持続可能な水産資源の管理を

 今年もサンマは不漁です。3年ぶりに開催された「目黒のさんま祭り」(東京・目黒)では、サンマの提供を取り止める案が浮上したといいます。例年5000尾用意できていた宮城県気仙沼産のサンマ。今年は1000尾。対象を目黒区民に絞ったのですが、それでも高級魚と化したサンマに9000人の応募があったそうです。
 毎年この時期の「himeko’s COLUMN」の話題は、ほぼサンマです。そして「不漁で高値」と嘆いています。2017年は、欧米で盛り上がりを見せていたサステナブル(持続可能)な漁業への転換について書いています。それから5年。未だ、日本の漁業が置かれている状況は変わらぬばかりか、年々悪化しているように感じます。18年、漁業法が改正されたのですが。
 ノルウェーをはじめとする北大西洋の国々では、漁獲枠を厳格に管理し、幼魚を捕獲しないなど、持続可能な漁業のための取り組みが奏功。漁獲高が安定しているだけでなく、急速に回復している魚種もあります。一方日本では、細くて小さなサバの幼魚も捕獲してしまうため、サバの4割が非食用として養殖のエサなどに利用されています。市場価値が低く、海洋資源の枯渇にも繋がる幼魚の捕獲がなぜ行われているのでしょうか。
 魚が獲れなくなった理由としてよく挙げられるのは、海水温の上昇や海洋変動、外国船による乱獲、海水温と潮の流れの変動による魚種の変化などですが、それだけでないことは、他国の取り組みと成果を見れば明白です。魚が獲れなければ、漁業は危険なだけで儲からない仕事。後継者不足になり、ますます日本の食糧自給率は下がります。
 専門家の皆さんには科学的根拠に基づく水産資源の管理に尽力していただき、一方私たち生活者は、水産資源の持続可能化に関心を持ち、協力していくべきだと考えます。