セブンイレブン、“地元の味”を武器に沖縄県に初上陸

 先週11日、セブンイレブンが満を持して沖縄県に初上陸。14店舗を一斉にオープンさせました。那覇市国際通りなど人が集まる場所に集中的に出店。海外からの観光客も狙っています。迎え討つのは、先に上陸した競合2社。1987年に1号店をオープンさせたファミリーマートと、97年に進出したローソンです。
 沖縄の人たちのセブンイレブンへの期待はかなり大きいようで、ニュース番組のインタビューでは、「セブンイレブンは(弁当・惣菜が)おいしいと聞いているから楽しみ」という声が多く挙がっていました。セブンイレブンもそれに応えるように、県内に製造工場を竣工。「ポーク玉子おむすび」「ゴーヤーチャンプルー丼」「じゅーしーごはん」「TACORICE」、沖縄そばを使った「島ナポリタン」、宮古島市産玄蕎麦を使った「もりそば」など、沖縄らしい商品をラインアップ。地元のお客様に求められる味についても、充分に研究しての始動です。
 一方ファミリーマートには、それを20年以上かけて続けてきた実績があります。加えて、焼き立てパンやピザ、ソフトクリームといったファストフードを充実させるなど、本土より即食ニーズが高いとされる沖縄の人々のニーズをしっかり掴み、売上を伸ばしています。
 ちょっと街中を外れると、今でも万屋のような小さなスーパーが、手作りの“郷土の味”を並べている沖縄。セブンイレブンの弁当・惣菜開発の技術が、そんな沖縄でも高い評価を受けるのか、注目しています。

復活したウェンディーズ。FKとのWブランドに違和感

 先日、かなり久しぶりにウェンディーズに入りました。1980年代、チリが好きでよく行きました。今の店名、正確には“ウェンディーズファーストキッチン”のダブルネームです。
 ウェンディーズ、日本での始まりは1980年。中内功氏の肝入りで、ダイエーが日本上陸を果たしました。その後、2002年にゼンショーに買い取られ、09年には米国本社との契約期間満了を期に全店閉店。撤退しています。その後、11年にヒガ・インダストリーズと米国本社が合弁会社を設立して再開。16年、サントリーホールディングスから買い受けたファーストキッチンの店舗をウェンディーズとのダブルブランド店にすることで、店舗数を増やしています。
 私が行ったのは、渋谷宮益坂店。ランチには早い午前の時間帯だったせいか、客は私一人。店内は薄暗く、スタッフの活気はゼロ。2階の飲食スペースは、古いビルにありがちなトイレの臭い。分別トラッシュボックスの上には片づけられていないゴミが。客がいないから、余計に汚さ、雑さが目立つのです。
 米国からやって来た、マクドナルドよりダイナー感のあるハンバーガー、チリやチリ&チーズがかったフレンチフライが食べられるバーガーショップとして、私には少なからずブランド力が感じられていたのですが。ただでさえ、ファーストキッチンとのダブルブランドで、希薄になる個性。メニューも店内の雰囲気も、大分ファーストキッチンに引っ張られているように感じました。そもそも、ファーストキッチンのターゲットと、本来ウェンディーズが求めるべき顧客とは異なると思うのですが。とにかく、しばらくは行くことはないと思いました。

精肉売り場の品揃えに感動。「明治屋ジャンボ市」

 先週、スーパーマーケットの社長および後継者が集まる勉強会にお呼びいただき、講演をしました。講演会場は、福岡県でスーパーを3店舗経営する明治屋食品さんが展開しているキッチンスタジオ併設の施設で、スーパー「明治屋ジャンボ市」が隣接しています。
 空き時間に店舗を見せていただきました。明治屋食品さんは精肉店をスーパーに転換した歴史があるだけに、精肉売り場の充実度は、完璧です。
 後藤社長がこだわり続けたのが、対面販売。人手がかかるという理由で、何度か止めようという意見も出たとか。それでも続けてきたのは、「お客様と会話をしながら販売する」ことへの社長の信念とか。対面販売というと単価の高い肉の専用コーナーという印象がありますが、ここでは安価な肉も好みの重量、厚さで販売しています。パックコーナーは、冷蔵あり、冷凍あり。ブランド肉から輸入肉まで、塊肉からミンチまで、とにかく幅広い品揃え。カルビだけでも4種類が揃います。
 小規模なスーパーしか近隣にない環境に住む私にとって、パラダイスのように思えました。塊肉はあっても300-400gにカットされているため、それに合わせて料理をするしかありませんし、薄切り肉も“薄切り”と“しゃぶしゃぶ用”の2種。例えば同じ生姜焼きでも、肉の厚みによっておいしさが変わります。“今日はちょっと厚めでいただきたい”などと思っても、かないません。アウトパック主体の店ではなおのことですし、店内カットの店でも、さまざまな理由でカットしてもらえないことが増えました。
 週末、料理に腕を振るいたい生活者にとって、求める素材が求めるカタチで売られていることはとても重要です。素材が料理のやる気を奮い起こしてくれると言っても過言ではありません。恵まれないスーパー環境に住む私は、狭隘な素材範囲の中、料理選びに四苦八苦しています。

