夢中になった料理番組「世界の料理ショー」

 昔、大好きな料理番組がありました。「世界の料理ショー」です。昔というのは、いつの頃見ていたのか覚えていないからです。
 今はウィキペディアという、大変便利なツールがあります。それによると「世界の料理ショー」は、1968年~71年、カナダ放送協会で放送されたテレビ番組で、日本では1974年~79年、東京12チャンネル(現:テレビ東京)が放送。それを機に、日本各地の放送局が再放送を含めて断続的に放送したとか。
 登場するのは、グラハム・カーという男性の料理研究家。おしゃれなキッチンとリビングルームのセットに観客を入れてのスタジオ。そこでグラハム・カー氏が、楽しいというより笑えるおしゃべりをしながら、世界各地を旅して味わった料理を再現して見せるのです。ゴージャスな雰囲気、リッチでおいしそうな料理、愉快なグラハム・カー氏、巧妙でラフな進行。そのすべてに魅了されました。それは私にとってまさしく、「パートリッジ・ファミリー」や「奥様は魔女」といったアメリカのテレビドラマと同一線上にある、アメリカンな料理番組だったのです(カナダで制作されていたのですが)。
 もちろん、紹介された料理をいくつか作りました。その中でも強く記憶にあるのは、英国の“パン粉とはちみつのパイ”。パイ生地の中身は、はちみつでしとらせたパン粉だけなのです。驚きのレシピですが、これがおいしかった!
 グラハム・カー氏は料理をするとき、ジャケットは脱ぎますが、ネクタイはしたまま、シャツの袖もまくり上げません。油が飛んだり、シミが付いたりしそうでちょっとハラハラ。そんな庶民の心配をしている私に、彼の手の動きがとても上品で優雅に見えたことを、今でもよく覚えています。

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