過去にも登場した今年のトレンドキーワード-2[ボタニカル]

 2回目は、[ボタニカル]。最近は、[ボタニカル]と言えばジン。ジンは、ジュニパーベリー(杜松の実)の香りを主体とし、草根木皮(ボタニカル)で風味付けした蒸留酒。クラシックとしては、オレンジピールやレモンピール、アンジェリカやシナモン、コリアンダーシードやクローブ、ナツメグなどのスパイスが、ジャパニーズとしては、ゆずなどの柑橘類、山椒や緑茶、クロモジ、スギ、ヒノキなどの木が使われるなどアルコール類の中でもかなり自由度が高く、だからこそ、さまざまなクラフト系が生まれていて、最近では数限りないという印象です。
 ジン関連以外で[ボタニカル]が初めてキーワードとして挙がったのは、2020年。花や木、竹や炭、染料の藍も食品に使われ、香りや色など五感を満足させるアイテムとして人気になりました。特に、当時手頃な価格になった“食用バラ”は、彩りが華やかでSNS映えするだけでなく、甘い香りが料理やドリンクを引き立てると注目され、食材として活用する動きが広がりました。
 一方、[ヘルシー志向]を背景に、木や竹、炭や藍を食材に使ったスイーツやフードもたくさん登場しました。特にスギや竹のパウダーを使った商品は、「想像以上に香りがして、しかもおいしい」と好評でしたし、藍粉をふんだんに使用したフレンチコースを提供するレストランも話題になりました。
 21年には、新型コロナ禍を背景にナチュラル志向が強まる中、ストレスを抱える生活者のニーズは、リラックスできるとしてスギやヒノキのアロマ効果に集中。植物の持つ力への関心が高まり、再び[ボタニカル]がブームになりました。間伐材のスギや枝落とししたヒノキを素材にしたケーキ、放置竹林の竹や笹を使用した和菓子などもSDGsと絡めて話題になりました。
 23年には、世界遺産“高野山”の木の香りが口中に広がる無糖炭酸水「高野六木炭酸」が発売されました。“高野六木”とは、高野山の寺院や伽藍の建築や修繕のため大切に育てられてきたスギ、ヒノキ、モミ、ツガ、アカマツ、コウヤマキの6つの木の総称で、高野山の“宗教と自然”の密接な繋がりを語るうえで欠かせない象徴です。
  神羅万象に神が宿る日本において、[ヘルシー志向]と[癒やしニーズ]が高まるとき、[ボタニカル]は今後も繰り返しキーワードとして登場するでしょう

過去にも登場した今年のトレンドキーワード-1[漢方・薬膳]

 [2026年 食市場のトレンド]講演に向けて、相関図や原稿を作成中です。昨年のトレンドキーワードは2017年とよく似ていて、17年を始まりとしたトレンドが、25年になってそのカタチが定着していると考えました。今年のトレンドの特徴も、過去に挙がったキーワードが再び登場していること。そんなキーワードについて、今回から連続して解説したいと思います。
 初回は、[漢方・薬膳]。サントリー食品インターナショナルが、薬膳専門の新ブランド“薬膳好日”を立ち上げ、シリーズ第1弾としてペットボトル入り飲料“ジンジャー&ソーダ”を発売したり、身体を温め、血行をよくし、冷え性や月経トラブルに効果があるとされ、古くから日本人に親しまれている薬草“よもぎ”を発酵させて今風のドリンクに変身させた「THE YOMOGI STAND」が東京・代官山にオープンしたり。[漢方・薬膳]が、またまた今風のスタイルで登場しています。
 過去には05年、株価が当時の過去最高額を記録する前年、薬膳フレンチや薬膳カレー、薬膳パフェなど、おしゃれでプチ贅沢な薬膳メニューが、上昇景気に乗って登場しました。次は13年。かつては薬膳特有の苦味を苦手とする生活者が多かったのが、その苦さが身体によさそうだと本物の味を求める傾向が強くなったのに加え、スタイリッシュな漢方ブティックやおしゃれな薬膳カフェが続々とオープンしたことで、“薬膳=ファッショナブル”というイメージが生まれました。さらなる追い風は、韓流ブーム。“参鶏湯”に代表される本格的な韓国の薬膳料理を口にする機会が増え、生活者は薬膳のおいしさを知りました。また、クコの実を入れればアンチエイジングに、ナツメを使えば疲労回復に役立つなど、効能が分かりやすいことも魅力に。手軽に美と健康を手に入れたい女性はもちろん、うんちく好きな男性をも惹き付けました。
 そして21年。新型コロナ禍で、免疫力を高めるための効果的な手段として[漢方・薬膳]が注目されました。ホテルのレストランや飲食店が相次いで 漢方・薬膳メニューを打ち出し、外食を控える生活者に向けてデリバリー・テイクアウトの薬膳スープ専門店が登場。家庭で作れる薬膳レシピのサイトが立ち上がりました。

