賑わいが戻ったゴールデンウイーク

 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザと同じ“5類”に移行する5/8を控えた今年のゴールデンウイーク(GW)。行動制限がないのは、2019年から4年ぶりです。
 私はGW中、映画を見に渋谷へ、美術展を見に竹橋から丸の内界隈、銀座、新橋へ、食事をしに六本木、青山へと、数日、繁華街をぐるりと自転車で回っていました。連休中は道が空いていて、官庁街など5車線を独り占めです。
 何処も人でいっぱい。もちろん美術館は入場規制があり、予約をしていても列に並ぶところから始まりますし、人気の飲食店はオープン前から行列。丸の内と銀座の歩行者優先道路は、初夏の日差しの中、ウインドウショッピングを楽しんだり、ガーデンチェアで寛いだりする人々でいっぱいです。屋外を歩く人の中にはマスクをしていない人も多く、コロナ前に戻ったような光景でした。
 この賑わいは、外食企業、飲食店、食品卸、食品・飲料会社、業務用資材屋などなど、外食関連業者の皆さんにとって待ちに待った場景だったでしょうし、その喜びに思いを馳せると、とてもうれしくなりました。
 楽しい楽しいGWでしたが、悲しい出来事がひとつ。中日の平日、東京・恵比寿で75年続く老舗の居酒屋「さいき」に伺ったところ、店の入り口に“閉店のお知らせ”の貼り紙が。5/31を以て諸般の事情により閉店する旨が書かれていました。昭和感溢れるたたずまいの中、一升瓶ごと凍らせた“凍結酒”、外はカリッと中はふわふわな“海老しんじょう”、肉厚ビッグな“アジフライ”、洋食屋もびっくりの“カニクリームコロッケ”、私が大好きな“〆小肌”、そのほか、“クジラ刺”や“のどぐろ干”“豚バラ酒盗焼”、春にはふきやタラの芽の天ぷらも堪能できます。「孤独のグルメ Season4 最終話」にも登場。新規顧客が増えたようで、開店時間の5時前から列ができる日も珍しくありませんでした。店主の齢、建物の老朽化、コロナ禍での思いなど、さまざまな理由が推察されますが、またひとつ名店がなくなることだけは事実です。