生徒と保護者が不信感を抱く学校給食とは

 神奈川県大磯町の中学校の給食。食べ残しが多いという話題がテレビのワイドショーで取り上げられていました。大磯町で給食が始まったのは、2016年1月。校内に調理室がないため、弁当を配送してもらう形で始まりました。当初から、「冷たい」「味が薄い」「おいしくない」と生徒たちのクレームが多発。残す生徒も多く、残食率は全国平均の6.9%を大きく上回る26%。最も多かったのは“照り焼きハンバーグ”のメニューで残食率は55%でした。
 冷めているのは、細菌の繁殖を防ぐ意味において仕方のないこと。味が薄いのは、大磯町教育委員会から「食育のため薄味に」との要請があるからとのこと。味が薄い冷めた“照り焼きハンバーグ”が生徒たちに不評なことは、容易に想像できます。
 そんな状況の中、多発した異物混入。生徒たちの給食への不信感は一気に増幅しました。その件数、町長の発表では開始時から84件。このうち15件は業者の工場での混入が確認されたものの、残りの件数については、いつ混入したものか分からないといいます。あってはいけないことですが、毛髪や虫、ビニール片などは工場での混入が推測されます。一方、混入物の中には、シャープの芯などもあり、一部報道では生徒を疑うかのような表現がされていました。
 食育は、食べてもらわなくては意味がありません。味が濃い加工食品に慣れた子どもたちに、何の工夫もなく薄味を押し付けても拒絶されるだけです。食事は楽しいことが最も大切です。ここまで深刻化した状態から、給食に対する不信感を払しょくすることはかなり困難でしょう。この問題、弁当製造業者の変更で片付くものではありません。大磯町教育委員会は、給食に対する取り組みを根本から考え直し、そのことを一日も早く、生徒と保護者に伝えるべきだと思います。