コンロとオーブンの取り換えで

 年の瀬、私の一大決心は、コンロとオーブンの取り換え。昨年手に入れた家のコンロはオーブン一体型で、火力がとにかく弱い。フランス製のため日本の安全基準を満たす目的で敢えて火力を弱く調整されているとか。でもでも、ルックスはビンテージ感満載、白一色でとっても素敵。白いタイル貼りのキッチンにぴったりなのです。10ヵ月悩んで、“新年はストレスがない料理をしよう!”と交換するに至りました。
 まずは商品探しから。私の場合、コンロの最重要ポイントは火力。一般のコンロよりも火力が強い商品はグリルが付いていない機種があり、連動して排気口もないため、コンロの下にオーブンを付けられない。火力が強くて排気口があるコンロは、サイズが合わない。火力は普通でいいとあきらめて、ならばキッチンに合うテイストの商品がないかとメーカーのパンフレットを精見してもない。ならば仕方ない、後学のため“最高機種”とやらを試してみようと、またまたコンセプトを変更。ガス会社に見積りを出していただいたその夜、ネットで白いコンロを発見。しかもトップはホーローで今のキッチンにぴったり。さらにフツーのコンロだから、価格は雲泥の差。メーカーがネットでのみ販売している商品で、カタログにも載っていないし、法人には販売しないとのこと。どんな意図があるのかは分かりませんが、ここに辿り着くまでの時間と労力を考えると、カタログに載せて“ネット注文のみ”と明記すればいいのではと憤りすら覚えます。
 オーブンは小学生の頃から使い慣れている機種一択。色を選ぶ余地はありません。近年、コンロやオーブンの色は、黒色に傾倒しているとか。汚れが目立たず、男性ウケがいいからなのだそう。
 クリスマスイブ、取り換えが終了しました。コンロはキッチンの雰囲気にしっかり溶け込んで、そのせいか、下のオーブンも違和感なく。ただ下の子はよくしゃべる。“シャラップ!(音声切り)モード”を選択して解決したものの、使う度に、自動と手動を選ばないと働かない。オーブンのクセ、立ち上がりまでの時間、火力の程度など、情報を集めて“私のオーブン”にしていくのが楽しみなのだから、自動機能は要らないのです。コンロにしても、高機種は鍋を外すと安全装置が働いて弱火になってしまいます。卵焼きや炒め物など、ちょっと火元から外したいときにはイラッとすることも。
 要らない機能をすべて外して安価にしろよと毒づく一方、使ってみれば案外ラクかもと流れそうになり、いやいや頭と勘が大切なのだと背筋を伸ばし。小さな意地とテクノロジーの間で揺らぐお年頃です。

2026年のキーワードは「自分ファースト」

2026年が始まりました。今年も、なんとなく不安な気持ちでお正月を迎えました。不安感は、年々強くなっているように思います。
 昨年1月、下水道管の腐食が原因で道路が陥没。日本の生活インフラに対する不安が広がりました。「令和の米騒動」と酷暑による野菜価格の高騰は家計を圧迫し、秋に入るとクマの被害。自然環境の変化と空き家問題という無関係に思えるふたつの事柄がクマと人間の共存を難しくしているようです。そして日本初の女性総理大臣の誕生。何やら隣国はご立腹のようですが、生活者の不安感を増長させることにならなければよいと祈るばかりです。
 そこで、“2026年 食のトレンド予想”の決定に当たり、私は昨年同様、「身体と心の健康」と「癒やしニーズ」を柱に、「自分ファースト」を1位に挙げました。自分にとって最も重要なことは、“我が身の健康”と“我が心の平穏”。“健康は富に勝る”という格言通り、健康を維持することは、何にも勝る節約術です。そして、「癒やしニーズ」の強まりと共に最近再びよく聞かれるようになったキャッチフレーズが「自分ご褒美」。ひとときの安らぎと幸福感をもたらしてくれる食への期待は、ますます高まっています。
 「ヘルシー志向」を反映するキーワードとして「予防食」「漢方・薬膳」「コスパ栄養」「おやつ食」などを、「癒やしニーズ」のそれとして「ご褒美ウェルビーイング」「思考キャンセル界隈」「リカバリー消費」「逆タイパ志向」などを挙げました。また「地球沸騰化」によって生まれた「汗活」「ぬる温活」「耐暑食品」、活気づく「Wシニア市場」からは「エンジョイシニア」や「ハイシニア向け食品」などのキーワードが登場しています。
 2/18の“スーパーマーケットトレードショー”を皮切りに、今年もさまざまな会場で「2026年 食市場のトレンド」講演をいたします。ぜひ、最新の情報を聞きにいらしてください。もちろん、「食のトレンド情報Excel版」法人会員の皆様には、貴社に伺って講演をさせていただきます。皆様にお会いできますことを楽しみにしています。