[自粛=飲食店の営業時間短縮]の構図が生む“コロナ麻痺”

 緊急事態宣言が1都3県で2週間延長されました。市中には賛否両論ありますが、賛成の声のほうが多いようです。
 2週間延長したら感染者数は減るのでしょうか。会社がある青山骨董通り辺りの昼間の人波は、平常時とほとんど変わっていません。ランチ時、飲食店はほぼ満席。人気店には長蛇の列です。夏頃までは席数を半分に減らして、列に並ぶときは前後の人と1mの間隔を空けてなどと店側も客側も気を配っていたのに、今はどちらにも緊張感はありません。“コロナ疲れ”ではなく“コロナ麻痺”ではないかと思います。最初は、目に見えないから恐れたのに、今は目に見えないから意識できなくなっているのではと。
 何に恐れ、何のために自粛しているのか、そもそも自粛とは何なのか。[自粛=飲食店の営業時間短縮]という構図が立ち過ぎて、生活者一人ひとりの自戒も、それを促す政府のアピールも疎かになっている気がします。初めて緊急事態宣言が発令された昨年4月。街から人が消え、幹線道路を走る車の数も半分以下になりました。国全体が緊張感に包まれていたと思います。今は、マスクを掛け、手を除菌し、夜、飲食店に行かない。それだけが、ウイルス対策になっているかのように感じます。
 この現状で2週間後、感染者数が減るとは、私には思えません。必要なのは規制ではなく、当たり前のことですが、国民一人ひとりの自覚です。テレビから発せられる行政からの「協力」の声が空気に薄められて耳に届かないのは、「要請」の声の方が強く響くから。私を疲れさせている元凶は、そこにあります。