節約志向の市場にはまる「スパイシー」

私は、今年のトレンドキーワードのひとつに「スパイシー」を挙げています。スパイスが利いた“ピリッと辛い味”も人気ですが、それに加えて、スパイス本来の味や香り、スパイスの持つ美容や健康への効果に注目。“辛さだけじゃない”スパイスの魅力に目覚める生活者が増えているのが今年流です。
 外食市場では、お酒と共にスパイスを使った料理を楽しむ‟スパイスバル”が増えています。いずれの店も、カレーはもちろん、すべての料理にスパイスを使用しているのが特徴。中でも、スパイスとジンの相性のよさに着目して30種類以上のクラフトジンを揃え、それらを使ったスパイスカクテルも提供する店や、黒糖梅酒にクローブやカルダモンを漬け込んだ‟スパイス梅酒”を提供する店などが人気です。
 加工食品では、スパイシーなテイストや多種のスパイスを使用していることをウリにした商品がたくさん出ています。ジンジャーエキスに数種のスパイスをブレンドした“濃縮辛口ジンジャードリンク”が注目されていますし、スパイス料理の代表格「カレー」は、スパイス感をより際立たせる“スパイシー化”が加速していて、本格派を謳う商品が続々発売されました。
 近年日本では、食の多様化に伴い、調味料や香辛料の消費量は確実に増加しています。また米国においても、「スパイシー」は今年の外食トレンド予測のひとつに挙がっていて、特に、コチュジャンや七味唐辛子など、アジアの調味料や香辛料が好まれています。高価な食材を使わなくても、ほんの少量で料理の味わいを劇的に向上させ、ヘルシー感やおしゃれ感までプラスしてくれるスパイスは、まさに、魔法の調味料。節約志向が強い市場に、ビタリとはまる食品です。