「働き方改革」で生まれている新たなニーズ

 「一億総活躍社会」の実現を目指し、政府主導で進められている「働き方改革」。「一億総活躍社会」とは、「50年後も人口1億人を維持し、職場・家庭・地域で誰しもが活躍できる社会」のことなのだそう。“50年後も人口1億人”というかなり高い目標に向かって政府がまず進めたのが、労働時間の短縮と働き方の多様化です。実際、退勤時間を早め、在宅勤務を認める企業が増えています。
 早い時間に帰宅すれば子どもが生まれ、男性も育児に参加することで、女性は子どもを生みやすくなる・・・とでも考えているのでしょう。政府の思惑通り、子どもが生まれ、人口が増えるのか定かではありませんが、市場にはすでに変化が生まれています。
 まず、夫婦で働くパワーカップルの世帯年収は、明らかに上がっています。食材は、週末にまとめ買いをするので大型冷蔵庫が売れ、週末まとめ洗いをするので、大型洗濯機が設置されたコインランドリーが人気になり、市場は一気に拡大しました。日々の食事に惣菜を利用する生活者が増えたことは、エンゲル係数上昇の一因になっています。
 早く帰宅するおとうさんに人気なのが、高アルコールのビール系飲料や缶チューハイです。残業代が減って収入は伸び悩み。安くてしっかり酔えるアルコール飲料が、ニーズにぴたりとはまりました。
 在宅勤務の生活者が頼るのは、仕事ができるスペース。星乃珈琲は、落ち着いて仕事ができる場所として利用する来店者が増え、15分100円からと気軽に使えるスペースや保育施設が併設されたスペースなど、さまざまなコワーキングスペースも登場しています。