“一汁一菜”という考え方

 料理研究家の土井善晴氏が上梓した「一汁一菜でよいという提案」をきっかけに、”一汁一菜”が話題になっています。
 “一汁一菜”とは、ごはんを中心として、汁(みそ汁)と菜(おかず)それぞれ一品を合わせた食事のスタイル。毎日献立を考え、料理を作るのが苦痛だという生活者に対して、土井氏は、「おかずをわざわざ考えなくても、みそ汁を具だくさんにすればそれで充分」と提案しています。
 もともと日本人の食事は、”一汁一菜”でした。ご飯にみそ汁、お漬物(一菜)だけ。よく言われる「一汁三菜」は、料亭で提供される懐石料理を家庭向けに簡略化したカタチです。土井氏は、このままでは家庭の和食がなくなってしまうと危機感を持ち、”一汁一菜”なら実践しやすいのではないかとの思いから提案したといいます。
 確かに、豚汁のように肉も野菜も入った具だくさんのみそ汁は、おかずになります。冷蔵庫の余り野菜で作れ、そうすることで、みそ汁の具について新たな発見もあるでしょう。何より、生活者は肩の荷を下ろせます。
 ただ、問題もあります。具だくさんと言えども、摂れる食品の数が限られること。特に、タンパク質は摂りずらいと思います。また野菜をたくさん摂ろうとすると塩分の摂取量が増えてしまうことも心配です。
 献立が思いつかない、料理の時間がない、料理をしたくないなど、そんなときのたまの避難措置として”一汁一菜”の発想を取り入れるのがいいと思います。
 このブームに早速乗ったのは、日清食品。8/6、和食の新しい形“ファストフード和食”を提案するカップ入り創作雑炊シリーズ「日清 日本めし」から、“一汁一菜”を採り入れた「鶏つくね豚汁めし」を発売しました。