拡大か個性化か。生き残りを賭けるドラッグストア

 急成長するドラッグストア市場。弁当・惣菜の販売でコンビニを、生鮮食品の販売でスーパーを脅かす存在になり、市場規模は2018年度に7兆円を突破しコンビニに迫る勢いです。がここに来て、そのドラッグストア市場にも陰りが見え始めています。特に都市圏の出店余地は狭まり、価格競争に突入。利益率は低下し、自ずと地方での出店強化に注力せざるを得ず、生き残りをかけた熾烈なパイの奪い合いが激化しています。
 夫の実家がある愛知県の町には、スギ薬局とサンドラッグの2つの大きなドラッグストアがあったのですが、今年になり、GENKY、ウエルシアなどの大手チェーンが次々に開店。弁当・惣菜、生鮮食品に力を入れ、コンビニはもちろん、スーパーにも負けない価格で販売しています。GENKYのチラシなど、もはやスーパーのそれと見紛うばかりです。
 安く販売できる理由はもちろん、利益率の高い薬品や化粧品を販売しているから。安い弁当や野菜を買いに来ていただき、ついでに儲けに繋がる薬品類を買っていただく。加えて、薬品はせいぜい1週間に1度程度の購入頻度でしょうが、食品は毎日購入する人もいます。とにかく来ていただくための食品販売強化です。ただ問題もあります。常温の商品しか扱ったことがないドラッグストアの店員にとって、精肉や鮮魚などの温度管理は、非常にハードルが高い作業になるということ。もちろん、学習と歳月が解決してくれる問題ではありますが。
 オリジナル商品がほとんどないドラッグストアにとって、安く売れる力があることが勝敗を分けます。バイイングパワーを規模で強化するための吸収、合併が、今後も繰り返されることは必定です。一方で、食品強化型、処方箋安心型、健康・美容提案型など、個性を際立たせることで生き残りを図るドラッグストアの存在も顕著になることと思います。