心地良いサービスができる人材の育成を

先日出席したパーティでのこと。メインディッシュの皿に残ったソースをパンで拭おうとした矢先、皿を持って行かれそうになりました。しかも2回も。もちろんナイフとフォークのサインは「まだ終わっていません」を意味しています。シェフが料理説明で、「自慢のソースです。残ったらパンに付けてお召し上がりください」とおっしゃっていたのに。その前から気になっていたのですが、サービス担当者は、食べ終わったお客様の皿をどんどん下げていきます。同じテーブルの中に、食べ終わった人とそうでない人がいたら、全員食べ終わったのを確認してから皿を下げ始めるのがマナーです。
食べ終わった皿は、さっさと片づけること。それが、機敏でスマートなサービスであると教えられているのでしょうか。テーブル数が少ないビュッフェスタイルのパーティならまだしも、着席でのコース料理。その必要がありますか? “もてなしを受けている”という心地良さは一切なく、“早く片付けたいこなし仕事の対象”になった気分でした。
私はある大学で、フードビジネスについての講義をしています。学生たちは後々、ホテル・ウエディング業界への就職を希望しています。彼らの行動を見ていて確信できます。私が不快だと思うことを、おそらく彼らの大半は、そう感じないでしょう。体験し、心で感じ、考えないことが、自然に身に付くことはないと思います。ホテルやウエディング、レストランなどサービス業を生業としていらっしゃる方々には、今まで以上の本気度でサービスパーソンの教育に取り組んでいただきたいと願います。