ヘルシー志向と食事のマナー

 薄着の季節に向けて、ダイエットを始める人が増える時期。中でも、ご飯やパン、麺などの糖質を控える低糖質ダイエットや、食物繊維をたっぷり含む野菜から食べることを勧めるベジタブルファーストといったダイエット法は、日々の食生活に比較的簡単に取り入れることができる点がウケて、実践している人が多いと思います。
 中年男性に人気なのが、低糖質ダイエット。ランチのご飯を残す男性が増え、ビジネス街の定食屋さんが嘆いています。注文時に「ご飯半分に」とか、提供されたご飯を「減らしてください」とか。忙しく動き回る店員さんを見ると、注文を複雑にしては、手間をかけさせてはという気持ちが働くのも分からないではありません。
 最近、洋食のプレートで、付け合わせの野菜だけを先に食べてしまう女性をちょくちょく見かけます。ベジタブルファーストです。メインの料理だけが残ったお皿。違和感を覚えます。
 盛り付けられた料理は残してはいけない、食べられないのなら減らしてもらう、料理はバランスよく食べる、好きな物だけ先に食べたり、一点食べをしたりしてはいけない。私たちは、そう教えられてきたと思います。
 どう食べようが個人の自由でしょうし、ましてや健康のためだと言われれば、何も言えません。が、ダイエットや健康は、食料をムダにしないという倫理や食事のマナーより優先されるのでしょうか。それとも、そのような考え方自体、既に存在しえないものなのでしょうか。電車の中でのお化粧も然り。そもそも是非を問うことすら、おかしいと思う生活者も増えています。生き辛さは増すばかりです。