世界でじわじわ根付く納豆文化

 世界的ヘルシーブームを追い風に、爆発的ではないにしてもちょこちょこと話題になるのが、海外での納豆人気。以前は、訪日外国人旅行客に日本で驚いた食品、苦手な食品を質問すると必ず挙がった納豆。においと糸を引く見た目が苦手のようです。そもそも発酵と腐敗は紙一重。その違いは、人間にとって有益であるか否かのようで、基準は曖昧です。チーズやヨーグルト、生ハムやドライソーセージ、アンチョビ、シュークルートやピクルス、キムチやザーサイ、ビールやワイン、紅茶や烏龍茶もみんな発酵食品です。いろいろな国にさまざまな発酵食品があり、強弱こそあれ、それぞれに特有のにおいやクセがあります。が、糸を引く食品は珍しい。この見た目が、慣れていない人には“腐敗”を連想させることは容易に想像できます。
 そこで、納豆王国茨城では2014年、納豆を世界に羽ばたかせようと「豆乃香プロジェクト」が発足。県内の納豆業者6社が、茨城県工業技術センターが開発した糸引きの弱い納豆を統一ブランド名「豆乃香」と定め、海外への販売を始めました。フランスで開催された展示会での評判は上々だったとか。
 最近では、糸を引く納豆も海外で市民権を獲得しつつあるようです。米国では納豆を具材にしたブリトーが話題になり、スムージーやサラダにも。フランスでは納豆を使ったクレープが提案され、タルトやカナッペの具に。それぞれの国の料理や食材との相性の良さが奏功してさまざまなアレンジメニューが生まれているようで、納豆を使ったスナック菓子も登場しています。
  日本においては、納豆スパゲティ、納豆オムレツ、納豆ブルスケッタ、納豆ピザ、納豆炒飯などなど、納豆アレンジは無限大。今後、海外で納豆文化がさらに広がれば、その地方の食文化を反映した独特の納豆料理が生まれ、逆輸入されて日本で人気になることも・・・あるやもしれません

ロッテの「イブ」復刻発売で思い出されること

 グミ人気に押され、低調が続いていた板ガム市場に復活の兆しが。インテージSRI+によると今年4~6月の売り上げは前年同期比で110%と伸長。特に若い世代に顕著で、マクロミルのデータでは10~20代の板ガムの購入率が150%と伸びているそう。
 そんな中、ロッテは、1972年に発売、95年頃に終売した“香水ガム”「イブ」を復刻販売しています。ECなど一部店舗での取り扱いを除けば、なんと29年ぶりの発売になります。この商品、中高年の女子なら一度は口にしているのではないかと思います。私も例外なく、驚きを持ってはまりました。72年と言えば、女性がガムをかむことに否定的な意見もまだ残っていた時代。まさに、未開拓の若年層女子市場をターゲットにした、それまでの板ガムのイメージを完全に覆す“香水のようなガム”です。
 この情報で思い出したのが、2010年に展開されたロッテと資生堂の共同販促。ロッテは、資生堂の化粧品ブランド「マジョリカマジョルカ」をイメージした板ガムを「グラマティック」ブランドの限定商品として発売しました。「グラマティック」は、“香りで吐息をメイクする”をコンセプトに発売されたガムで、ローズやライチ、ペアーなど女性がうっとりするようなさまざまなフレーバーを展開。のちにタブレットやキャンディも同ブランドで発売しています。
 この年、「マジョリカマジョルカ」の夏限定商品は、紫の花の色が基調。「グラマティック」のパッケージも紫色をテーマにし、“吐息にマジョリカマジョルカの魔法”と記載するなど、世界観を連動させました。しかも両商品を並べて陳列できる販売台も制作。化粧品売り場でガムを販売したのです。ここには、ロッテと資生堂、双方の狙いがありました。「マジョリカマジョルカ」は認知度は高いものの当時の取扱店は約9500店。一方、ロッテの「グラマティック」の取扱店は約7万店だか、ブランド認知率は低い。メインターゲットが重なる双方は、互いの弱みを補完して効率的に売り上げ拡大を目指そうとしたわけです。

学生時代のアルバイトの話

 学生時代のアルバイトで、初めて飲食業界に足を踏み入れる人は多いと思います。人手不足の今は、未経験でも引っ張りだこ。加えて、親元を離れて大学生活を送る場合、仕送りだけで学費と生活費を賄える学生は半分以下。生活費が掛かる東京においては、アルバイトのために上京したの?という生活を送る学生も少なくありません。そんな彼らが、飲食市場に夢や目的を見出しても不思議ではないでしょう。実際、“使えるアルバイト”が入社を希望したら、経営者や本部は大歓迎でしょうし、今活躍している社員の中にも、アルバイトからの生え抜きという人はたくさんいます。
 私も学生時代、飲食店でアルバイトをしました。当時、女性が厨房に入ることは和洋中問わず難しく、権威のある店では絶対に不可能。そこで、都心のフツーのレストランに応募しました。がそこでも、「フロアなら」と言われ、「洗い場でいいので」と無理矢理厨房の端っこに入れていただきました。大学の寮で大量調理の厨房は慣れていたとは言え、飲食店ならではの洗い場の鉄則を教えられ、フライパンの洗い方で叱られ。その後、野菜の下ごしらえをさせていただけるように。大きな牛刀の重みを利用して引き切りをするテクニックは、調理力学(?)を体感した初めての経験でした。
 女子栄養大学では、大学主催の「子ども料理教室」の助手のほか、料理本の撮影現場、原稿の下書きなど、いろいろな仕事を経験させていただきました。当時、「栄大の学生なら料理が上手いだろう」という期待からか、いろいろな食品メーカーが大学、中でも私がお世話になっていた調理学研究室(当時)にアルバイトの求人を出していました。その中のひとつが、「佐藤食品工業株式会社(現サトウ食品株式会社)」。食関連のイベントで餅を焼き、試食していただく仕事です。恩師の指示でアルバイトに行き、餅の焼き方がうまかったのか、笑顔が良かったのか、その後、何度もご指名をいただきました。今でも、食品関連の展示会などでサトウ食品が出展されていると、学生時代の餅焼きの光景が思い出されます。