ロッテの「イブ」復刻発売で思い出されること

 グミ人気に押され、低調が続いていた板ガム市場に復活の兆しが。インテージSRI+によると今年4~6月の売り上げは前年同期比で110%と伸長。特に若い世代に顕著で、マクロミルのデータでは10~20代の板ガムの購入率が150%と伸びているそう。
 そんな中、ロッテは、1972年に発売、95年頃に終売した“香水ガム”「イブ」を復刻販売しています。ECなど一部店舗での取り扱いを除けば、なんと29年ぶりの発売になります。この商品、中高年の女子なら一度は口にしているのではないかと思います。私も例外なく、驚きを持ってはまりました。72年と言えば、女性がガムをかむことに否定的な意見もまだ残っていた時代。まさに、未開拓の若年層女子市場をターゲットにした、それまでの板ガムのイメージを完全に覆す“香水のようなガム”です。
 この情報で思い出したのが、2010年に展開されたロッテと資生堂の共同販促。ロッテは、資生堂の化粧品ブランド「マジョリカマジョルカ」をイメージした板ガムを「グラマティック」ブランドの限定商品として発売しました。「グラマティック」は、“香りで吐息をメイクする”をコンセプトに発売されたガムで、ローズやライチ、ペアーなど女性がうっとりするようなさまざまなフレーバーを展開。のちにタブレットやキャンディも同ブランドで発売しています。
 この年、「マジョリカマジョルカ」の夏限定商品は、紫の花の色が基調。「グラマティック」のパッケージも紫色をテーマにし、“吐息にマジョリカマジョルカの魔法”と記載するなど、世界観を連動させました。しかも両商品を並べて陳列できる販売台も制作。化粧品売り場でガムを販売したのです。ここには、ロッテと資生堂、双方の狙いがありました。「マジョリカマジョルカ」は認知度は高いものの当時の取扱店は約9500店。一方、ロッテの「グラマティック」の取扱店は約7万店だか、ブランド認知率は低い。メインターゲットが重なる双方は、互いの弱みを補完して効率的に売り上げ拡大を目指そうとしたわけです。