元気をいただける先輩女史

 12/3、洋菓子・料理研究家の小菅陽子先生が上梓された「ウィーン菓子図鑑」の出版記念パーティに伺いました。ずっとずっと以前、編集者としてお仕事をさせていただいて以来の再会です。
 本書は、単なる洋菓子のレシピ本ではありません。ウィーン菓子ひとつひとつについて、その由来をオーストリアの催事や風習、歴史や文化と合わせて紹介しています。参考文献リストも多く、情報の正確性を担保するための作業は、さぞや大変だったのではないかと思います。その甲斐あって、図鑑としても、読み物としても秀逸な作品に仕上がっています。
 小菅先生の師、日本の洋菓子研究の祖、今田美奈子先生もご列席されていて、スピーチをなさいました。御年87歳の女史のお話は興味深く、やさしさに溢れ、しかも明朗快活。そのすべてに感激しました。中でも、「(食事は生命のためのもの。一方)デザートは、音楽や絵画と同じ、人を豊かにする芸術であり、夢である」という主旨のお言葉。毎日のように母と一緒にお菓子を作っていた子どもの頃の思い出が、キッチンに立ち込める焼き菓子の香りとともに甦りました。
 私のテーブルには、フリーの編集者時代にお世話になった先輩の方々。こちらの女史たちも、今田先生に劣らず頭脳明晰で元気いっぱい。前向きで探求心に溢れています。
 女性が社会で活躍をするには、まだまだたくさんの障害があった昭和の時代。先達者の存在は、当時も、そして今も、私を励まし、元気付けてくれます。