日本とはちょっとだけ違う東南アジアのおにぎり

 行楽、遠足、運動会と、おにぎりを食べる機会が多い秋。新米で作る塩むすびは、まさに秋のごちそうです。そんなおにぎりは今、海外でも人気者です。ニューヨークやパリ、ロンドンやベルリンなど、おにぎり屋さんは世界中に拡がっています。近年は、コンビニの進出で東南アジアでもポピュラーな存在になっています。もともと米食文化を持つ国々ですから、馴染みやすいのだと思いますが、逆に米食文化があるからこそ、日本のままのおにぎりでは・・・という側面もあるようです。
 例えば、東南アジアの国々では、チキンライスやガパオライスのように具とご飯を混ぜ合わせながら食べる習慣があるため、一口目からご飯と具が一緒に口に入るよう、おにぎりの上に中具がトッピングされています。加えて海苔で真っ黒な見た目もウケないようで、彩りを添えるという意味でもトッピングは不可欠のようです。
 また東南アジアの人が好きなのは、サラサラとした長粒米ですが、日本のジャポニカ米のように粘りがないので、にぎるのが難しいのです。そのため、ジャポニカ米を固めに炊くなどの工夫もしています。
因みにベトナムには、ご飯をぎゅっと押し寿司のように固めてカットした「COM NAM(コムナム)」で具材をはさんで食べる料理があります。ライスサンドのようなものです。ところがベトナム人にとってコムナムは戦時中の貧しいイメージがあるようで、当初、おにぎりに良くないイメージを持っていた人も多かったようです。