飲食店に今必要なのは食品会社と卸会社の積極的な支援

 自粛解除後、普通営業に戻った飲食店に、客足は戻っていません。店内での新型コロナウイルスの感染を恐れている生活者は多く、飲食店にとってはまだまだ苦悩の日々が続きます。
 そんな飲食店をこれまで助けてきたのは、料金前払い予約アプリだったり、飲食店の売れ残りを安く買い取る‟フードシェア”サービスだったり。居酒屋で余った生ビールを無償でクラフトジンに加工して返してくれる酒造メーカーや、近隣の飲食店が作った弁当を販売してくれるスーパーやコンビニもありました。とにかく飲食店の経営維持を最優先させた支援でした。
 思いも寄らない環境の中で再スタートをしなくてはならない飲食店に今必要なのは、ウイズコロナ下でも持続可能な営業形態への転換です。それを支援するために、食品会社や卸会社の積極的なアプローチが求められています。
 外食の頻度を減らした生活者に選ばれるために、飲食店には今まで以上に差別化が求められるでしょう。驚きや楽しさ、トレンド感や珍しさが大切な要素になります。その意味では、営業活動の中でもメニュー提案の重要性は一段と増すものと思われます。また中食と外食の違いをしっかりと伝え、中食に合った料理の作り方、料理の構成、業務用食材の選び方などのレクチャーも今なら積極的に受け入れてくれるでしょう。
 ほとんどの飲食店が、市場情報と具体的な手法を求めています。この苦境を、“飲食店と共に外食市場を再び盛り上げるチャンスが来た”ととらえ、会社の財産とも言える、技術と経験、情報を総動員して、情熱を持って取り組んでいただきたいと思います。応援しています。

学校再開。でもにぎやかな給食時間は戻らず

 小学校が再開され、給食も元に戻りつつあります。休校中、給食が食べられなくなった子どもたちの栄養格差が心配されていましたから、給食の再開は喜ばしいことですが、それでもまだ地域格差があるようです。
 例えば、兵庫県淡路市は7月から月に1度、ハモや淡路ビーフなど地元産の高級食材を使った「夢と希望のふるさと給食」を、全小中学校で提供すると発表しました。地場産業を支援するとともに、子どもたちが故郷に目を向ける機会にしたいといいます。1食分500円を想定していて、給食費との差額は国が新型コロナ対策のために成立させた第2次補正予算などで賄います。
 一方、新型コロナウイルス感染拡大を懸念して、おにぎり、パンとジャム、デザート、牛乳などパッケージされた食品のみを毎日提供している地域もあります。保護者からは、高学年の子どもたちには量が少ない、栄養が足りないといったクレームも出ているようです。給食風景も様変わりしています。以前は机を向かい合わせにしておしゃべりしながら食べていたのが、今は全員が前を向き、静かにいただきます。
 好きな献立、嫌いな料理、おいしいおいしくないは人それぞれですが、多くの人が懐かしく思うのが、友だちと一緒に食べた給食です。1日も早く、学校ににぎやかな給食時間が戻ってくることを願ってやみません。

解除後の飲食店。選択と責任は客側に

 緊急事態宣言全面解除で県をまたぐ移動も自由になり、自粛要請がすべてなくなったという点では、社会環境は新型コロナウイルス発生前に戻ったと言えます。
 飲食店も営業時間を元に戻し、さあここからというところでしょうが、3密を避けて、消毒して、マスクをして、換気をしてと、感染予防対策を前提に営業するとなると前途多難というほかありません。
 ご存知の通り、飲食店の売り上げは、客の数×客単価。40席の店が3密を避けるために20席にしたら、客単価を倍にするか、回転数を上げるしか売り上げを回復させる手段はありません。これはかなり困難なことです。もしそんなことが簡単にできるのなら、コロナ以前にやっているでしょう。
 はっきり言って、新橋のガード下や恵比寿横丁など猥雑さが魅力の場所には、ソーシャルディスタンスもパーテーションも似合いません。客も望まないでしょうし、感染が怖ければ寄り付かなくなるでしょう。結局は、店側の判断というより、客の気持ちによって感染予防対策はなし崩しになるのではないかと思います。
 人は、そんなに長く我慢はできません。私はマスクを着ける度に、ウイルスという見えない存在をいつまで意識して暮らさなくてはいけないのかと心が暗くなります。生活が変わっただけでもストレスなのに、経済が落ち込み、再びデフレに突入し、これから徐々に生活者一人ひとりに影響が出始めます。そんな先行き不安な中、飲食店に求める楽しさの種類は人それぞれです。その選択における権利と責任は客側にあることを考えてもいいのではないでしょうか。

