学生アルバイトや主婦のパートの労働力に頼って拡大、維持してきた業態が、ここに来てその体制を問われる事態が起こっています。
例えば、コンビニ。人手不足は時給をアップさせ、利益を圧縮させます。オーナーは自ら店に出て体力と気力の限界まで働くことが常態化。とうとう、セブンイレブンのオーナーは24時間営業を巡って本部と戦い、厳しいながらも一定の条件を基に時短を選択できるところまで改革しました。コンビニのオーナーも、労働力があれば24時間営業を継続したいと思っているはずです。深夜は、商品の棚卸し、商品棚の整理やチェックなど、さまざまな雑業務ができる大切な時間です。この間を休むことは、レジとは別の人手が必要になることを意味しています。営業時間の短縮が、そのまま丸っと人件費の圧縮に繋がるわけではないのです。
例えば、料理のデリバリー。こちらも、ヒマな時間を使って仕事ができることをウリに、若者を中心とした労働力を集めています。大きな荷物を背負ってレンタル自転車で颯爽と走る若者の姿は、イマドキの働き方を象徴しています。そのひとつがウーバーイーツ。先行する出前館に追い着け追い越せとばかりデリバリーエリアを拡げていて、配達員の確保は焦眉の急です。そんな中、ウーバーイーツと契約している配達員の有志が、労働環境が少しでもよくなるよう活動する労働組合「ウーバーイーツユニオン」を立ち上げました。多くの組合員を募ることで、会社との団体交渉を有利に動かし、労働条件の改善に繋げたいと考えています。一方、ウーバーイーツは、配達員は個人事業主。従業員ではないので、賃金補償や労災保険などは適用されないという見解です。
無人コンビニに自動走行車。人の労働力をAIに代わらせる技術が急速に進む現実は、労働環境において窮地に追い込まれる立場の人を助けるためなのか、はたまた黙らせるためなのか。答えは、すぐそこに来ています。