家事は男女協働が当たり前。食市場も男性をターゲットに

 「働き方改革」のお蔭で“家事は夫婦で協力して行うもの”という当たり前の概念が定着しつあります。実際、「食品の買い物」に関する調査では、女性では95%、男性では90%が「週に1回以上スーパーで食品を購入する」と回答。男性の65%は「週に2回以上スーパーで食品を購入する」と答えています。しかも「夫婦または家族で買い物に行く」場合、98%の人が「男性が購入を決める食品がある」と回答。男性も、自らが好む食品や気になる食品は積極的に購入を決めていることが分かります。
 さらに最近、インテリアやグッズにこだわる家事男子に、黒いキッチンツールが売れています。象印マホービンが2月に発売した、黒を全面に押し出したキッチン家電の新シリーズ「STAN.(スタン)」。炊飯ジャーの発売1ヵ月の売り上げが計画比の2倍を超えました。また道具メーカーのTAKAGIが3月に発売したキッチンツールの新ブランド「DYK(ダイク)」は、黒い商品群が好評。真っ黒なおたまやトング、刃まで真っ黒な包丁などが揃い、夏には、黒いまな板も発売予定だとか。
 冷蔵庫や洗濯洗剤のコマーシャルに男性俳優が起用され、テレビ東京の人気ドラマ「きのう何食べた?」では主人公の男性が毎回料理を紹介。レシピ本が出版されるほど注目されています。男性が家事や育児、介護に積極的に参加する時代。も、スーパーも食品メーカーも、そろそろ重い腰を上げてもいいのではないでしょうか。

給食で人気だつたソフト麺。今は、家庭でモテモテ?!

 小学校の給食でたまに出されていたソフト麺。覚えている人も多いと思います。私が小学生だった頃は、米飯給食はまだ始まっていなかったため、主食は食パンとコッペパンのみ。月に1回程度提供されるソフト麺とカレー味のソースのセットが、とてもうれしかったことを覚えています。
 そのソフト麺、学校給食から姿を消しつつあります。
 きっかけは、平成21年に文部科学省が出した“週3、4回は米飯給食にしましょう”という内容の「学校における米飯給食の推進について」のお達し。週5回しかない学校給食の内、3、4回を米飯にするこということは、残りの2、3回を、パンもしくはソフト麺以外のラーメンやうどんなどの麺類と分け合うことになります。
 ソフト麺は、提供される日の当日、40分かけて90度の蒸気殺菌を行い、ホカホカの状態で午前中に学校に納入しなくてはならず、手間がかかるのだとか。納入回数が減れば、自ずと、ソフト麺から手を引く製麺会社、廃業するソフト麺製造会社は増加します。
 が、“捨てる神あれば・・・”なのか、ソフト麺は今、家庭用として注目され始めています。乾麺と違って水分が含まれているため、電子レンジで温めるだけで簡単に調理ができる点が時短簡便を求める生活者のニーズにはまっていることが理由のようですが、コシの強さがウリの冷凍うどんより軟らかな食感は高齢者向きとも言えるし、懐かしさも追い風になるでしょう。
 因みに、給食の食材にソフト麺を採用しているのは、主に中部地方から東のエリアの18道県のみ。うどんやラーメンの文化が浸透している西日本や四国、九州ではあまり拡がらなかったようです。

