トマト加工品。よく使う水煮缶、使わなくなったペースト

 先日、高校時代の友人から次のような内容のLINEが届きました。彼女は、カレーを作るときに必ずトマトペーストを加えるのだそう。いつものようにトマトペーストを買いに馴染みのチェーンストアに行ったところ、トマトペーストがなくなっている。店員に聞くと「売れないから全店で扱いを止めた」とのこと。「私のカレーはもうあの味にならない」という嘆きで終わっていました。
 粉砕して裏ごししたトマトを煮詰めたのがトマトピューレ、それをさらに煮詰めて濃縮したのがトマトペーストです。トマトにはうま味成分のグルタミン酸が含まれていますから、濃縮したトマトペーストは、正にうま味調味料。ナポリタンなどトマトケチャップだけだと甘さばかりが目立ちますが、トマトペーストを少し加えると味に奥行きが出て、大人のナポリタンになります。
 以前は瓶入りしかなく、大量に使うものではないのでいつも余らせていましたが、今はミニパックがありますから、使い勝手もぐんと良くなっています。でも売れない。確かに、私のキッチンにも賞味期限が迫ったトマトペーストのミニパックが残っています。そういえば、近年、トマトペーストは使わなくなりました。トマト加工品で頻繁に利用するのはトマト水煮缶です。因みに、“クックパッド”で材料検索すると「トマトの水煮」を使うレシピは5万2千点以上あるのに対して、「トマトペースト」は270点程度。プロの料理人や料理研究家のレシピが集まるNHKの“みんなの今日の料理”でも、「トマトの水煮」が3千以上に対して、「トマトペースト」は40点以下です。
 新米主婦の皆さんは、トマトペーストなど知らないかもしれません。料理レシピにも流行があるのですね。