水清ければ海苔育たず。海苔価格が高騰

 海苔の価格が急騰しています。理由はずはり、生産量の落ち込み。海苔は、海苔メーカーが養殖業者から海苔の原料となる海草を仕入れて加工します。その仕入れ価格が上がっているのです。漁業・養殖業生産統計によると、海苔の養殖生産量は1994年の48万3000トンから2016は30万トンと4割近く減少しました。価格高騰は、4年連続。毎年10%近く上昇しています。
 海苔は保存ができるので、生鮮野菜のように悪天候即値上がりとはなりません。だだ、これまでは周期的に訪れていた豊作に恵まれず、不漁が連続。結果、流通在庫を確保できなくなっています。加えて、産地が点在していたため、北はダメでも南はイイと、平均値を取ることができたのですが、東日本大震災で宮城県の生産力が低下。供給バランスがくずれました。
 生産量減少の背景にあるのは、海水の水質なのだそうです。と聞くと、悪化しているから?と思いますが、実は反対。きれいになったからなのだそうです。「水清ければ魚棲まず」という言葉が「孔子家語」にあります。過剰に清廉な人は、却って人に親しまれず孤立してしまうことの例えですが、事実、あまりにも水が清く澄んでいると、魚の餌になるプランクトンが繁殖しないので魚は棲みつかないとか。海苔生産地では、養殖シーズンの冬場に海水の栄養を取り戻すため水質を維持しつつ、下水処理能力を落とす取り組みを進めているといいます。
 海苔と言えばコンビニのおにぎり。価格に敏感な業態だけに、「塩むすび」のアレンジや海苔を使わない新種のおにぎりの商品化を始めているかもしれません。