温かな気持ちになれるおいしいドラマ“きのう何食べた?”

 テレビの秋クールが始まりました。毎週楽しみにしているのは、テレビ東京の“きのう何食べた?シーズン2”。西島秀俊氏演じる弁護士の“シロさん”と内野聖陽氏演じる美容師の“ケンジ”の愛情あふれるおいしい日々を淡々と描いたドラマです。
 シロさんはケンジとの老後に備え、月の食費を2万5000円以内に抑えることを目標に、毎日スーパーで安売り食材を求め、料理を作ります。しかもおかずは2~3品。献立としてしっかり成り立たせています。遅く帰宅した日も、あるものでパパッと作ってしまう手際の良さはもちろん、1食1食を大切にする姿勢にも感心します。もちろんフードスタイリストは付いていますが、西島氏の料理をする手つきは慣れた人だとすぐに分かりますし、しぐさがきれいだと思います。加えて、シロさんが料理番組のように、コメントを入れながら作ってくれるので、一つひとつのプロセスがとても分かりやすいのです。
 でき上がった料理は、テーブルにキチンと並べられます。食器は出しゃばり過ぎず、二人の生活にマッチしていて、とてもいい雰囲気です。シロさんとケンジが向かい合い、手を合わせて「いただきます」と笑顔であいさつをして食事が始まります。ケンジは一つひとつの料理に対して、「○○が△△していておいしい!」など感想を必ず言うのですが、その言い方からシロさんと二人で食卓を囲める幸せな気持ちがひしひしと伝わり、日々の食事やパートナーに対する感謝の思い、愛情の表現を疎かにしている毎日を反省させられます。
 シロさんとケンジの生活をすべて見ているわけでもないのに、食シーンを通すと古くからの隣人のような気がしてくるのも不思議です。因みにシーズン1の最後、おせちを作るシーンで黒豆の炊き方が私と同じ、土井善晴先生のレシピでした。