台風被害の農産物にもフードロス対策を

 この週末、東日本は数十年に1度と言われる台風の脅威に見舞われました。1ヵ月前、猛威を振るった台風15号の傷跡も癒えぬまま、さらに大きな打撃が加わり、甚大な被害が発生しています。
 特に千葉県は、第一次産業が盛んな地域。先の台風によって広い範囲でビニールハウスが倒壊、損傷。生育中のトマトが全滅、あるいはキズが付いて売り物にならなくなった地域もあります。大量の雨水によって土中の人参が土と一緒に流されたり、強風で稲が倒れたり。雨と風が多くの農産物に多大な被害をもたらしました。
 千曲川が氾濫した長野県でも被害は予想外に大きく、出荷を待つりんごに泥が付き、洗い切れないとか。ジュース用にするのも難しく、廃棄処分するしかないといいます。
 思い起こせば平成3年、後に「りんご台風」と呼ばれた台風19号が青森県を直撃。収穫前のりんごのほとんどが木から落ちました。さらにりんごの木が倒れたり、枝が折れたり。りんご畑の回復にかなりの時間がかかったことを覚えています。落下したりんごは市場に出せず、ジュースやジャムなどの加工用に回されました。りんご風呂にして観光の目玉にしようという動きも。ただこの時、木から落ちなかったりんごは、“落ちないりんご”として販売され、受験生に飛ぶように売れたとか。
 フードロス対策がやっと目に見えるまでに動き始めた日本において、天災によって発生するフードロスに対する施策を考えることは、重要な課題だと思います。“台風トマト”や“土付きりんご”を被災地支援の一環として売り出すことはできないものでしょうか。現地の皆さんの手が回らないのなら、いち早く動くボランティア組織がないものかと思います。