サプリメントとしても注目。スパイスで健康と美容を

 花椒の‟シビレ”や‟大阪スパイスカレー”がブームになるなど、スパイスが脚光を浴び、家庭用、業務用ともに市場が拡大傾向にある中、スパイスが持つ健康・美容効果に着目した「スパイスサプリ」とも言える商品が登場しています。
 美肌や代謝促進などの作用があると、最近米国で注目されている‟ターメリック(ウコン)”。日本でもターメリックを使ったラテが、健康系ドリンクとして人気になっています。ターメリックラテは、液色がインスタ映えする黄金色であることから、‟ゴールデンミルク”とも呼ばれています。イーグル製菓は、ホワイトチョコレートに、ターメリックやカルダモン、シナモンなどを混ぜ込んだ、鮮やかな黄色の「GOLDEN MILK CHOCOLATE」を発売。温めた牛乳に溶かすと、ターメリックラテとしても楽しめます。
 一方、スパイスを手軽に摂取することを目的にした商品も登場しています。ハチ食品は、体にうれしい成分をプラスしたパウダータイプのスパイス「カラダにSPICE」を発売しました。ラインアップは、「シナモン」「ジンジャー」「ターメリック」の3種類。「いつもの料理や飲み物に加えるだけで、アレンジを楽しみながら栄養成分が簡単に摂れることをアピールしています。またエスビー食品は早くからスパイスの持つ機能性に着目し、いつでもどこでも手軽にスパイスを摂ることができる、チュアブルタイプのタブレット「NEOスパイス」を、昨年2月に発売しています。「ヒハツ&シナモン」と「ブラックジンジャー」の2品で、それぞれ、“血流をよくして冷えを改善し、新陳代謝をアップさせる”“滋養強壮、脂肪燃焼効果がある”とされるスパイスが配合されています。
 さらに、最近はスパイスの抗菌作用も注目されています。数種類のスパイスを組み合わせて使用することで、味に深みが出るだけでなく、化学的な食品添加物に頼ることなく食品の品質を維持できるといいます。ヘルシー志向、安全安心志向が強まる中、スパイスの活躍の場はますます広がりそうです。

健康訴求型食品。重要なのはエビデンス

 紅茶キノコ、尿療法、にがり、酢大豆など、これまでさまざまな食品や食事法が、確たる証拠もなく健康にいいとしてブームになってきました。が、最近は、健康にいいと言われるものに対して、それが“科学的に証明されているか”“信頼に足る研究が行われたか”など、「エビデンス(証拠)」を重視する傾向が強くなっているように思われます。
 食の世界において、健康成分を訴求することは販売促進に繋がりますが、一時のブームで終わるものも少なくありません。一方、高カカオチョコレート、スーパー大麦や金芽米、DHA・EPAが多く含まれるサバ缶など、生活者の関心が持続し、定着するものもあります。その違いは、注目されている成分が持つ健康効果のエビデンスが、確立しているか否かです。
 高カカオチョコレートと言えば、今年1月、明治が、高カカオチョコレートが低GI食品であるとの研究結果を発表しました。「チョコレート効果カカオ72%」のGI値は29、 「チョコレート効果カカオ86%」のGI値は18で、葉野菜や果菜と同じ、GI値55以下の‟低GI食品”でした。インターネット上ではチョコレート全般に対しGI値を91とする情報が多く、ある論文では40と記載されるなど、情報が混在していることから今回の試験を実施したそうです。ネット上には、誤った健康情報が氾濫しているという事例でもあると思います。
 明治同様、さまざまな食品メーカーが、独自に健康系の成分と効用について研究開発をしています。カゴメはトマトのリコピン、タカノフーズは納豆菌、森永乳業は乳酸菌、ハナマルキは麹菌、三井農林は紅茶ポリフェノールについて、エビデンスを確保するための研究を続けています。
 その健康成分の効力がほかに比べるモノがないほど圧倒的で、しかも信じるに足る明確なエビデンスがあることを、メーカーだけでなく、生活者も期待しています。