癒しニーズの市場で流行る“手作り発酵食品”

 家ナカ活動が盛んな今、“ぬか漬け”に挑戦する生活者が増えています。腸活、免疫力アップ、美容&健康と、新型コロナウイルス発生後、さまざまなキーワードでもてはやされている発酵食品。それに加え、先行きに不安があり癒しのニーズが高まるとき、安心感とぬくもりを求める生活者の気持ちは“手作り”に向かい、発酵食品作りがブームになります。
 東日本大震災が起こった2011年、“塩麹”がブームになりました。震災後の安全で安心な食品を口にしたいというニーズと、震災直後のモノ不足の経験が加わり、手作り発酵食品がブームになりました。塩麹ブームが一巡した翌12年は、ヨーグルトに調味料を混ぜ合わせて漬け床として利用する“ヨーグルト漬け”が流行りました。14年はレモンを塩に漬ける“塩レモン”が、翌年に消費税10%と軽減税率の導入が予定されていた16年には、ぬか漬けやみそといった伝統的な発酵食品作りに挑む「仕込み女子」が増えました。女性だけではありません。盆栽のように楽しむ定年後の男性や、 ぬかの配合、発酵状態、漬ける素材に徹底的にこだわる「ぬか漬け男子」も登場。ネット上では、SNSにぬか漬け生活をアップし、「ぬか友」同士の情報交換が活発に行われていました。
 今回のぬか漬けブームでは、ぬか床に名前を付けてペット感覚で大事にしたり、自分好みの味わいに育てるのを楽しんだり、トマトやエリンギ、アボカドなど意外な素材に挑戦したり。何度かのブームを重ねて、ぬか漬けの楽しみ方も多様化しています。

農産物の輸出制限。日本の食糧不足が心配

 新型コロナウイルス拡散防止のため、さまざまな国と地域で移動制限措置がとられました。人の行き来ができなければ、農業従事者も農産物を加工する人も不足します。既に一部の農業大国で、農産物の輸出を制限する動きが出ています。
 例えば、世界最大の小麦の輸出国であるロシアは4/26、予定していた輸出業者への割り当てが終了したとして、小麦の輸出の停止を発表。これに合わせるように、ウクライナやカザフスタンも、小麦の輸出制限をかけました。また米の世界最大の輸出国インドは米と小麦の輸出を停止していますし、第3位のベトナムも一時、輸出を取り止めました。
 一方、米国では、密閉が原因で新型コロナウイルスの集団感染が発生。豚肉加工場が次々と閉鎖に追い込まれました。全米食品・商業労働組合によると、5月上旬までの2ヵ月間に全米で30の加工施設が閉鎖され、食肉加工能力が豚肉で40%、牛肉で25%減少したといいます。これを受けてか、米国産豚肉の最大輸入国である日本では、既に豚肉の価格が高騰しています。
 日本の食料自給率は2018年時点でカロリーベースで37%。米はほぼ100%時給できますが、小麦は9割近くを米国、カナダからの輸入に頼っていますし、豚肉の自給率は50%を切ります。食糧は国防。“自国ファースト”が、米国の専売特許ではないことを痛感する日が来ないことを願います。

