中国で進む食品の情報開示の徹底化

 テクノロジーが進展し、ネットでどんな情報も取れる時代。食品の情報開示は提供する側の責務になっています。ただその範疇は、消費する側の求めに応じてというのが日本の現状でしょう。
 一方中国では今、開示する情報の範疇が驚くほど広がっています。農作物の場合を例にすると、産地、育てた人、育て方、肥料や農薬、収穫日時、収穫した人、運搬日、運搬した人(トラックの運転手名)、店に着いた日時、店頭に並べられた日時、並べた人・・・。商品のQRコードにスマホをかざせば、これらの情報がすべて分かります。なぜここまで知りたがるのか。その理由はやはり、中国において誤魔化しや偽りがまだまだ横行しているからです。例えば、名産地の“陽澄湖”産としてネットで販売されている上海ガニの99%がニセモノだったという調査結果があります。一事が万事。中国の生活者は人を介する食に対して、かなり神経質になっているものと思われます。
 日本でも2000年に入ってから、数々の食品偽装が明るみになりました。産地偽装、原材料偽装、消費期限・賞味期限偽装などなど。その度に、報道番組が先導するカタチで大騒ぎになりましたが、すぐに終息して不信感も風化しました。やった人は悪いが、それは稀有なこと。日本の食市場はほぼ安全、信じるに足るという結論にいつも落ち着きます。あれやこれやと突いて不安になるより、漠然とした安全に包まれていたい―。日本人の本心です。