渋谷区の“路上飲酒禁止”条例で思うこと

 東京都渋谷区議会は6/17、渋谷駅周辺での夜間の路上飲酒を通年禁止にする改正条例を全会一致で可決しました。施行は2024年10/1からです。渋谷区によると、禁止時間帯は午後6時から翌朝午前5時まで、区域は現行よりもさらに広げる方針。ただし、違反者への罰則はありません。渋谷区は19年、ハロウィンや年末年始に渋谷駅周辺での路上飲酒を禁じ、コンビニなどに酒類の販売自粛を求める条例を制定。昨年は「ハロウィン目的で街に来ないで」と強いメッセージを打ち出し、そのためか、新宿歌舞伎町に仮装した人々が詰め掛けました。渋谷区の方針を受け、新宿区でもハロウィンの期間などに限って新宿駅周辺での路上飲酒を禁止する条例を制定する方針を明らかにしています。
 確かに渋谷では、平日の夜でも、訪日観光客とおぼしき方々が路上飲みをしている光景をよく見掛けます。週末ともなれば、日本人の若者たちも。訪日観光客にとって、屋外で自由に飲酒ができる環境は、自国ではできない特別な開放的な体験なのでしょう。
 1980年代のNY。歩きながらの飲酒ができないと聞いたときは、違和感がありました。「何でもアリと思っていたこの国で?」と思ったのです。余談ですが、罪の軽重は国によって大分違うようです。車でないと行かれない田舎町のバーでは、パスポートの提示を必ず要求されました。未成年者の飲酒に対しては、飲酒運転よりも厳しいようです。70年代のシンガポールで、ゴミやたばこをポイ捨てすると罰金が科せられると聞いて驚いたことも。昭和の日本では、吸い殻は路上に捨てるのが当たり前でしたから。
 かつては、表参道や公園通りを会場に、商店街や企業が協賛したハロウィンイベントが積極的に展開されていました。が、今となっては「来ないで」とアピールすることに。規制によって行動制限をされることに慣れていない日本人は、近年、節度を保つことで自由を維持することの難しさを学ぶ機会が増えていると強く感じます。