真夏の火鉢とぬくもり中華まん

 時代にも季節にも合っていないと思われる商品でも、売れることがあります。私は時々講演で、【真夏の火鉢】を例にお話しします。暖を取る火鉢は真夏には不要、火鉢で暖を取る家庭は、今ではほとんどありません。暖房器具としてはオワコンでも、陶器の火鉢はワインクーラーとして海外でも人気になりました。同様に、ヒノキの桶をスタイリッシュにデザインしたワインクーラーは、海外の三ツ星レストランから引っ張りだこ。予約待ちです。
 今は売れない、市場性はないと思われるものでも、知らない人にとっては新鮮で、新しい使い方・食し方の提案によっては、売れる商品になる可能性があります。
 そのひとつが、“真夏の冷やして食べる”戦略。過去には、カレーやラーメン、ポテトチップスやクリームパンなど、冷やしていただく加工食品が続々登場しました。動物性油脂を使った商品は植物性に置き換えて融点を低くするなどの工夫を施し、冷やしても固まらず、口当たりよく、すっきりとした味わいの商品開発が目立ちました。
 今夏、“真夏の中華まん”戦略を仕掛けたのが、中村屋です。7/1~8/31、手のひらサイズの中華まん「てのひらまん」を販売しています。電子レンジで10秒温めるだけでしっとり食感が楽しめる生地を新たに開発。熱々ではなく“ぬくもり温度”に仕上がるため、暑い時期にもぴったりだといいます。“冷やしておいしい中華まん”ではなく、落としどころは“ぬくもり温度”。夏休みの子どものおやつにちょうどいい大きさで、惣菜パンのように食べられる温度帯を目指した開発です。
 蒸し暑さに慣れるまでは冷たい食品を求める生活者も、それに慣れてくると、エアコンによって冷えた身体を温めるメニューを求める傾向があるとか。真夏の“アツアツ中華まん”にも商機があるのかもしれませんね。