飲食業界で細分化する二極化

 今年5/20のhimeko’s COLUMN「もはや“安上がり”ではないファストフード」の中で、度重なる値上げを断行するマクドナルドに対して一抹の寂しさがあるという一文を書きました。FFが生まれた国、米国でも富裕層と貧困層の経済格差が拡大する中、米国人の74%がFFを贅沢品と考えるようになり、62%は以前のように気楽にFFを食べなくなったという衝撃的なデータが紹介されています。各FFチェーンは、贅沢なイメージを払拭するキャンペーンを実施。物価に便乗して安易に値上げをしているというネット上の批判を否定しているようですが、一度付いてしまった割高イメージを一掃するのは難しいようです。
 日本においては、ハンバーガーチェーン各社が高価格商品を展開するなど勢いを付けている一方で、ファミリーレストランは店舗数が減少。特に中価格帯のチェーンが苦戦しているようです。低価格帯のチェーンより品揃えを多くしているもののそれが魅力に繋がっていない、空間的に高めの演出はしているもののフルサービスではなくタブレットや配膳ロボットを使うなど、中途半端さが目立ちます。
 経済格差の二極化が拡大する中、飲食業界では立ち位置の選択が難しくなっていると痛感します。東京においては、飲食店の価格は確実に上がっています。今までなら中価格帯と判断されただろう店が開店当初から高価格帯に属する値付けでスタート。既に高価格帯に属していた店はさらに高価格帯にシフトするなど、高価格帯の中でも二極化が生まれていて、それは明らかに円安によるインバウンド消費が背中を押していると思われます。同様に、今まで低価格と思われていたFFでも二極化が生まれていて、大雑把に言えば、ハンバーガーやカレーは上に、丼ものやそば、うどんは下に棲み分けられているのが実情です。
 石破茂氏が自民党総裁に選出され、一気に進んだ円高。インバウンド消費が減速したとき、二極化の上の波に乗った飲食店はどうするのか。興味深く見続けようと思います。