ネット市場から実店舗へ。信頼維持が成否を分けます

 ネットショップから実店舗へ進出する元気な企業が続々登場しています。
 例えば、食材宅配のオイシックスは吉祥寺と恵比寿に直営店を出し、都内のスーパーを中心に販売コーナーを展開。コスメ・美容の総合サイトのアットコスメストアは、北海道から福岡まで16店舗を出店しています。また野菜宅配のらでぃっしゅぼーやは、食品スーパー大手のライフコーポレーションと組んで、有機・低農薬野菜の店頭販売を始めましたし、同じく野菜宅配の大地を守る会も、スーパー「Odakyu OX」の一部に売り場を構えています。
 楽天市場で有数の成功ショップと評価されているコーヒー製造会社澤井珈琲(鳥取・境港)は、昨年10月東京・銀座に路面店を出店しました。店舗は1階がコーヒーと紅茶のショップで地下がカフェという造り。カフェでコーヒーを味わい、1階の店舗で購入し、ネットショップも試すといった、さまざまな環流が期待されています。
 ネット市場で成功をおさめた企業が実店舗を展開する理由は、認知度を上げるとともに、信頼性と安心感を実店舗で補完し、さらなるブランド化を図るためです。でもそれは諸刃の剣。澤井珈琲の楽天市場でのユーザー評価は、丁寧な対応や品揃え、スピーディな配送などが評価され、5点満点で実に4.77点を獲得しています。野菜は目で見て手に取って確かめて買いたいという声が大きいにも関わらず、宅配システムが成功しているのは、企業と商品に絶大なる信頼があるからです。実店舗にも、ネットショップと同じレベルの対応と信頼が求められます。悪評は、SNSに載って千里どころかあっという間に地球を駆け巡る時代。実店舗の展開が狙い通りの結果を導くのか。これからが注目です。