移動制限で人手不足に。農業に大きな影響

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、世界中で人の行き来が禁止されています。そのしわ寄せが、農業に影を落とし始めています。
 ウイルス発生以降、中国からの野菜の輸入が急減しています。ウイルスが中国で猛威を振るった2月。中国野菜の輸入量は、前年同期比で6割も減少しました。中国国内での移動制限で農業従事者が不足し、出荷が減少したからです。
 欧米では、人手不足はもっと深刻です。米国の場合、人手を南米からの移民に頼る農家が多く、外国との渡航禁止措置が長期化すれば、収穫に大きな影響を及ぼすことは避けられません。農作業だけではありません。農産物を箱に入れる人、それを運ぶ人も、多くは移民です。
 欧州も同様です。フランスの農業は、東欧やモロッコなどからの出稼ぎ労働者によって支えられています。3月下旬、営業中止で働き口がなくなったレストラン従事者に対し、フランスのギヨーム農相が「農業を守る戦いに参加してほしい」と呼びかけたほど。ドイツ政府は、農作物が収穫できなくなると訴える農業団体の求めに応じ、早々に農業に従事する季節労働者の入国禁止を一部解除すると発表しました。
 日本でも、外国人技能実習生の労働力を期待していた農家は、大変な思いをしているとか。
 中国と米国はアグリテックによる、人手に頼らない農業を進めています。そのスピードが今回の移動制限でさらに加速するのは間違いありません。

学校給食の食材を積極的に購入。広がる支援の輪

 新型コロナウイルスの影響で学校が休校。給食用の牛乳、肉や野菜、切り身の魚や加工食品など、出荷先がなくなって農家や食品会社、卸業者などたくさんの人が困っています。農林水産省はいち早く、「うまいもんドットコム」において、売れなくなってしまった食品を生活者に直接販売する特設サイト「食べて応援学校給食キャンペーン」を展開。サイトの運営等の経費や配送料を無料化するための支援を行っています。加工食品は業務用のためロットが大きいのですが、あっという間に売り切れてしまいます。
同様の活動は、自治体と生活者をふるさと納税で繋ぐサイト「ふるさとチェイス」や「さとふる」なども行っていて、地元の学校に給食用として納入する予定で準備された食材が返礼品として登場しています。北海道の「あけぼの福祉会」は障がい者が作るパンを地元の学校に納品していますが、休校で生産量が減少。そこで、「ふるさとチョイス」が3月、事業者の応援コーナーを開設すると、受注が増えて採算がとれるまでの状況になったといいます。同コーナーは4/23時点で376自治体、2099事業者の返礼品を掲載していて、ふるさと納税件数は1万件を超えたといいます。また東急電鉄のフリーペーパー「SALUS」もウェブを使い、都内の小学校の給食向けに江戸川区で栽培された小松菜の購入協力を呼び掛けています。一方、地元で愛される街のパン屋さん。給食向けに作ったパンを近隣の皆さんが積極的に購入するなど、小さな支援の輪もどんどん広がっています。

コロナで売れたもの、売れなくなったもの

 近所のコンビニでマスクを発見。“アベノマスク”を待たずして、そろそろマスクバブルも終焉を迎えるようです。
 コロナで売れたもの。№1は何といってもマスクでしょう。食品では、米やパスタといった保存ができる主食もの、これに連動してレトルトのパスタソースやトマト缶、たこ焼きやお好み焼きの素など家族で楽しめる粉もの、メニューに困ったときに頼れるカレーやシチューのルウ、保存が利いて即食できる冷凍食品やインスタント麺、おやつにも食事代わりにもなるスナック菓子や米菓、免疫力を高める乳酸菌食品や飲料、割安感がうれしい麦茶などのお茶パック、ご飯のお供に最適なふりかけ、買い物の手間が省けて、凝った料理にもチャレンジできたり、子どもと一緒に実験感覚で作れたりする新種の料理キット、タンパク質食品として見直されている干物や練り製品、お菓子作りをする人が増えて需要が増したバニラエッセンスやホイップクリームなどなど。食品以外では、テレワークやオンライン学習で必須アイテムとなったパソコンやリモートカメラ、電車通勤を避けながら運動不足が解消できると人気の自転車、Zoomで見られても大丈夫!? 可愛い部屋着、理髪店に行けない理由で購入者が増えているバリカン、家ナカ活動のひとつ園芸を楽しむためのグッズや苗など。一方、売れなくなったものは、生活が変わって必要がなくなったもの。マスクで隠れる口紅、外出しないから日焼け止め、マイカーで行楽しないので酔い止めや覚醒飲料、運動しないからテーピング用品など。
 コロナ終息の兆しと共に、売れ始めるものと売れ続けるもの、売れなくなるものがきっとあるはず。こちらも興味深いですね。

