ベトナムでひとり鍋がブーム。食習慣に変化?

 しゃぶしゃぶの食べ放題店「しゃぶしゃぶれたす」(東京・中目黒)は、1席に1つずつ小鍋を設置。複数人で来店しても同伴者を気にすることなく、ひとり鍋が楽しめるサービスを始めました。メニューは‟和豚のもちぶた”や‟熟成牛タン”、“霜降り黒毛和牛”などメインの肉を選ぶ4コース。だしは、カツオだしや豆乳だしなど8種類、調味料はごまだれやぽん酢など約30種類から選べます。
 実はベトナムには、有名なひとり鍋専門の食べ放題店があります。店名は、「KICHI-KICHI」。しかも回転寿司よろしく、具材はベルトコンベアに乗せられて回っています。鍋のスープは、ベトナムではメジャーなきのこ、わさび、トムヤムクン、ちゃんこ(しょうゆ味)の4種類。回っている具材は、肉や魚、野菜やきのこなどの他、〆のインスタントラーメンも。お国柄でカエルもあります。
 共働きが一般的なベトナムでは、家族揃っての夕食をとても大切にしています。家族の一体感を重視していて、皆、同じ料理をいただきながら、その日にあったことを話します。そんなベトナムにおいて、ひとり鍋は受け入れられるとは思えないスタイルです。が、ちょっとしたブームになっているのは、提供スタイルの珍しさと、好みに合わせてカスタマイズできる点、そして何よりも、ベトナム人が鍋好きだということが大きいと推測されます。
 日本において、鍋料理は家族でつつくものという観念が強くありました。ですから、個食化が進み小鍋ブームが到来したとき、私は強い違和感を覚えました。経済発展と共に、家族の在り方や食習慣が変化した例は、数多くあります。ベトナムのひとり鍋はブームで終わるのか、はたまた、個食化への始まりなのか。注目したいと思います。