解除後の飲食店。選択と責任は客側に

 緊急事態宣言全面解除で県をまたぐ移動も自由になり、自粛要請がすべてなくなったという点では、社会環境は新型コロナウイルス発生前に戻ったと言えます。
 飲食店も営業時間を元に戻し、さあここからというところでしょうが、3密を避けて、消毒して、マスクをして、換気をしてと、感染予防対策を前提に営業するとなると前途多難というほかありません。
 ご存知の通り、飲食店の売り上げは、客の数×客単価。40席の店が3密を避けるために20席にしたら、客単価を倍にするか、回転数を上げるしか売り上げを回復させる手段はありません。これはかなり困難なことです。もしそんなことが簡単にできるのなら、コロナ以前にやっているでしょう。
 はっきり言って、新橋のガード下や恵比寿横丁など猥雑さが魅力の場所には、ソーシャルディスタンスもパーテーションも似合いません。客も望まないでしょうし、感染が怖ければ寄り付かなくなるでしょう。結局は、店側の判断というより、客の気持ちによって感染予防対策はなし崩しになるのではないかと思います。
 人は、そんなに長く我慢はできません。私はマスクを着ける度に、ウイルスという見えない存在をいつまで意識して暮らさなくてはいけないのかと心が暗くなります。生活が変わっただけでもストレスなのに、経済が落ち込み、再びデフレに突入し、これから徐々に生活者一人ひとりに影響が出始めます。そんな先行き不安な中、飲食店に求める楽しさの種類は人それぞれです。その選択における権利と責任は客側にあることを考えてもいいのではないでしょうか。