外出自粛で増える酒量。こちらもほどほどに自粛を

 政府による自粛要請が長引く中、家飲みをする人が増え、アルコール依存症患者の増加が懸念されています。
 端からアルコールが嫌い、まったく嗜まない方にとっては関係ない話と思われるかもしれませんが、酒好きな人の中には明日は我が身と思っている方もいるはず。かく言う私もその一人です。
 在宅勤務で不要不急の外出はダメ、外食もソト飲みもできれば避けた方がいい―。やりたいこともできず、家で過ごす日々はストレスが溜まります。酒好きにとってストレスは、飲酒を正当化する恰好の理由。ストッパーは外れやすくなっています。しかも、出勤しなくていいのですから、朝から飲めます。酒好きはアルコール耐性に裏付けのない自信がありますから、少しぐらい飲酒しても仕事はこなせると確信しています。そして日も暮れてくると、いよいよ飲酒モードは全開です。規則正しい習慣にのっとってストッパーが外れます。飲食店で飲むときには気になる支出も、それほどは。帰らなくていいのですから、先の心配もなし。これで酒量はかなり増えます。
 ひとり飲みが危険なら、オンライン飲みで誰かと一緒に飲めばと思うのですが、ここにも落とし穴が。何回かオンライン飲みをして気付いたことがあります。それは、直接人と会って飲むときには必ず料理をオーダーし、アルコールも皆のペースに合わせるように気を遣いますが、オンライン飲みでは何も食べなくていいし、自分のいつものぺースで飲めること。自ずと酒量が増えます。
 というわけで、自戒を込めて。一生付き合える友とすべく、ほどほどに自粛しましょう。

パッケージと中身の乖離を楽しむ冷凍食品

 外食を控えている今。いいチャンスと思い、いつもは余り利用しない冷凍食品を食べ続けています。冷凍食品を食べるときの私のルールは、実物とパッケージ写真との乖離を納得していただくこと。食品のパッケージ撮影をフードスタイリストとしてお手伝いしたこともありますから、中身をそのまま撮影しているわけではないことは、もちろん熟知しています。一流スーパーの高い素材を使って丁寧に見栄え良く手作りした料理に、カメラマンの高い撮影技術が加わるのですから、中身との乖離はあって当然です。
 例えば、カルボナーラやボロネーゼなどソースをからめるパスタ料理は余り気になりません。一方、五目あんかけ焼きそばなど具材が満足感を左右する料理の場合は、覚悟しているとはいえ、具材の量、大きさ、彩り、ツヤ感などがやはり気になり、パッケージと中身を見比べて、その差を視覚で確認しながらいただくという悪癖がついつい出てしまいます。
 そんな私のために、パッケージには“盛り付け例”“写真はイメージです”といった但し書きがあります。「中身を表すための写真が“イメージ”とはどういうことだろう」とか、「“イメージ”という表現なら、実物との乖離がどこまで許されるのだろう」とか、「こんなに少ない具材をどうやって盛り付けたらこの写真のような具だくさんの見た目になるのだろう」とか、「エビと麺の太さの比がどう見てもおかしいだろう」とか、いろいろ考えてしまいます。そんなとき、“拡大盛り付け例”という但し書きの商品を発見しました。パッケージは、少ない具材をすべてひと所に集めたであろう焼きそばのアップ写真です。「なるほど、これなら嘘はない」と感心しつつ、フレームアウトしている広大な焼きそば平原を想像していました。