ、美容&健康と、新型コロナウイルス発生後、さまざまなキーワードでもてはやされている発酵食品。それに加え、先行きに不安があり癒しのニーズが高まるとき、安心感とぬくもりを求める生活者の気持ちは“手作り”に向かい、発酵食品作りがブームになります。
 東日本大震災が起こった2011年、“塩麹”がブームになりました。震災後の安全で安心な食品を口にしたいというニーズと、震災直後のモノ不足の経験が加わり、手作り発酵食品がブームになりました。塩麹ブームが一巡した翌12年は、ヨーグルトに調味料を混ぜ合わせて漬け床として利用する“ヨーグルト漬け”が流行りました。14年はレモンを塩に漬ける“塩レモン”が、翌年に消費税10%と軽減税率の導入が予定されていた16年には、ぬか漬けやみそといった伝統的な発酵食品作りに挑む「仕込み女子」が増えました。女性だけではありません。盆栽のように楽しむ定年後の男性や、 ぬかの配合、発酵状態、漬ける素材に徹底的にこだわる「ぬか漬け男子」も登場。ネット上では、SNSにぬか漬け生活をアップし、「ぬか友」同士の情報交換が活発に行われていました。
 今回のぬか漬けブームでは、ぬか床に名前を付けてペット感覚で大事にしたり、自分好みの味わいに育てるのを楽しんだり、トマトやエリンギ、アボカドなど意外な素材に挑戦したり。何度かのブームを重ねて、ぬか漬けの楽しみ方も多様化しています。