日本でも増える「ゴーストレストラン」

 実店舗も自前の配送網も持たない“ゴーストレストラン”がじわり増えています。発祥の地、米国・NYではマンハッタンの不動産価格が高騰。「ウーバー・イーツ」など配達代行業の普及に伴い、デリバリー専業レストラン「ゴーストレストラン」が注目されるようになりました。日本においても、配達インフラが整い始めているため、ゴーストレストランが増えているのです。
 宅配サイト「出前館」を運営する「夢の街創造委員会」は6月、新規プロジェクトとして、自前のキッチンや配送網が不要の「インキュベーションキッチン」を開設しました。調理内容などの審査に合格すると、月額10万円で自由にキッチンを使え、料理は「出前館」が配達します。
 また、今春、複数のゴーストレストランが入居するシェアキッチン「Kitchen BASE」が、東京・中目黒にオープンしました。それぞれ独立した4つの厨房設備、調理機材、コミュニティスペースを提供。日夜で2回転させ、日中は複数のデリバリープラットフォームを活用した即席デリバリー向け店舗を、夜中から早朝にかけては宅配弁当・仕出し弁当サイトからの予約デリバリーの仕込み場所として運営します。入居店舗は、初期投資がかからず、スタッフも必要なく、人件費もかからないため、開業コストを約95%抑えることができるほか、データ分析によるマーケティング支援なども受けられます。
 当初は宅配専門でスタートし、販売が好調だったら実店舗を開くという料理人も多く、ゴーストレストランは、今後ますます増えると思われます。

プラスチックごみを減らすため継続的な問題意識を

 リサイクルに向かない汚れたプラスチックごみの輸出入を規制する新たな国際ルールが5/10、スイスのジュネーブで締結されました。今後、ごみの輸出入が厳しく制限されること、これに先立ち、中国は昨年からプラスチックごみの輸入を禁止していること、それによりタイやマレーシアなどの東南アジアの国が代わりの引受先になっていること。さらには、日本はプラスチックごみの輸出量が米国に次いで世界2位であること。今朝(5/13)のニュースで、これらの情報がまとめて流れました。
 さまざまな事情があるのでしょうが、正直、自国のごみを輸出しているなど、本当に恥ずかしい話だと思います。私が居住している自治体は、サーマルリサイクル(廃棄物を単に焼却処理するのではなく、焼却の際に発生する熱エネルギーを回収・利用すること)が実施されているため、ペットボトル以外のプラスチックは可燃ごみとして廃棄します。ですから、プラスチックごみがそんなに輸出されているとは思いもしませんでした。
 海には既に1億5000万トンものプラスチックごみがあり、2050年にはその量が海にいる魚と同じ程度にまで増えると予測されています。折しも8日、セブン&アイ・ホールディングスは、30年までを目標にプラスチック製レジ袋を全廃する方針を発表しました。もちろん、プラスチックごみはレジ袋だけではありません。日用雑貨のパッケージから弁当の包材まで多岐に渡ります。でも、カメの鼻の穴にプラスティックストローが刺さった映像が世界のストロー市場を変えたように、プラスチックごみの問題に対して常に意識を持ち続け、当事者であることを忘れずにいることが、環境破壊の進行を少しでも遅らせるために必要なことだと思うのです。

10連休、観光地の人混みとテイクアウトフード

 初の10連休が終わりました。思い切り楽しんだ人も、長過ぎると感じた人もいらっしゃるでしょうね。
 この連休、東京は静かでした。スーパーマーケットのレジは待つことなく、渋谷もスムーズに歩けましたし、都心の道路も空いていました。皆、何処へ行ったのかしらと思っていたら。
 テレビでは、観光地の凄まじい混み具合を紹介していました。身動きがとれないほどの人で溢れる江の島の参道。脇に連なる土産物店や名物のたこ煎餅を売る店、しらす丼をウリにする飲食店など、入りたくても入れない状態。途中で引き返す人も出るほどの混み様でした。
 同様に、鎌倉の鶴岡八幡宮に続く若宮大路と小町通りも人人人。こちらは、手焼き煎餅やコロッケ、きんつばや団子、ワッフルにジェラートと、さまざまなテイクアウトフード店が軒を連ね、若い女性たちに大人気。人混みも何の其の、歩きながら食べる観光客に、街を汚される住人はもちろん、売り物にシミを付けられると商店街の人も困惑気味。一方、観光客は、「食べる場所がないのだから仕方がない」と言います。
 観光地とテイクアウトフードは切れない仲。食べ残しや包材などゴミも出ます。食を提供する店舗が中心となって、街ぐるみで喫食スペースを確保するなどの対応が求められています。