海外で、抹茶が大人気のよう。京都の日本茶専門店には、オープン前から外国人旅行者が並び、抹茶を何缶も買っていくとか。30g入り1缶、1万2000円、8000円などの高級な抹茶は、ほとんどが売り切れ状態。生産が追い付かない状況です。
抹茶人気の理由は、健康と美容。日本人が長寿で女性が年齢よりも若く見え、肌がきれいなのは、抹茶を飲んでいるからと思っているよう。抹茶を常飲している日本人は茶道関係者以外ごく稀だし、日本茶を淹れる人もどんどん減少しているのだから、この説は間違っていると思いますが、日本茶が健康にも美容にもいいことは確かです。
茶の木に直射日光が当たらないように覆いをかけ、甘みとうま味を十分に溜め込んだ新芽だけを摘み、蒸気で蒸した後、乾燥させ、茎や葉脈などを除いて軟らかな茶葉のみを選別。これを石臼で挽いたものが抹茶になります。機械で粉砕する方法もありますが、機械自体が熱くなり、茶葉が変質して色や香りが落ちるといいます。24時間石臼を回し続けてもできる量はほんのひと山。高級抹茶は量産できるものではありません。海外では転売も行われているようで、価格は高騰。円安が追い風になり、外国人旅行者には安く手に入れられるスーパーフードになっているのかもしれません。できれば、茶道という日本固有の文化に興味を持ったり、ヒーリングなど精神的な効果を期待したりなどの理由で、深く長く愛していただけるとうれしいのですが。
昨年末、高校の同級生が自宅の茶室で茶会を開いてくれました。母の遺品となった茶道具をもらっていただいたのはずっと前のこと。その道具を使って私にお茶を点ててあげたかったという涙が出るほどありがたいお誘いです。が、私はまったくの不調法。足が攣って正座すらできぬ有様。目の前に置かれたお菓子を取ったら「まだ早い!」と一喝。お点前をいただくあいさつすらままならない。外国人に、文化だ精神だなどと宣う資格などない日本人です。